フルコートfはどんな薬?
フルコートfは、化膿を伴う湿疹やかぶれ、あせもなどの皮膚トラブルに使用できるステロイド配合の塗り薬です。
市販のステロイド成分の中では、最も作用の強いステロイド成分を使用しており、また、抗生物質が配合されていることによって患部で細菌が繁殖するのを防ぐ効果もあります。
軟膏タイプの塗り薬で皮膚を保護する作用もあるため、カサカサした患部・ジュクジュクした患部のどちらにも使用することができます。
フルコートfが使える症状 |
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● 化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん ● 化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
フルコートf【指定第二類医薬品】
フルコートfの効果
フルコートfには、「フルオシノロンアセトニド」と「フラジオマイシン硫酸塩」の2種類の有効成分が配合されています。
ステロイド成分|フルオシノロンアセトニド
ステロイドには、かゆみや炎症のもととなる「ロイコトリエン」や「プロスタグランジン」などの生成をおさえることで、症状を鎮める効果があります。
ステロイドは、作用の強さによって5段階にランク分けされており、症状や部位などに応じて適した強さが異なります。5段階のうち、ストロンゲストとベリーストロングは病院で処方される処方薬のみで、市販薬は、ストロング、ミディアム、ウィークの3段階に限られています。
フルコートfに配合されている「フルオシノロンアセトニド」は、市販薬の中では最も作用の強いストロング(強い)に分類されるステロイド成分です。
抗生物質|フラジオマイシン硫酸塩
皮膚をかきむしると、皮膚のバリア機能が破壊され、傷口に雑菌が繁殖し、膿ができやすくなってしまいます。
抗生物質「フラジオマイシン硫酸塩」には、雑菌の繁殖を防ぐことで症状の悪化を防いだり、ジュクジュクと化膿した皮膚炎を緩和する効果があります。
また、ステロイド剤は免疫力を抑制する作用もあり、化膿部分に使用すると、細菌の増殖を助けてしまうことがありますが、フラジオマイシン硫酸塩が配合されていることによって化膿した皮膚炎に使うことができます。
フルコートfの使用方法
使用回数と塗り方
フルコートfは、1日数回患部に塗って使用します。ただし、ステロイド成分が配合されており、使う回数や量が増えると副作用のリスクも高まるため、通常であれば1日2回程度塗ればよいでしょう。
使用量は、第一関節にまっすぐ薬剤を出した分量(約0.5g)で成人の手のひら2枚分の広さに広げるのを目安に、患部の範囲によって分量を調整して使用してください。
患部に刺激を与えると悪化させてしまうおそれがあるため、擦り込まず、できるだけやさしく患部に薬を乗せるように塗りましょう。
5〜6日間使用して改善が見られない場合は使用を中止して、皮膚科を受診するようにしましょう。
保湿剤と併用する場合
肌が乾燥のために保湿剤と併用されたい場合は、まず保湿剤を先に塗ってから、フルコートfは患部のみ使用するようにしてください。
保湿剤とフルコートfを同時に混ぜて使用してしまうと、薬の品質が変わってしまうことがあるため、混ぜて使用することはやめましょう。また、患部以外の部分にステロイド成分を塗ることになってしまうおそれもあります。
妊娠中の場合
フルコートfの添付文書では、「妊娠中の方は使用前に相談すること」という注意事項が記載されています。使用してはいけないわけではありませんが、妊娠中は、皮膚が非常に敏感になっています。
使用する前に必ず担当の医師に相談するようにしてください。
顔面に使用する場合
顔面の皮膚は、手のひらや足に比べると薬の成分が吸収しやすい箇所で、副作用も出やすいです。そのため、顔面に使用する際は患部のみに使用し、広範囲に使用することは避けましょう。
かゆみや発疹などの副作用が出た場合は、使用を中止して医師もしくは薬剤師に相談するようにしてください。
また、目の周辺は使用を避けるようにしてください。万が一目に入った場合は、すぐに水またはぬるま湯で洗い流すようにしてください。
長期連用はしないように
市販薬の中では比較的効果の強いフルコートfは、続けて使用すると副作用が起こりやすくなることがあります。
5〜6日使用しても改善しない場合、または悪化した場合は、皮膚科を受診するようにしてください。
密封して使用しないこと
ラップなどによる密封法での使用は避けましょう。密閉によって成分が皮膚から吸収されやすくなり、副作用が起こりやすくなることがあります。
おむつかぶれで使用する場合、おむつも密閉法と同様の作用があり、効果が強くでるおそれれがあるので注意するようにしましょう。
フルコートfが使えない症状
フルコートfに含まれる抗生物質は、細菌の繁殖をおさえることはできますが、ウイルスや真菌の繁殖をおさえることはできないため、ウイルス(水ぼうそう、口唇ヘルペスなど)や真菌(みずむし・たむしなど)に感染している部位には使用できません。
そのほか配合されているステロイド成分には、皮膚の抵抗力を低下させ、炎症をおさえる働きがあるため、感染疾患の症状を悪化させるおそれがあります。
やけどにも使えない?
フルコートには、病院で処方される処方薬フルコートF軟膏と、薬局やドラッグストアで買える市販薬フルコートf軟膏の2種類があります。
市販薬のフルコートfはやけどに適応がなく、また、ステロイドには免疫抑制作用があり、化膿している(細菌に感染している)皮膚に使うとかえって悪化するおそれがあるため、自己判断で使用することはできません。
ただし、病院では感染予防の目的などで、やけどにフルコートFを処方されることがあります。処方された場合は、患者さん一人一人の皮膚の状態や症状に合わせて薬が決められているため、医師の指示に従った上で使いましょう。
やけどに使える市販薬については、次の記事で詳しく解説しています。
フルコートfの副作用
フルコートfはステロイド成分を使用した薬ですが、外用薬のため、飲み薬などに比べると、全身性の副作用が出づらくなっています。
しかし、全く副作用が出ないということはありません。
フルコートfを使用した部分に赤みやかゆみ、ただれが現れたり、膿み、刺激感などの症状が現れた場合は副作用のおそれがあります。すぐに使用を中止して、皮膚科を受診してください。
部位 | 副作用とみられる症状 |
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皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ、ただれ |
皮膚(患部) | みずむし・たむし等の白癬、にきび、化膿症状、持続的な刺激感、白くなる |
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