おしりがかゆい原因に肛門カンジダが疑われるとき、自己判断で市販薬を使うことは避けましょう。
おしりのかゆみで市販薬を使えるのは、かぶれや細菌感染など、肛門カンジダ以外が原因となっているときです。肛門カンジダは真菌の増殖で発症するため、悪化を防ぐためにも病院で適切な治療を受けるようにしましょう。この記事では、おしりがかゆい原因やかゆみに使える市販薬を解説します。
おしりがかゆい原因はカンジダ?市販薬はある?
おしりがかゆいなら、原因は、肛門カンジダの可能性があるかもしれません。肛門カンジダはカンジダ菌という真菌の増殖により発症する疾患であり、市販薬では対処できません。適切な治療を受けるためにも、病院を受診する必要があります。
おしりのかゆみは肛門カンジダの可能性がある
おしりがかゆい場合、肛門周辺でカンジダという皮膚の常在菌である真菌が増殖している可能性があります。カンジダ菌に感染しやすくなる原因として、以下のようなことが考えられるでしょう。
・トイレットペーパーで肛門を強くこすりすぎた ・温水洗浄機能を使い必要以上に洗った ・下痢が続いて皮膚が荒れてしまった ・ナプキンをこまめに換えなかった ・病気や疲労などで免疫状態が下がっていた |
おしりを必要以上に洗いすぎると、皮膚が乾燥してバリア機能が低下し、菌の増殖を招きやすくなります。おしり周辺の湿度が高くムレていたり、何らかの理由で免疫力が低下していたりするときも、肛門カンジダになりやすいため注意が必要です。
市販薬は使用せずに病院を受診
おしりのかゆみが肛門カンジダなら抗真菌薬を使った治療が必要であり、市販薬では対処できません。かゆみが気になるからといって、自己判断で市販薬を使用することは避けましょう。皮膚科などの病院を受診し、カンジダかどうかを検査してから適切な薬を処方してもらう必要があります。
カンジダ症は、性交渉で人にうつす可能性があるだけでなく、放置することで深刻な全身性カンジダ症になるおそれもある疾患です。適切に治療すれば比較的短期間で治癒するので、症状に気付いたら放置せず、できるだけ早く病院に行きましょう。
カンジダ以外で考えられるおしりがかゆい原因
おしりのかゆみの原因がカンジダではない場合もあります。おしりのかぶれは、おむつでムレやすい赤ちゃんだけでなく、大人でも起きる可能性があります。デスクワークなどで長時間座った状態になりやすい方や、生理用ナプキン・大人用おむつなどによるムレ・刺激が原因です。また、おしりの毛穴で細菌感染を起こし、痛みやかゆみが起こっているケースもあります。
汗やケア用品の刺激や洗剤が合っていないことでかぶれた
長時間のデスクワークなどでおしりに汗をかいた状態が続くと、汗腺が詰まってしまい、おしりがかぶれ、あせものようなものができる場合があります。また、汗によってふやけた皮膚と服や下着などがこすれ、刺激になりかぶれたのかもしれません。汗の他にも、尿や便、生理用ナプキンや尿漏れパッドなどのようなケア用品も肌への刺激となり、かぶれることがあります。
あるいは、洗濯用の洗剤成分や柔軟剤が肌に合っていないためにかぶれている可能性も考えられます。すすぎが不十分で下着に洗剤が残っていると洗剤が刺激になることもあります。肌が敏感な方は、低刺激の洗剤・柔軟剤を使い、すすぎを充分におこないましょう。
細菌感染した
おしりは体のなかでも毛穴が多い部位であり、その毛穴に皮脂が詰まってニキビや毛のう炎ができている可能性もあります。詰まった毛穴とその周辺が炎症を起こして、赤く腫れたり、かゆみが出たりします。
おしりニキビの原因菌は、主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌で、顔のニキビの原因として知られるアクネ菌とは別の細菌です。体のなかでもおしりはムレやすく、細菌が繁殖しやすい環境です。赤く腫れて膿が溜まり、痛むこともあるでしょう。
カンジダ以外のおしりのかゆみに使用できる市販薬10選
おしりのかゆみの原因が肛門カンジダ以外であれば、市販薬で対処できる場合があります。かぶれが原因のときには、非ステロイドの塗り薬を選んでみてください。細菌感染によるおしりニキビが原因なら、できれば病院を受診しましょう。
かぶれた場合:おしりのかゆみに使用できる市販薬8選
かぶれでおしりの皮膚がかゆいときには、非ステロイドの市販薬を検討しましょう。また、かゆみはそこまで気にならないものの乾燥しやすい場合は、ワセリンで保湿するのもよいでしょう。
オシリア
ステロイドのヒドロコルチゾン酢酸エステルが炎症を鎮め、リドカインとジフェンヒドラミン塩酸塩がかゆみを抑える、おしりのための軟膏です。殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールが細菌の増加を防ぎます。1日3回まで塗布可能です。
効能効果 |
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きれ痔(さけ痔)・いぼ痔の痛み・かゆみ・はれ・出血の緩和及び消毒 |
メンソレータムカブレーナ
デリケートゾーンのかぶれ・かゆみの治療薬で、ステロイドは入っていません。グリチルレチン酸とウフェナマートの2つの成分が炎症を抑え、ジフェンヒドラミン塩酸塩がかゆみを和らげます。サラッとした無香料のクリームで、子どもにも使用可能ですが、 保護者の指導監督のもとに使用させましょう。
効能効果 |
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かぶれ、おむつかぶれ、皮ふ炎、かゆみ、湿疹、ただれ、あせも |
フェミニーナ軟膏S
リドカインとジフェンヒドラミン塩酸塩がかゆみを鎮め、イソプロピルメチルフェノールが細菌の繁殖を抑えます。伸びがよいクリームタイプで、気になるところに塗りやすいのが特徴です。なお、フェミニーナ軟膏はカンジダ症治療薬ではないため、疑わしい症状がある場合には使用を避け、カンジダ治療薬との併用はしないでください。
効能効果 |
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かゆみ、かぶれ、湿疹、虫さされ、皮ふ炎、じんましん、あせも、ただれ、しもやけ |
デリナースクール
デリケートゾーンだけでなく内股や脇、首などさまざまな場所のかゆみに使える、非ステロイドの外用薬です。かゆみ止め成分2種類と殺菌成分、血行促進成分を含有しています。l-メントールが入っているため、清涼感のある使い心地です。
効能効果 |
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かゆみ、かぶれ、あせも、ただれ、湿疹、皮ふ炎、じんましん、虫さされ、しもやけ |
オイラックスソフト
白残りしにくく、伸びがよいクリームタイプの非ステロイド治療薬です。かゆみにアプローチするクロタミトンとジフェンヒドラミン塩酸塩の他、炎症を抑えるグリチルレチン酸を配合しています。さらに、荒れた皮膚の修復を助けるアラントインを含有しています。
効能効果 |
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しっしん、かぶれ、かゆみ、虫さされ、じんましん、しもやけ、皮膚炎、あせも、ただれ |
デリケアb
生理用品・下着・汗などによるかぶれや炎症に使える、非ステロイドの治療薬です。
ジフェンヒドラミンがかゆみを止め、グリチルレチン酸がスレやムレによる炎症を鎮めます。荒れて敏感になったデリケートエリア(陰部)にも使いやすい弱酸性のクリームです。
効能効果 |
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かゆみ、かぶれ、ただれ、しっしん、皮ふ炎、じんましん、あせも、虫さされ、しもやけ |
ユースキンラフレ
下着による刺激を受けやすいデリケートゾーンにも使える治療薬です。クロタミトンとジフェンヒドラミンがかゆみを止め、グリチルレチン酸が炎症を抑える働きをします。サラッとした乳液状のクリームなので、塗布後すぐに下着や衣服を着用できます。
効能効果 |
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かゆみ、かぶれ、あせも、皮ふ炎、しっしん、じんましん、ただれ |
白色ワセリンソフト
おしりだけでなく、唇や手足などさまざまな場所に使える白色ワセリンです。乾燥や荒れが気になる部分に薄く塗ることで、肌を刺激から保護してくれます。赤ちゃんの肌にも使用可能です。
効能効果 |
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手足のヒビ,アカギレ,皮膚のあれ,その他皮膚の保護 |
細菌感染を疑う場合:おしりのかゆみに使用できる市販薬2選
細菌感染が疑われる場合、皮膚科での治療の際には、細菌の種類を調べて感染している細菌にあった抗生物質を使います。基本的には自己判断での治療は難しく、医療機関での受診がおすすめです。病院へ行く時間がなかなか取れない方は、いろいろな菌に使える市販薬を応急処置として活用しましょう。
テラマイシン軟膏a
抗生物質として、ポリミキシンB硫酸塩とオキシテトラサイクリン塩酸塩の2種類が配合された軟膏です。細菌感染によってできた毛のう炎にも使えます。ただし、患部のただれがひどい場合には使用できません。
効能効果 |
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化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
ドルマイシン軟膏
コリスチン硫酸塩とバシトラシンの2種類の抗生物質が配合された、皮膚疾患治療のための軟膏です。黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などのグラム陽性菌の他、グラム陰性菌に対しても抗菌力が期待できます。1日1~3回、患部に適量を塗布しましょう。
効能効果 |
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外傷・火傷等の化膿予防及び治療,膿痂疹(とびひ),セツ(せつ),癰(よう),疔(ちょう),毛ノウ炎,湿疹,グラム陽性・陰性菌の単独及び混合感染による皮膚疾患,化膿症,伝染性皮膚炎,皮膚潰瘍 |
おしりのかゆみに関するQ&A
おしりのかゆみに市販薬を使用する場合、症状の改善が見られないにも関わらずだらだらと使い続けることは控えましょう。また、軽度なかゆみであれば、生活習慣を見直すだけで症状が緩和していく場合もあります。
かゆみがいつまでも治まらない、悪化するときには、医師への相談を検討してください。
市販薬を使うと何日くらいで治る?
かぶれなどが原因のかゆみであれば、通常は市販薬を使い始めて5~6日程度で改善していきます。ただし、市販薬を5〜6日間使ってもかゆみが続く場合、使用を中止して医療機関を受診しましょう。
症状が改善しない場合、肛門カンジダのように、市販薬では対応できない疾患がかゆみの原因となっている可能性があります。カンジダ症には悪化のリスクもあるため、かゆみが強かったり患部がヒリヒリと痛かったりする場合には、早めに医療機関で相談しましょう。
何もしなくても治る?
おしりのかゆみが軽度な場合は、生活習慣を見直せば改善する可能性もあります。
・長時間座り続ける状態を避け、ムレを防ぐ ・刺激の少ない素材の下着を選ぶ ・お手洗いの際に拭きすぎないようにする ・洗いすぎない ・ワセリンなどで保湿して乾燥を防ぐ |
おしりは、下着や衣服とのこすれ、洗いすぎなどの刺激などによって乾燥しやすい場所です。皮膚の乾燥はバリア機能を低下させ、かゆみにつながりやすいので、保湿を心がけましょう。
生活習慣を見直しただけでは改善しない場合、市販薬を使用するか医療機関での対処が必要になります。特にカンジダ症は放置せず、早めに肛門科や皮膚科を受診しましょう。
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