インフルエンザ感染中の食事~食べ物・飲み物の選び方

インフルエンザ感染中の食事について解説します。インフルエンザの治療には、食事による栄養補給が欠かせません。発熱や喉の痛みから、インフルエンザB型に多い消化器症状まで、悩み別に適した食べ物・飲み物を選びましょう。

近年、インフルエンザ治療といえば、タミフルやリレンザといった抗インフルエンザ薬が広く知られるようになりました。しかし「薬があるからインフルエンザはすぐ治る」と安心はできません。これらの薬は、体内でのインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬であり、特効薬ではないためです。

今も昔も、インフルエンザ治療の基本は、しっかり休養をとり、栄養のある食事を摂ることにあります。そうはいっても、インフルエンザ感染中はなかなか食欲がわかないものですよね。

そこで、ここではインフルエンザ感染中でも比較的食べやすく、症状の緩和にも役立つ食べ物や飲み物の選び方について解説します。お見舞いで食べ物を差し入れするときにもおすすめです。食事をインフルエンザ治療につながるものにしましょう。

インフルエンザ感染中の食事~食べ物編~

ここでは大人・子どもに共通したインフルエンザ感染中におすすめの食べ物をご紹介します。症状別にとくに適した食べ物をピックアップしているので、ご自身の症状に合わせて優先的に選ぶと良いでしょう。

インフルエンザ感染中の食事:B型に感染した場合

インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型とありますが、なかでも流行しやすいのがA型とB型です。インフルエンザB型は、高熱が出ることは少ないですが、A型のインフルエンザと比べて下痢・吐き気をはじめとした消化器症状が出やすい傾向にあります。

そんなインフルエンザB型に感染中、おすすめの食べ物は、やわらかく調理したものや、消化しやすく腸管を刺激しない食べ物です。たとえば以下のようなものがあります。

・煮込んだうどん
・おかゆ
・ももの缶詰
・すりおろしリンゴ

一度にたくさん食べると胃腸に負担を与えてしまうので、一回当たりの食事量を少なくし、食欲が出たら食事回数を増やすというように対処すると、より治療に役立ちます。

■具材選びに注意
煮込みうどんやおかゆに具材を入れる場合、選び方に注意しましょう。体を温める効果があるネギや生姜、唐辛子は胃腸への刺激が強いため、消化器症状が強い場合は控えるのが無難です。また食物繊維が豊富な海藻類やきのこ類などを食べ過ぎると、腸内でガスが大量に発生して刺激を与えてしまうので、なるべく控えるようにしてください。

インフルエンザ感染中の食事:発熱時の場合

A型のインフルエンザに感染した場合、悪寒や寒気といった症状を経て38℃以上の高熱が出ます。高熱が出るのは、インフルエンザウイルスと体の免疫が戦った証拠です。戦いで疲れた体をサポートするには、ビタミンB群やビタミンCといった栄養がおすすめです。

ビタミンB群とは、ビタミンB1やB2、B6をはじめとしたの計8種類の水溶性ビタミンの総称です。タンパク質や糖質の代謝をサポートするなど重要な役割を担っていますが、水に溶けるため、尿として排出してしまい、体内に蓄えておくことができません。さらにインフルエンザ感染中は発熱によって失われやすく、不足しがちな栄養素といわれています。

ビタミンCは、インフルエンザウイルスに対する抵抗力を高めたり、免疫力を高めるのに効果的な抗酸化作用を持つ栄養素です。人間には自分でビタミンCをつくる力がないため、食べ物によって摂取する必要があります。おすすめの食べ物は、以下の通りです。

■ビタミンB群が豊富な食べ物
・豚肉
・ごま
・卵(うずら卵、鶏卵)
・海苔
・ヨーグルト
・バナナ など

■ビタミンCが豊富な食べ物
・いよかんなどの柑橘類
・キウイフルーツ
・いちご
・パイナップル
・キャベツ
・チンゲン菜 など

インフルエンザ感染中の食事:解熱後&喉・鼻の症状がある場合

インフルエンザによる発熱が治まると、いよいよ回復期です。解熱後は、ウイルスと戦った後で体力がなく、喉の痛みや咳、鼻づまりといった症状が出る場合もあります。

解熱にあわせるように食欲が少しずつ回復してきたら、意識して摂りたい栄養がタンパク質です。タンパク質には体の修復をする働きがあります。たとえば、以下の食べ物がおすすめです。

・白身魚(タラ、キスなど)
・鶏のささみ
・卵(うずら卵、鶏卵)
・豆腐 など

喉や鼻の症状が気になる場合は、粘膜を守る働きがあるビタミンAを食事に取り入れましょう。ビタミンAとして働く食べ物には、以下のようなものがあります。

・卵(主に卵黄、うずら卵)
・レバー(豚、鶏)
・チーズ
・にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜 など

せっかくの病み上がり時期に症状をぶり返さないよう、しっかりと栄養を補給しましょう。

インフルエンザ感染中の食事~飲み物編~

インフルエンザ感染中は、発熱や下痢といった症状にかかわらず、こまめに水分補給を行うようにしましょう。食事量が減っても飲み物はきちんと摂ることが大切です。水分補給が充分に行われないと、脱水症状や意識障害といった重い症状を招く可能性があります。

インフルエンザのときおすすめの飲み物①:お茶類(緑茶、麦茶)

緑茶にはビタミンCが含まれているほか、殺菌作用のあるカテキンも豊富に含まれています。喉が痛いときに、とくにおすすめです。麦茶には脱水症状を抑える効果が期待できます。インフルエンザのときは、お茶を薄めに作るようにしましょう。濃いお茶は下痢や腹痛の原因となるほか、緑茶では利尿作用による脱水症状が起こる可能性があります。

インフルエンザのときおすすめの飲み物②:経口補水液・スポーツ飲料

インフルエンザの感染中は、水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われます。しかし、OS-1をはじめとした経口補水液やスポーツ飲料には電解質が含まれているので、失われたものを補うことができます。

水分を少しでも早く体内に吸収させるには、適度なナトリウム量(100mlにつき40~80mg)を含む飲み物が良いとされています。たとえば、ポカリスエットにはその適度なナトリウム量(100mlにつき49mg)が含まれていますので、体に素早く水分が吸収されやすい飲み物といえます。

インフルエンザのときおすすめの飲み物③:はちみつ生姜湯

体を温めたい、喉の殺菌作用を高める飲み物が欲しい・・こんなときには、はちみつ生姜湯がおすすめです。生姜には体を温める作用と、殺菌作用があります。はちみつには抗炎症作用がある酵素が含まれているため、喉の痛みに効果的です。すりおろした生姜にお湯を入れ、はちみつで味をととのえるだけで簡単に作れます。

■痰がからむ咳には・・お湯&はちみつ
お湯とはちみつのコンビは、痰が出るときにも有効です。痰がなかなか吐き出せず、咳が止まらない場合は、お湯とはちみつを混ぜたもので喉をうるおすと、痰が出やすくなります。ハチミツがない場合は、砂糖でも代用可能です。

インフルエンザ感染中に栄養ドリンクを飲むときの注意点

栄養ドリンクにもいろいろありますが、抵抗力を高める成分(ジオウ、ニンジン、ショウキョウなど)が配合されているものは、インフルエンザに対しても効果が期待できます。また、栄養ドリンクによく配合されているイノシトールやニコチン酸アミド、ビタミンB6には、疲れをとる効果も期待できます。

ただし、インフルエンザのときに栄養ドリンクを飲む場合は、ノンカフェインやノンアルコールのものを選びましょう。カフェインには利尿作用があるため、脱水状態になりやすいインフルエンザの感染時に摂取するのはおすすめできません。

また、アルコールが含まれる栄養ドリンクの場合利尿作用に加えて薬との飲み合わせにも注意が必要です。タミフル・リレンザ・イナビルなどの抗インフルエンザ薬や、解熱鎮痛剤などを飲んでいる場合、アルコール入りの栄養ドリンクによって薬の効き目が強く出たり副作用が出てしまうことがあります。

子供がインフルエンザ感染したときの食事

子供がインフルエンザに感染した場合も、基本的に食事の摂り方は同じです。先ほどご紹介した食べ物や飲み物を積極的に摂りましょう。

さらにプラスして、子供の食事では、下記の3点に注意してください。

子供のインフルエンザの食事①:脱水症状には大人以上の注意を

子供は自分の症状を大人に伝えにくい分、脱水症状を起こしても気づきにくい場合があります。そのため、水分補給は大人以上に細やかな配慮が必要です。インフルエンザ感染中は吐き気や発熱でぐったりしているので、1回あたりの飲み物の量を少なくして、そのぶん頻繁にあげるようにしましょう。下記の傾向がみられると、脱水症状の兆候である可能性があります。かかりつけ医に相談し、的確な指示を仰いでください。

・唇が渇いている
・肌がカサカサしている
・目の周りがくぼんでいる
・脈が速くなっている

■解熱後の咳や鼻づまりがひどい場合は要注意
熱が下がった場合も、その後の咳や鼻づまりがひどい場合は注意が必要です。こうした不快な症状から食欲が減ってしまい、飲み物も受け付けなくなってしまう可能性があります。子供の脱水症状では比較的よくみられるケースなので、こうした場合は熱が下がっていても病院へ受診し、医師へ相談するのが理想的です。

子供のインフルエンザの食事②:スポーツ飲料は薄めて飲ませる

子供がインフルエンザにかかった場合は、お茶だけでなく、スポーツ飲料も薄めて飲ませるようにしましょう。スポーツ飲料には糖分が含まれています。子供がスポーツ飲料をそのまま飲むと、糖分の過剰摂取となってしまします。子供に飲ませるときには、水やお湯で2~3倍に薄めてください。

子供のインフルエンザの食事③:欲しがっている食べ物を優先的にあげる

子供がインフルエンザにかかると、大人と同じ症状であっても、より辛く感じるものです。そのため大人以上に食欲をなくしてしまう傾向にあります。パパやママの立場では、栄養をがあるものをたくさん食べて少しでも早く治ってほしいものですが、無理に食事を与えることはおすすめできません。無理に食べさせると吐き出してしまったり、食事が辛いものという印象がついてしまいます。

インフルエンザ感染中は、子供が欲しがっている食べ物を優先的に食べさせてあげるようにしましょう。たとえば、おかゆやうどんは嫌がっても、ゼリーやプリンなら食べるケースがあります。刺激物は避けながら、好きなものを少しずつ食べさせてあげましょう。

食事でインフルエンザをうつさないために

感染力が強いインフルエンザは、食事をきっかけに家庭内に拡大してしまう可能性があります。家族間での感染を防ぐためには、下記の3点に注意しましょう。

インフルエンザ感染者と同じ食器を使わない

インフルエンザウイルスは、洗剤などの使用で死滅します。そのため、きちんと洗浄すればば感染に対して、それほど神経質になることはありません。しかし感染予防ためには、感染者と同じ食器やコップを使用するのは避けましょう。

インフルエンザ感染中は食事を作るのを控えよう

インフルエンザウイルスは熱に弱いため、しっかりと火を通した食べ物であれば料理を介して感染する可能性は少ないとされています。しかし、インフルエンザ感染者が食事を作った場合、考えられる感染経路は料理だけではありません。

厚生労働省では、インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染としています。また、場合によっては接触感染や空気感染にも注意が必要です。

飛沫感染:咳やくしゃみで飛び散る飛沫から感染します
接触感染:感染者が触れた物を触った手で口や鼻を触ることで感染します
空気感染:飛沫から水分がなくなった細かな粒子が空気中に漂うことで感染します

家族のため・・と無理をして食事を作るなかで、こうした感染を招かないとは言い切れません。インフルエンザに感染したら、発熱などの症状が治まり、感染力がなくなるまでゆっくりと休み、食事を作るのは控えましょう。やむを得ず食事を作る場合は、マスクの着用やこまめな手洗い、使った物の消毒を欠かさず行ってください。

インフルエンザ感染中は家族と一緒に食事を摂るのを控えよう

インフルエンザ感染中に食事を作ると、その過程で感染を広げる可能性があるのと同じように、一緒に食事を摂ることで家族にうつしてしまう可能性があります。発熱といった症状があり、インフルエンザの感染力がある期間は、休養できる部屋でひとりで食事を摂るようにするのが理想的です。

インフルエンザに感染した子供に食事をあげる場合は、一緒に食べるのではなく、大人はマスクをして子供に食事をあげるようにしましょう。

インフルエンザ感染中は控えた方が良い食事

インフルエンザ感染中は控えた方が良い食べ物

インフルエンザウイルスと戦って体が疲れている時期は、消化に時間がかかる食べ物は控えましょう。たとえば、揚げ物やバターといった油脂類を多く含んだ食べ物、脂肪の多い肉類や魚類などです。

インフルエンザ感染中は控えた方が良い飲み物

胃腸への刺激を避けるため、冷やした飲み物は控えましょう。ホットドリンクは飲みたくないという場合は、常温の飲み物を摂るようにしてください。同じく胃腸への刺激を避けるため、炭酸飲料やアルコール類もNGです。また、喉が痛む場合は、果汁がたっぷりのジュースが喉にしみるケースがあるので注意しましょう。

おわりに

インフルエンザ感染中、どうしても食欲がないときは無理に食べる必要はありません。ただし、脱水症状を起こしやすくなっていますので、水分補給はこまめにするよう心がけましょう。今回紹介した食べ物や飲み物で早めの体力回復を目指してくださいね。

インフルエンザ予防の食事については、こちらの関連記事で詳しく紹介しています。インフルエンザのぶり返しや家族間での感染を広げないためにも、ぜひご覧ください。

ミナカラ
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