アセトアミノフェンの効能・副作用|カロナールとの違いは?
アセトアミノフェンは解熱鎮痛効果のある成分で、解熱鎮痛成分のなかでは胃腸障害の副作用が比較的出にくい薬として知られています。
アセトアミノフェンの効能|頭痛や生理痛などに使用される
アセトアミノフェンには、頭痛や生理痛、腰痛、筋肉痛、歯痛などのさまざまな痛みを鎮める鎮痛作用や、発熱時の解熱作用があります。
アセトアミノフェンの副作用
アセトアミノフェンの副作用には、以下のようなものが報告されています。
・皮ふの発疹・発赤、かゆみ |
アセトアミノフェンとカロナールの違いは?
薬は成分名で伝えられることも多いですが、カロナールもアセトアミノフェンも同じ成分の薬のことを指しているため、大きな違いはありません。
カロナールは商品名、アセトアミノフェンは成分の名称です。
アセトアミノフェンが配合された市販薬はある?
アセトアミノフェンが配合された市販薬には、アセトアミノフェンのみが配合されたものと、アセトアミノフェン+NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)など他の成分も配合されている配合剤があります。
■NSAIDsは解熱鎮痛成分のグループ
NSAIDs(アスピリンやイブプロフェンなど)とは解熱鎮痛成分の一部のグループのことを指します。アセトアミノフェンと同様に、様々な痛みや発熱に効く成分です。
アセトアミノフェンのみ配合の市販薬|解熱鎮痛剤(痛み止め)
アセトアミノフェンのみが配合された市販薬には、タイレノールAやラックル、小児用バファリンチュアブルなどがあります。
商品画像 | 特徴 |
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・眠くなる成分無配合 ・15歳以上 |
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・眠くなる成分無配合 ・速溶錠タイプ ・15歳以上 |
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・眠くなる成分無配合 ・オレンジ味 ・3〜15歳未満 |
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・眠くなる成分無配合 ・フルーツ味 ・3〜15歳未満 |
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・眠くなる成分無配合 ・7歳以上 |
タイレノールA|15歳以上
タイレノールA 10錠
効能効果 |
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○頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
タイレノールAは15歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。頭痛などの痛みや、熱などに効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
ラックル|15歳以上、速溶錠
ラックル 12錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
効能効果 |
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○腰痛、神経痛、関節痛、肩こり痛、筋肉痛、頭痛、ねんざ痛、外傷痛、打撲痛、骨折痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、月経痛(生理痛)の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
ラックルは15歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。水にすぐ溶けるタイプの速溶錠です。
パッケージには「腰痛 神経痛に早く効く」と記載されていますが、他のアセトアミノフェン配合薬と同様に、発熱や頭痛などの症状にも効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
小児用バファリンチュアブル|3〜15歳未満、オレンジ味
小児用バファリンチュアブル 12錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
効能効果 |
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○悪寒・発熱時の解熱 ○歯痛、抜歯後の疼痛、頭痛、打撲痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛(生理痛)、外傷痛の鎮痛 |
小児用バファリンチュアブルは、錠剤を飲み込むのが苦手な子ども(3歳から15歳未満)でも比較的服用しやすいチュアブル錠(オレンジ味)です。かみくだくか、口の中で溶かして服用するため、水なしで服用できます。
眠くなる成分も含まれていないため、就学中の子どもでも服用できます。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
小児用バファリンCⅡ|3〜15歳未満、フルーツ味
小児用バファリンC2 16錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
効能効果 |
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○悪寒・発熱時の解熱 ○歯痛、抜歯後の疼痛、頭痛、打撲痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛(生理痛)、外傷痛の鎮痛 |
小児用バファリンCⅡは、子ども専用(3歳から15歳未満)の解熱鎮痛薬(フルーツ味)です。眠くなる成分が含まれていないため、就学中の子どもでも服用できます。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
バファリンルナJ|7歳以上
バファリンルナJ【第二類医薬品】
効能効果 |
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○月経痛(生理痛)、頭痛、腰痛、肩こり痛、筋肉痛、関節痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、歯痛、抜歯後の疼痛、神経痛、耳痛、外傷痛、咽喉痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
バファリンルナJは7歳から服用できる解熱鎮痛剤です。眠くなる成分は含まれていません。また、チュアブル錠のため水なしでも飲むことができます。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
アセトアミノフェン+NSAIDs配合の市販薬|解熱鎮痛剤(痛み止め)
アセトアミノフェン+NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)配合の市販薬には、ノーシン錠やバファリンルナiなどがあります。
商品画像 | 特徴 |
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・アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン水和物配合 ・眠くなる成分無配合 ・15歳以上 ・錠剤タイプ |
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・アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン水和物配合 ・眠くなる成分無配合 ・15歳以上 ・散剤タイプ |
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・アセトアミノフェン、イブプロフェン、無水カフェイン ・乾燥水酸化アルミニウムゲル配合 ・眠くなる成分無配合 ・15歳以上 ・錠剤タイプ |
ノーシン錠|15歳以上、錠剤タイプ
ノーシン錠 16錠【指定第二類医薬品】
効能効果 |
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○頭痛、歯痛、月経痛(生理痛)、神経痛、関節痛、腰痛、肩こり痛、咽喉痛、耳痛、抜歯後の疼痛、筋肉痛、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、外傷痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
ノーシン錠は、アセトアミノフェンとエテンザミド、カフェイン水和物が配合された錠剤タイプの解熱鎮痛剤です。散剤タイプが苦手な方におすすめです。
頭痛などの痛みや熱に効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
ノーシン散剤|15歳以上、散剤タイプ
ノーシン散剤 8包(指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】
効能効果 |
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○頭痛、歯痛、月経痛(生理痛)、神経痛、関節痛、腰痛、肩こり痛、咽喉痛、耳痛、抜歯後の疼痛、筋肉痛、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、外傷痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
ノーシン錠は、アセトアミノフェンとエテンザミド、カフェイン水和物が配合された散剤タイプの解熱鎮痛剤です。錠剤タイプが苦手な方におすすめです。
頭痛などの痛みや熱に効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
バファリンルナi|15歳以上、胃の粘膜を保護する成分
バファリンルナi 20錠【指定第二類医薬品】
効能効果 |
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○月経痛(生理痛)、頭痛、腰痛、肩こり痛、筋肉痛、関節痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、歯痛、抜歯後の疼痛、神経痛、耳痛、外傷痛、咽喉痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
バファリンルナiは、アセトアミノフェンとイブプロフェン、無水カフェイン、乾燥水酸化アルミニウムゲルが配合された錠剤タイプの解熱鎮痛剤です。
頭痛などの痛みや熱に効果をあらわします。また、乾燥水酸化アルミニウムゲルが胃粘膜を保護し、胃が荒れるのを防ぎます。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
市販薬を購入・服用する時に注意すべきこと
薬は含まれている成分によって適した年齢や体の状態が異なります。以下の方は成分によって使用できない場合もあるため注意してください。
アセトアミノフェン | NSAIDs (イブプロフェンの場合) |
カフェイン | |
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15歳未満 |
◯ |
× |
△ |
アスピリン喘息 |
◯ |
× |
◯ |
胃腸が弱い方 |
◯ |
△ |
△ |
15歳未満の方
15歳未満の方はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれる薬は基本的に服用できません。アセトアミノフェンのみが配合された薬の場合でも必ず小児用の薬を購入してください。また、カフェインは興奮作用があることから睡眠に影響を与える可能性もあるため、状況に応じてカフェインの有無も確認しましょう。
アスピリン喘息をお持ちの方
アスピリン喘息を患っている方はNSAIDsを服用することで喘息症状が誘発されるおそれがあります。そのため、NSAIDsが含まれている薬は避けた方が安全でしょう。
胃腸が弱い方
NSAIDsやカフェインは胃腸障害をおこすおそれがあります。服用して胃腸の調子が悪くなった経験がある方はNSAIDsやカフェインが含まれている薬は避けるか、胃粘膜を保護する制酸剤を配合した薬を選びましょう。
アセトアミノフェンなど解熱鎮痛剤に関するQ&A
ここでは、アセトアミノフェンなど解熱鎮痛剤に関するQ&Aについて解説します。
Q1 効果がなかなか出ない場合は服用量を増やしていい?
アセトアミノフェンは比較的胃への副作用の少ない薬ですが、服用量を誤ると肝臓機能の障害などが起こる危険性があります。
効果がなかなか出ないからといって、用法用量を守らず多量に服用するのはやめましょう。
Q2 アセトアミノフェンとNSAIDs(イブプロフェンやアスピリンなど)の違いは?
解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンと、NSAIDs(イブプロフェンやアスピリンなど)と呼ばれるグループの2つに大きく分けられます。
アセトアミノフェンとNSAIDの主な違いは、以下のとおりです。
特徴 | |
---|---|
アセトアミノフェン | ・15才未満も服用できる小児用の薬がある ・NSAIDsに比べて効果がおだやか ・NSAIDsに比べて胃への副作用が出にくい |
NSAIDs | ・市販薬では15才未満は服用できる薬がない ・アセトアミノフェンに比べて解熱鎮痛効果が強い ・アセトアミノフェンに比べて胃への副作用が出やすい |
アセトアミノフェンの市販薬には、15歳未満の子どもが服用できる小児用の薬もあります。また、NSAIDsの特徴のひとつである胃腸障害が比較的起こりにくく、授乳中の方でも使用できる薬があります。
一方、NSAIDsに分類されるイブプロフェンやアスピリンなどは、アセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高いとされています。ただし、市販薬では15歳未満の子どもが服用できる薬がありません。また、副作用として胃腸障害があらわれることがあります。
Q3 新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みにアセトアミノフェンは使用できる?
厚生労働省は新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みに対して、アセトアミノフェンや、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの解熱鎮痛剤が使用できると公表しています。※予防目的での服用は推奨されていません。
ただし、症状が重い場合や、咳やのどの痛み、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状がみられる場合、数日が経過しても改善しない場合は病院を受診してください。
市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。
以下の記事では、新型コロナワクチン接種後の副反応(発熱や痛み)に使える市販薬を紹介しています。
Q4 新型コロナウイルスの感染疑いがある時にアセトアミノフェンは使用できる?
発熱など新型コロナウイルスの感染疑いがある場合、まずはかかりつけ医か受診・相談センターに電話しましょう。
病院を受診する前に解熱鎮痛剤を使用したいとき、基本的には市販の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を服用しても問題ありません。ただし、解熱鎮痛剤の種類や服用する方の年齢や体質によっては、服用をさけたほうがよい場合もあるため注意が必要です。
厚生労働省では、以下のように回答しています。
Q5. 市販の解熱剤は服用しても問題ないでしょうか?
A5. 問題ありません。用法・用量等をよく確認の上、ご使用ください。なお、下記のような場合には主治医や薬剤師にご相談ください。
・他のお薬を内服している場合や、妊娠中、授乳中、ご高齢、胃・十二指腸潰瘍や腎機能低下など病気療養中の場合(飲める薬が限られていることがあります。)
・薬などによりアレルギー症状やぜんそくを起こしたことがある場合
・激しい痛みや高熱など、症状が重い場合や、症状が長く続いている場合
以下の記事では、新型コロナウイルスの発熱に効く市販の解熱剤、解熱剤の選び方などを紹介しています
Q5 インフルエンザにアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤は使用できる?
インフルエンザの疑いがある場合は、年代に関わらず、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれた市販薬の使用を避け、アセトアミノフェンが含まれた市販薬を使用しましょう。
因果関係がはっきりとしていないことが多いですが、NSAIDsを使用するとインフルエンザ脳症のリスクが高まるという報告もあります。
インフルエンザの症状に効く市販薬については、以下の記事で紹介しています。
Q6 妊娠中、授乳中にアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤は使用できる?
妊娠中・授乳中の解熱鎮痛剤の使用については、場合によっては赤ちゃんへ影響をおよぼす薬もあるため注意が必要です。
■妊娠中の場合
『産婦人科診療ガイドライン2020』によると、妊娠中の解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが勧められています。
市販薬でもアセトアミノフェンを含む薬は数多く販売されていますが、妊娠の経過や体調・体質は個々で異なり、アセトアミノフェンが服用できない可能性もあるため、服用する前にかかりつけ医に相談してください。
なお、妊娠中の場合はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に注意が必要です。妊娠後期にNSAIDsを使うと動脈管という血管が収縮し、胎児に影響が出るおそれがあるため、妊娠後期は服用が禁止されています。
妊娠中の薬の使用については、妊娠時期や薬の性質を考慮しながら使用できる薬を選ぶ必要があるため、まずはかかりつけ医に相談することが大切です。
■授乳中の場合
国立成育医療研究センターでは『授乳中に安全に使用できると考えられる薬』として、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが紹介されています。したがって、軽い頭痛などですぐに病院を受診できない場合はアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが配合された薬を使用するとよいでしょう。
ただし、薬によっては解熱鎮痛成分以外の成分が一緒に配合されてる、他の薬との飲み合わせや授乳頻度など気をつけなければいけないこともあるため、市販薬を購入する際は薬剤師に相談することをおすすめします。
また、服用の際は添付文書に記載の使用期間や用法・用量を守り、服用は短期間にとどめ、症状が改善しない場合はかかりつけの産婦人科や内科を受診しましょう。
以下の記事では、妊娠中・授乳中に使用できる市販の解熱鎮痛剤について解説しています。
小さなお子様や妊娠中・授乳中の方は、ご自身の体調などによっては服用の際に注意すべき成分が薬に入っている可能性があります。購入の際に薬剤師に相談するのが安心ですが、今回ご紹介した市販薬の購入先「ミナカラ薬局」では、薬の購入時・購入後に電話やメール、LINEチャットで薬剤師に相談することが可能です。ぜひご活用ください。