アビガンは新しい抗インフルエンザ薬!効能効果・副作用について解説

アビガンは新しい抗インフルエンザ薬として富士フィルムが開発したお薬です。エボラ熱にも効果を発揮することで注目を浴びましたが、効能効果・副作用などについて詳しくは知らない方が多いのでは?アビガンについて徹底解説!

アビガンは日本国内で創製、世界に先駆けて国内承認された薬!

2014年に富士フイルムホールディングスの傘下である富山化学工業から「アビガン錠200mg」という薬が発売されました。実はこの薬、2014年に西アフリカで大流行したエボラ出血熱にも効果を発揮するということで、注目を浴びた薬でもあります。

アビガン(成分:ファビピラビル)は当初、ポスト「タミフル」になりうるのではないかという期待を受け、インフルエンザ治療薬として開発されたものでした。

秋・冬にかけて流行する、皆さんにも身近で最も恐ろしい感染症が「インフルエンザウイルス感染症」です。



まずは感染しないようにしっかり予防することが第一。

それでもインフルエンザウイルスに感染してしまった場合、治療薬として抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。

その中でも代表的な薬の一つ、「タミフル(オセルタミビル)」



この記事では「

インフルエンザウイルス感染症においてどの薬でもどの治療でも効果がない。そんな時、最後の砦となりうるアビガンについて徹底解説します!

アビガンは全く新しい抗インフルエンザ薬!

アビガンは富士フイルム傘下の富山化学工業が創製し、世界に先駆けて2014年の3月に日本での製造販売が承認されています。

インフルエンザウイルス感染を阻害することにおいて、これまでの抗インフルエンザウイルス薬とは違ったメカニズムを持つアビガン。

従来の抗インフルエンザ薬は、「インフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込めて外に出さない」のに対し、アビガンは「ウイルス感染した細胞内に入り込み、ウイルスの増殖を阻止する」という特徴があります。

そのため、今までは感染後にできるだけ早く、もしくは予防目的で服用する必要があったのに対し、アビガンは病状が進んだ状態であってもウイルス量を減少させることが出来ます。

そして、何と言っても各種の新型インフルエンザウイルスに対して幅広く抗ウイルス効果を示しているのが強み。これはウイルスがアビガンに対してまだ極めて耐性が出にくい状態であるといえます。

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アビガンは現状は条件付きの製造・販売承認

新型ウイルスにも効果を見せるアビガンですが、日本国内での製造販売承認には以下のような条件が付いています。

新型または再興型インフルエンザ感染症で、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る

そのため、製造・販売に関しても厚生労働大臣から要請を受けて製造・供給等を行い、新型または再興型インフルエンザウイルス感染症が発生して対策に使用すべきと国が判断した場合に、患者への投与が検討されるという状態であり、現状では一般向けに販売は出来ない状態です。

その理由の一つに安全面での問題があります。臨床試験前に実施した動物実験で胎児に奇形が生じる可能性が認められたのです。

そのため、一定の安全性は担保されていますが、通常1年ほどで済む薬の承認審査に3年を要し、さらに「条件付き」で承認されることとなりました。

アビガンはエボラ出血熱の治療にも期待されている

2013年の12月にギニアで始まり大流行したエボラ出血熱。

原因となるエボラウイルスは、インフルエンザウイルスと同じRNAウイルスと呼ばれる種類のウイルスです。エボラウイルスに対するワクチンは未だ存在せず、有効な治療法も確立されていない中、欧米の研究者による動物実験でアビガンがインフルエンザ以外に、ウエストナイル熱をはじめとする様々なRNAウイルスに効果があることが示され、2014年に入ってからエボラウイルスを感染させたマウスに対する有効性を報告しました。

日本でも2015年の2月に富士フイルム株式会社からエボラ出血熱に対する「アビガン®錠200mg」の臨床試験(中間解析)での有効性が示唆されました。

富士フイルムは、「日本政府と協議しながら、感染者のいる各国からの要請に応えていく」とし、これからのエボラ出血熱患者への治療に対する期待が寄せられます。

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アビガンの効果は?! 〜用法・用量・服用期間と副作用〜

アビガンは、鳥インフルエンザをはじめとした新型または再興型インフルエンザ感染症に効果を発揮する薬です。

A・B・C型インフルエンザウイルスにも効果はあり、これまで投与された薬に耐性を持ったA・B型インフルエンザウイルスにも効果を発揮します。

剤形は淡黄色のフィルムコーティングされた錠剤です。ファビピラビルが主成分で200mgの含量となっています。

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アビガンの用法・用量・服用期間

基本的に対象は成人です。

通常成人にはファビピラビルとして1日目は1600mgを1日2回、2日目から5日目は1回600mgを1日2回経口投与。総投与期間は5日間とします。

アビガンの副作用

アビガンを投与することで、次のような副作用があらわれる可能性があります。

アビガン投与による副作用の確認は、国内臨床試験及び国際共同Ⅲ相試験(承認用法及び用量より低用量で実施された試験)で報告されたものです。

主な副作用は、血中尿酸増加、下痢、好中球数減少、AST(GOT)増加、ALT増加等の結果が出ましたが、いずれの副作用も高確率であらわれるものではありません。

注意するべき重篤な副作用として、以下の症状があげられます。

■ショック、アナフィラキシー

■肺炎

■中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis : TEN)

■皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)

■劇症肝炎

■黄疸

■肝機能障害

■急性腎不全

■出血性大腸炎 など

このような重篤な症状があらわれた場合はすぐに使用を中止し、病院で診察を受けてください。

アビガンを服用不可の方は要注意!

妊娠・授乳中の方や小児など、アビガン服用を勧められていない人もいます。下記に該当する方は服用しないこと、または状態を観察しながら服用することが必要です。

妊娠中の方

妊娠中の方はアビガンの服用は絶対に禁止です。アビガンの動物実験において、体内での致死や胎児に奇形が生じた例が報告されています。

授乳中の方

授乳中の方への投与は基本的には禁止されていません。ただし、投与中の期間は授乳を中止することを求められます。

小児への投与

小児への投与は勧められておりません。アビガンの添付文書によると「小児に対する投与経験はない」という記述があります。

動物実験の結果では成人の致死量以下での死亡や、異常歩行や骨格筋線維の萎縮など、様々な異常が確認されています。

高齢者への投与

高齢者への投与は禁止されているわけではありませんが、一般的に高齢者は生理機能が低下しているこいることが多いため、患者の状態を観察しながら投与を検討することを求められます。

他疾患を伴う患者

肝機能障害患者にアビガンを投与した場合、血漿中濃度が上昇することが確認されています。肝機能が低下している方に対してアビガンを投与すると、薬の効果が出すぎてしまう、または長く効きすぎてしまう恐れがあるので注意が必要です。

痛風患者、痛風の既往歴がある方、高尿酸血症のある患者はアビガンを投与することによって血中尿酸値が上昇し、症状が悪化するおそれがあるので慎重な投与が必要です。

その他、動物実験による報告

ラットや若齢のイヌでの実験結果では精巣の組織変化が、また、マウスでは精子に異常が認められたという例が報告されました。

しかしいずれも休薬により回復、または回復傾向が認められました。

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おわりに〜流通には障壁がまだまだ多い

新型や再興型インフルエンザ感染症など、幅広いインフルエンザウイルスに対して効果を発揮するアビガンですが、まだまだ世界中のどの国でも一般の方々が気軽に使えない状態です。

安全性の面で様々な臨床試験が必要であり、クリアしなければいけない問題もあります。

しかし、近い将来インフルエンザの特効薬として皆さんの役に立つ日が来るかもしれません。

来るべき日のために、安心・安全に使用出来るように、薬について正しい知識を知っておくことが大切です。

ミナカラ
インフルエンザの基礎知識・予防・治療・お薬まで

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