インフルエンザワクチンに防腐剤?妊婦への安全性は?

インフルエンザワクチンに含まれている防腐剤・チメロサール。気になる妊婦への影響についても解説します。

インフルエンザの予防接種で注射するワクチンの中には、防腐剤として水銀が含まれているという話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

水銀と聞くと、毒性や体への影響が心配になり、危険なものと誤解されてしまうかと思いますが、インフルエンザワクチンに使用される水銀は、私たちがイメージする毒性のある水銀とは異なる物質です。
また、インフルエンザワクチンは保存剤・防腐剤となる成分が含まれているものが多くありますが、現在は防腐剤などの添加物が含まれないワクチンも存在します。

この記事では、インフルエンザワクチンは本当に危険なのか、危険という情報に対しての解説と、保存剤・防腐剤フリーなワクチンについての情報をご紹介します。
 

インフルエンザワクチンに含まれるのはどんな防腐剤?

防腐剤・チメロサールについて

インフルエンザワクチンには、開封後の細菌汚染防止のため、防腐剤がごく微量、ワクチンに含まれます。使われている防腐剤は、チメロサールという化合物です。

チメロサールは、エチル水銀と呼ばれる有機水銀に由来する防腐剤で、優れた殺菌作用を持ち古くから使われてきた物質です。
水俣病に起因する「メチル水銀」とは異なり、体内に蓄積されず体から排出される時間も短いのが特徴です。

「メチル水銀」は運動失調などの中枢神経障害を起こす毒性が知られていますが、「エチル水銀」は局所の赤みや腫れなどの皮膚過敏症以外に毒性は明らかになっていません。

チメロサールは除去・減量の方向にある

チメロサールの安全性は保証されていますが、水銀剤であるということから、WHO(世界保健機関)はチメサロールの量を可能な限り減らし、将来的には代わりとなる保存剤を開発して完全に取り除くことを各国に向けて勧告しています。

そのため、現在は各国ともワクチンからのチメロサール除去・減量の努力を行っており、防腐剤入りのワクチンに含まれるチメロサールの量は「0.002〜0.005mg」程度まで減量されています。
チメロサールの重量のうち約半分(49.55%)が水銀の重量となるため、1回の予防接種あたりの水銀量は「0.001〜0.003mg」程度です。

この量は極めて微量であるといえ、米国環境保護庁が定める基準をはるかに下回っています。

チメロサールフリーのワクチンも

ワクチンには2人用の1.0mlワクチンと、1人用の0.5mlワクチンがあります。2人用の1.0mlのワクチンには防腐剤が含まれていますが、0.5mlは1人用で1回で使い切るため、防腐剤が必要ありません。

そのため、0.5mlのワクチンはチメロサールフリーとなっています。

インフルエンザワクチンに含まれる防腐剤の妊婦への影響は?

チメロサールの安全性は保証されていますが、妊娠中の方は本当にお腹の赤ちゃんに影響しないか気になるところですよね。

1990年代に、乳幼児の発達障害や自閉症とチメロサールとの因果関係が指摘されたため、チメロサールの毒性が問題視されました。しかし、その後の多数の研究では、チメロサールと発達障害や自閉症との関連性はないとされています。

さらに厚生労働省の見解では、予防接種の効果の有益性の方が、チメロサールの危険性より高いとされています。

授乳中の場合、ワクチン接種の効果は母乳を介して赤ちゃんに移行しますが、ごく微量なので心配することはありません。

2016/2017は全てのワクチンに防腐剤が含まれる

2016/2017シーズンのインフルエンザワクチンには全てのメーカーのものにチメロサールが含まれており、チメロサールフリーのワクチンは今年度は製造されません。

その理由としてワクチンメーカー大手の工場が熊本にあることが挙げられます。2016年の熊本地震の影響を受け、生産が一時ストップしたため、1.0mlの防腐剤入りワクチンに統一して増産されたためです。

今年度は全てのワクチンにチメロサールが含まれていますが、チメロサールを接種した時の影響よりインフルエンザを発症した時のリスクの方がはるかに大きいと考えられているため、ワクチンの接種が推奨されています。

おわりに

予防接種に含まれる有機水銀チメロサールの量は昔と比較しても減量されており、体への悪影響はほぼ心配ないと考えられています。
それでも妊婦や授乳中の方、2回予防接種する13歳未満の子どもなど、不安のある方は医師に相談してワクチンの使用を検討することをおすすめします。

ミナカラ
インフルエンザの基礎知識・予防・治療・お薬まで

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