インフルエンザ予防接種はなぜ痛い?注射後の痛みを軽くする方法とは

インフルエンザの予防接種はなぜ痛いのでしょうか。ワクチン注射後の腕・脇・肩などの痛みに対する対処法についても解説します!

インフルエンザの予防接種が呼び掛けられる時期になると、今年の注射は痛い!と聞くことも多いかもしれません。今年の注射は痛い、という言葉を毎年聞いている気がするのはあながち間違いではありません。

それはインフルエンザの注射の痛みは注射をする場所やワクチンの刺激が原因であることが大きく、誰にとっても痛くない年というものは存在しないからです。

ワクチンの接種には筋肉注射と皮下注射があります。この違いは痛みにどのように影響するのでしょうか。

この記事ではインフルエンザの予防接種はなぜ痛いのか、痛みに対する対処法などについて詳しく解説します。

インフルエンザ予防接種が痛いのはなぜ?

いろいろな病気の予防接種で使用されるワクチンは、大きく3種類に分けられます。インフルエンザワクチンはその中の不活化ワクチンです。

  特徴 主なワクチン
不活化
ワクチン
・ウイルスや細菌などの毒性を無くしたものを体内へ注射する
・ウイルスが体内で増殖することはないので、その病気の症状は発病しないが、その分免疫不足なことが多く複数回の接種が必要
・インフルエンザ
・日本脳症 など
生ワクチン ・ウイルスや細菌などの毒性を弱めたものを体内へ注射する
・ウイルスは生きているため体内で増え、その病気の症状を軽く発病させることにより、免疫の有効期間が長い
・MR(はしか・風疹混合)
・おたふくかぜ
・結核 など
トキソイド ・細菌の毒素を取り出した不活化ワクチンの一種 ・ジフテリア
・破傷風など

インフルエンザ予防接種は皮下注射

インフルエンザの予防接種に使われる不活化ワクチンは、海外では筋肉注射により接種されることが大半ですが、日本では基本的に皮下注射での接種となっています。注射の痛みとしてはどちらが痛いのでしょうか。

注射の種類は身体の深いところへ刺さる順に静脈注射>筋肉注射>皮下注射>皮内注射となっています。

■静脈注射:静脈へ注射する。一般的に点滴の用途で使用。最も効き目が速い。

■筋肉注射:筋肉へ注射する。皮下注射より吸収が速く、静脈注射の次に効き目が速い。

■皮下注射:皮膚と筋肉の間に注射する。ワクチンやインスリンの用途で使用。吸収が穏やかで効果が長い。

■皮肉注射:皮膚の表面とすぐ下の真皮の間に注射する。主に治療ではなくツベルクリン反応やアレルギー反応などの検査に使用。

皮下注射はなぜ痛い?

インフルエンザの予防接種が痛いと言われるのは、日本が皮下注射を採用していることも影響していると考えられます。
一般的に筋肉注射と皮下注射では、筋肉注射の方が痛くないと言われています。しかし、奥に刺さるイメージから筋肉注射の方が痛いのではと思っている方も多いかもしれません。これにはいくつか理由があります。

1)日本人が慣れているのは皮下注射

1970年代までは日本でも風邪症状に対して筋肉注射が使用されるほど、筋肉注射は日常的に使われる接種方法でした。しかしこの筋肉注射が原因で、膝が伸びずに歩けなくなる「筋拘縮症(筋短縮症)」が幼児の間で流行し社会問題となり、日本のワクチン接種は皮下注射でおこなうものとなりました。

人間にとって慣れとは不思議なもので、筋肉に注射するといっても皮下注射と比べて約1cmほど深いだけです。それでも皮下注射に慣れていると筋肉への圧迫感など体験したことのない感覚が独特の痛みとして強烈に印象に残ります。その結果、筋肉注射は痛いという感想だけが強く伝わりやすくなります。

2)筋肉注射の痛みの原因は薬

筋肉注射が用いられる部位は、肩付近の三角筋、お尻の中殿筋、太ももの前面などがあります。筋肉へ注射するため皮下注射よりは太い針が使われることは事実です。しかし筋肉注射の痛みの原因となっているのは針の太さではなく、注射される薬の種類が影響しています。

そもそも筋肉注射は刺激の強い薬を注射するために用いられます。筋肉注射が痛いのではなく、痛い薬を使うから筋肉注射になるとも考えられるのです。インフルエンザの予防接種も注射されたワクチンが筋肉へ浸透していく刺激が痛みとなって感じられています。つまりインフルエンザワクチンの場合、皮下注射だとしても薬の刺激による痛みは感じるということです。

3)日本でもインフルエンザワクチンの筋肉注射が復活

1970年代以降、国内のインフルエンザワクチン接種は皮下注射のみとなっていました。しかし最近では問題の原因も改善されていることに加え、筋肉注射の方が副反応が出づらく予防接種の効果が出やすいという認識も広まっています。
これにより医師の判断によりインフルエンザの予防接種も筋肉注射でワクチン接種を行うケースもあります。
筋肉注射と皮下注射のどちらで予防接種をおこなうか気になる方は、事前に予防接種を受ける予定の病院に確認してみると返答がもらえる場合もあります。

インフルエンザワクチンを打ったときの痛みを軽くする方法

注射される方法が筋肉注射と皮下注射のどちらだとしても、痛みを少しでも減らしたい場合どのように対処すればいいのでしょうか。

1)注射が苦手だと伝える

注射の痛みそのものよりも、注射に対する恐怖心が痛みを増幅させているということは大いにありえます。注射に限らず「こわいな、いやだな」と思う気持ちをひとりで抱え込んでいるとよりその気持ちに意識が集中してしまいます。
大人の方は若干気恥ずかしいかもしれませんが、「注射苦手なんですよね」と吐き出すことでずいぶん気が楽になる方もいることでしょう。状況によってはそのまま医師や看護師が雑談を続けてくれると、より気がまぎれて痛みの軽減に効果があります。

2)注射される場所を刺激する

注射される場所の皮膚をあらかじめ刺激すると、注射の痛みを緩和することができます。注射される直前に痛いと感じるくらい皮膚をつねると、続けて刺される針の刺激に鈍くなります。

3)深呼吸をする

深呼吸をするとリラックスする効果と同時に筋肉を緩める効果があります。皮膚に針を刺す瞬間に筋肉がこわばると針が進みにくくなり、余計な力の結果痛みが増してしまいます。刺す瞬間に息を吐き出して筋肉を緩めることを意識してみましょう。

4)注射中は別の部位を刺激する

身体は同時に複数の場所の痛みを感じにくいという特徴があります。そのため針が刺さったら太ももなど力いっぱいつねってみましょう。痛みの感覚が太ももへ働き注射の痛みを和らげる効果があります。

インフルエンザ予防接種後の痛みの対処法

インフルエンザワクチンを接種すると、注射後に痛みが生じる方も少なくないようです。これは体内にワクチンとして入ったウイルスが働き始めることにより痛みのある腫れや熱が発症するからです。注射をした部分が腫れや熱を持ち痛みがともなう症状を予防接種の副反応といいます。

副反応の痛みは個人の体質や体調によっては注射をした腕をこえて、リンパが集まる脇や脇の下部分、肩が痛むこともあります。痛みはおおよそ2~3日で落ち着くものですが、それ以上痛みが続いたり、注射をした腕側以外に痛みが広がっている場合は早めに病院を受診しましょう。

副反応の腫れ、発熱、かゆみをともなう痛みに対しては、冷たいタオルや保冷材で冷やすという方法が有効です。温まると症状が強くなるため、長めの入浴や激しい運動、大人の方は飲酒を控えることも大切です。

おわりに

インフルエンザの予防接種の痛みの原因や痛みに対する対処法について解説しました。
注射の種類による違いの他に、身体には痛点と呼ばれる痛みを感じる場所が無数にあります。体内にも網目のように張り巡らされていて、針が痛点に当たれば痛く、うまく痛点を外れると痛みはほとんど感じません。
痛点は目に見える物はではないため、筋肉注射と皮下注射のどちらであれ最終的には運も大きく影響してくるのです。憂鬱な注射に少しでも気持ちが楽になるよう、痛いかどうかは運試し!くらいの心持ちでいることもリラックスできて良いのかもしれません。

ミナカラ
インフルエンザの基礎知識・予防・治療・お薬まで

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