イナビルの長所・短所は?1回の吸入で終わる抗インフルエンザ薬「イナビル」を徹底解説

イナビルは、インフルエンザの治療薬として現在最も使用されていると言っても過言ではありません。イナビルの長所・短所、効果、副作用などについて解説します。

毎年大流行して、約1000万人もの方が発症する国民的病気・インフルエンザ。そのインフルエンザの治療薬として、近年注目されているのが「イナビル」です。

イナビルの特徴は何といっても「1回の使用で服用が完了する」ことです。

これにより、2010年にイナビルが製造される以前に主流であった「タミフル」や「リレンザ」などを抜いて、一気にイナビルが使用されるようになってきました。

今回はイナビルの長所・短所を中心に、イナビルについて徹底解説していきます。

イナビルの長所と短所

長所

吸入型のイナビルは、インフルエンザウイルスの増殖部位である、のどや気管支に直接届いて、ウイルスの増殖を抑え効果を発揮します。

長時間効果が作用するタイプの薬で、最初1回だけ吸入すれば服用は完了です。この点が、5日間使わなくてはいけないタミフル・リレンザなどと大きく異なるポイントで、飲み忘れを防ぐ事が出来ます。

薬局で薬を購入したときに、薬剤師に使用方法を聞きながらその場で使用することもあります。

また、長時間作用するので、薬の効かない耐性ウィルスが出にくいことも特徴です。

短所

まれに熱が再発する事があると言われています。 また、1回の投与で服用が完結し熱が下がり症状が良くなる事から、ウイルスが体内にいて完治していない状況でも外出してしまうため、感染を広げる恐れがあります。

インフルエンザにかかった際に、自宅での療養が必要となる目安は発症後5日間かつ、解熱後も2日間(幼児は3日間)となっています。薬を飲んでも必ず5日以上は安静にし、他の人にうつさないように配慮しましょう。

吸入薬のため使い方が飲み薬より面倒なので、可能であれば、薬局で薬剤師に使い方を聞きながら、その場で使って服用を完了してしまうのもおすすめです。

なお、パウダー状の薬なので、ちゃんと吸えているか分からないといった意見もありますが、イナビルは半分も吸い込めば効果は十分ともいわれており、神経質になりすぎる必要はないと言われています。

イナビルはA型・B型インフルエンザウイルスに効果あり

イナビルはインフルエンザの治療、または予防の目的で使われる抗インフルエンザ薬です。

イナビルという呼び名は商品名で、正式名称は「ラニナミビル」です。

正式には「イナビル吸入粉末剤20mg」という名称で販売されている吸入粉末剤。薬自体は白色の粉末であり、薬の入った容器を口にくわえて吸入します。

イナビルが効果を発揮するウイルスは、A型インフルエンザウイルスとB型インフルエンザウイルスの二種類です。

治療に用いる場合、可能な限り速やかに投与を開始するのが望ましいとされています。インフルエンザの発症から48時間を経過して投与した場合、薬の有効性を裏付けるデータは得られていないのが現状です。​

治療時の用法・用量

イナビルの用法・用量は成人と子どもで異なります。

成人:ラニナミビルオクタン酸エステル40mgを単回吸入投与する。
10歳以上の小児:ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
10歳未満の小児:ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。

つまり、成人と10歳以上の小児は2容器で1回分、10歳未満の小児は1容器で1回分となります。

薬価

イナビルの1個の価格は、2139.9円です。

イナビルは処方薬なので、保険薬局で購入することが可能です。保険薬局では薬の値段に加えて、調剤技術料や薬学管理料などの費用がかかります。

インフルエンザウイルスに感染し、保険適用を受けて保険薬局で薬を購入する場合、「薬の値段+調剤技術料+薬学管理料などの総合計金額の3割」が患者の負担する金額になります。

ただし、予防目的で購入すると保険の適用外になるため、上記の総合計が10割負担となってしまうのでご注意ください。

イナビルの副作用

イナビルの投与にはさまざまな副作用が伴うケースがあります。治療・予防のどちらの場合でも副作用はあらわれるので注意しましょう。

イナビルの臨床試験や使用成績調査によると、治療目的で投与した時に生じる可能性のある主な副作用は、下痢、めまい、悪心、ALT(GPT)上昇、胃腸炎、蕁麻疹などが報告されています。

予防目的での投与の時には下痢や頭痛が主な副作用であると報告されています。

重篤な副作用が出たら即病院へ!

発生頻度はほとんどありませんが、重大な副作用にショック、アナフィラキシー様症状があります。呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗等の異常が認められる場合があるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うことが求められます。

また、イナビル以外の吸入剤・抗インフルエンザウイルス薬で、次のような副作用が報告されています。

・気管支攣縮
・呼吸困難
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
・多形紅斑

万が一、これらの症状が出たらただちに服用を中止し、病院での診察を受けてください。

高齢者や妊娠中の使用について

高齢者や糖尿病を含む慢性代謝性疾患・慢性・腎機能障害・慢性心疾患などの基礎疾患を有する患者、免疫低下状態の患者などは「使用経験が少ない」とイナビルの添付文書に記載があります。

上記のような患者がイナビルを使用する場合には、状態を十分に観察しながら医師と相談の上で使用を検討するようにしてください。

また、これまで妊婦中・授乳中の方へのイナビル投与は「出来るだけ控えるように」というのが主流でした。

しかし、近年、各学会からの発表により以下のような見解が出されています。

さまざまな見解はありますが、妊娠中や授乳中の場合は、かかりつけ医とよく相談の上、投与を検討するようにしてください。

妊娠中の方

妊娠中にイナビルを服用しても、「流産・早産・胎児形態異常などの有害事象は増加しなかった」と、2014年の7月に「公益社団法人 日本産科婦人科学会」から発表がありました。

妊娠中のイナビル服用は妊娠予後に悪影響は見られなかったとし、妊婦のイナビル使用は可能とされています。

授乳中の方

2013年に行われた、第44回日本小児臨床薬理学会で授乳婦へのイナビル投与をした時の母乳中の薬物濃度測定についての発表がありました。

検査の結果、「イナビル吸入後1~46時間の母乳の薬物濃度を測定した所、全ての例において薬物濃度が検出限界未満であった」ことが発表され、授乳婦に対するイナビル投与の安全性は高いと示されました。

イナビルは治療だけでなく予防にも使える!

イナビルは治療目的だけでなく、予防目的でも使用されることがあります。

治療の場合と予防の場合では、用法・用量・服用期間など、様々な面で違いがあります。また、予防目的の場合、インフルエンザ予防効果は服用から10日間と限られています。

イナビルは処方薬なので、購入には医者の処方箋が必要です。さらに、自分がインフルエンザウイルス感染者ではなく、予防目的で処方箋を貰うには家族や一緒に生活している人がインフルエンザになった場合という条件がつきます。

受験などで、インフエンザに感染できない事情がある場合は、医師に相談することで処方箋を貰えるケースがあります。ただし、基本的には処方のための条件があるため、予防目的では処方箋を出さない病院や医師もいます。予防目的での処方が可能かどうか事前に病院側に確認することをおすすめします。

そして忘れてはいけないのが、イナビルを保険薬局で購入する場合、保険適用額で購入出来る条件はインフルエンザウイルスに感染し、症状の発症がみられる場合のみです。

例え家族にインフルエンザ患者がいたとしても、予防目的での購入は保険適用外になり、購入額は「薬の値段+薬剤技術料などの総合計額」を負担しなくてはいけません。ご注意ください。

なお、今まで10歳未満の子どもは、イナビルを予防投与に使用することはできませんでしたが、2016年から使用することが可能になりました。

予防目的でイナビルを使用する場合は、こちらの関連記事をごらんください。
関連記事:【インフルエンザ予防薬編】「イナビル」の予防使用方法・予防効果・予防期間・価格などのまとめ

イナビルと異常行動:関連性は明らかになっていない

近年、「坑インフルエンザウイルス薬を飲んでベランダから飛び降りた」などという異常行動のニュースをテレビやインターネットなどでよく耳にするようになりました。

結論からいうと、イナビルなどの「坑インフルエンザウイルス薬の服用と異常行動には関連性がない」という研究結果が、国立感染症研究所研究員の研究チームから発表されています。

厚生労働省が発表しているインフルエンザ罹患に伴う異常行動研究のデータを参照するとタミフルを服用した患者と服用しなかった患者の異常行動がほぼ同件数の年があったり、むしろタミフルを服用しなかった患者の方が、異常行動が多かった年もありました。

このように抗インフルエンザ薬と異常行動の因果関係は明らかになっていませんが、小児・未成年者については、 異常行動による転落等の万が一の事故を防止するために、イナビルを使用した後少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮するようにしましょう。

おわりに

イナビルは、1回の吸引で済み、薬局で使い方の説明を受けながらその場で治療を完結することもできます。

また、1回の使用で効果が5日間続くので、同じ吸入薬のリレンザに比べても使い方が簡単で、解熱が早い点が魅力といえます。

小児・高齢者・持っている疾患などにより、処方が変わってくる場合もありますので、医師・薬剤師ともよく相談した上で、使用を検討しましょう。

関連記事:【インフルエンザ薬】イナビルの使い方&吸い方!おうちで吸入方法に迷ったらチェックしよう

ミナカラ
インフルエンザの基礎知識・予防・治療・お薬まで

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