サノレックスとは?

サノレックス(成分名:マジンドール)は、国内で初めて厚生労働省から認可された食欲抑制剤で、肥満症の治療などに用いられます。いわゆる「やせ薬」という認識を持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、注意しなければいけないのは、ただ「飲めばやせる」というわけではないということ。サノレックスは、肥満症そのものを治すわけではありません。食事や運動でのダイエットと組み合わせることが重要です。

また、気軽なダイエットのために服用する薬ではありません。その効果や副作用をしっかりと理解して、適切に使用することが大切です。

ミナカラおくすり辞典:サノレックス錠0.5mg

サノレックスの入手方法

サノレックスは、医師の処方箋がなければ入手できない薬です。必ず、医師の適切な診断のもとで処方してもらいましょう。

保険適用での処方

医師の診断により、重度の肥満症の治療のために処方された場合は、健康保険が適用されます。

自由診療での処方

自由診療では、保険が適用されないケースの場合も処方してもらうことが可能です。

ただし、医師の判断により軽度の肥満の場合は処方されない場合や、医療機関によってサノレックスの価格が異なる場合もあります。
事前に確認しておくと良いかもしれませんね。

個人輸入は不可

近年、医薬品を個人輸入するケースもみられます。
しかし、サノレックスは向精神薬に分類されており、麻薬及び向精神薬取締法により個人輸入は禁止されています。
通信販売で購入することもできません。

サノレックスの効能・効果

処方対象と薬の役割

保険適用でのサノレックスの処方には、基準があります。

あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助

サノレックス錠0.5mg添付文書

つまり、適応となるのは「BMIが35以上(または肥満度が+70%以上)であり、さらに食事療法及び運動療法を行っているが十分に効果が出ていない方」です。

少し太り気味というような方は使用できず、また、食事療法と運動療法をあわせたダイエットの補助のいう位置づけです。
サノレックスを飲むことだけで痩せようとする考え方は不適切であると言えるでしょう。

【BMIの計算方法】BMI=[体重(kg)] /[身長(m)×身長(m)]

例)BMIが35以上になるのは、身長160cmの方の場合で89.6kg以上の方。

サノレックスでやせる理由

サノレックスには摂食中枢や満腹中枢を刺激することにより、食欲を抑える効果があります。また、消費エネルギーの促進や代謝機能改善の作用ももたらします。

つまり、
・食欲が抑えられること
・消費カロリーが増えること

が期待でき、肥満症に効果があるとされているのです。

改善(効果)がみられた人の割合

サノレックスの臨床試験(治験)では、実際の効果が確認されています。中等度以上の改善は43.2%(19/44人)、軽度以上の改善は70.5%(33/44人)の患者にみられました。

軽度でも改善した人が75%というのはかなり効果が期待できそうですね。
ただし、この結果はあくまでBMIが35 以上の患者さんに使った結果です。
それほど肥満度が高くない方が使用しても、同様の効果が見込めるとは限らず、そもそも肥満度が高くない方は薬の適応ではないことについてはご注意ください。

サノレックスの使い方、用法・用量

サノレックスの添付文書には以下のような記載があります。

本剤は肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症患者に対して、食事療法及び運動療法の補助療法として用いる。
通常、成人には、マジンドールとして0.5mg(1錠)を1日1回昼食前に経口投与する。1日最高投与量はマジンドールとして1.5mg(3錠)までとし、2~3回に分けて食前に経口投与するが、できる限り最小有効量を用いること。
投与期間はできる限り短期間とし、3ヵ月を限度とする。なお、1ヵ月以内に効果のみられない場合は投与を中止すること。

サノレックス錠0.5mg添付文書

要点をまとめると、次のようになります。

■成人は、1日1回、1錠(マジンドール0.5mg)を昼食前に服用。
■1日で服用できる最高量は3錠(マジンドール1.5mg)まで。2〜3回に分けて食前に服用。ただし、できる限り最小有効量を用いること。
■服用期間はできる限り短期間とし、3ヶ月を限度とすること。
■1ヶ月以内に効果がみられない場合は服用を中止すること。

守らなければならない事項については、添付文書でしっかり確認しましょう。
細かい決まりがある理由としては、依存性をはじめとした副作用の危険性があります。薬の特性を理解し、安易な使用や長期継続はしないようにしましょう。

効果的な使い方は?

一般的に、薬を飲んでから、効果が現れるまでの時間は15〜30分とされています。
昼食をとる直前ではなく、30分前頃までに飲んでおくのが効果的といえるでしょう。

サノレックスの副作用

症例調査では、軽度なものも含めると、全体の21.4%の人に副作用が出たという結果があり、決して少ない数字ではありません。

主な副作用としては、口渇感(7.1%)や便秘(6.4%)、悪心・嘔吐(4.2%)、睡眠障害(2.1%)、胃部不快感(2.0%)です。
それ以外にも、眠気・頭痛・めまい・イライラなどが起こる場合もありますますが、頻度はそれほど高くありません。

上記のような副作用を防ぐために最も有効なのは、医師の処方に基づき、正しい用法・用量で使用し、自己判断で用量を変えたりしないことです。
さらには、少しでも身体の心配ごとがあるような場合は、すぐに専門家に相談することも覚えておきましょう。

重大な副作用

また、発生頻度はまれですが重大な副作用として依存性・肺高血圧症が報告されています。「頻度不明」の状態となっており、基本的にはかなり稀なものとなります。

依存性が発現する理由として、学問的にアンフェタミンという強い精神依存がある薬と作用の仕方が似ているという点があります。
しかし、サノレックスの構造自体はアンフェタミンと異なっており、臨床試験レベルでは明らかな依存性は認められていません。
また、耐性については生じにくいと考えられており、比較的、安全性は確保できている薬です。

ただし、動物実験での依存性試験では精神依存の形成が認められたという結果があるため、十分に注意すべき副作用には違いありません。
長期服用についても依存性につながる可能性があるため、投与期間は3か月が限度とされています。

肺高血圧症では、ちょっとした動作で息切れや動悸、呼吸困難などがおこります。薬を服用後に上記のような体調の変化が起こった場合は、担当医に相談してください。

サノレックス使用上の注意

服用ができない方

・サノレックスに対してアレルギーなどを起こしたことのある方
・緑内障の方
・重症の心障害のある方
・重症の膵障害のある方
・重症の腎・肝障害のある方
・重症の高血圧症の方
・脳血管障害のある方
・不安・抑うつ・以上興奮状態の方、および統合失調症などの精神障害のある方
・薬物・アルコール乱用歴のある方
・MAO阻害剤投与中、または投与中止後2週間以内の方
・妊婦または妊娠している可能性のある方
・小児

上記に当てはまる方は、サノレックスを服用してはいけません。
また、授乳中の方も服用は避けましょう。どうしても服用が必要な場合は、授乳を中止してください。       

服用の際に注意が必要な方

・糖尿病の方
・精神病の既往歴のある方
・てんかん、またはその既往歴のある方
・高齢者

これらに当てはまる方は、慎重な服用が必要です。
必ず医師の判断にしたがって使用しましょう。

飲み合わせ

■薬との飲み合わせ
サノレックスの服用に際して、併用してはいけない薬、注意が必要な薬があります。
特にMAO阻害剤は、その服用中、もしくは服用中止後2週間以内の方はMAO阻害剤の作用を強めてしまうことが考えられるため、サノレックスを併用してはいけません。

その他にも、昇圧アミン、インスリン、甲状腺ホルモンなどの薬剤との併用にも注意が必要です。

詳しくは以下をご確認ください。
サノレックス錠0.5mg

■アルコール(飲酒)との飲み合わせ
サノレックス服用中の飲酒は、めまいや眠気などの副作用を強める危険性がありますので注意が必要です。

■低用量ピル
低用量ピルとの併用は問題ないとされています。
その他、現在服用中の薬などとの飲み合わせに関して疑問がある場合は、医師に相談しましょう。

その他の注意事項

・服用中は、車の運転はやめましょう。
・睡眠障害を起こす可能性があるので、夕方以降の服用は避けましょう。

おわりに

2015年には、東京・六本木の開業医が、サノレックスを中国人らに不正に販売するという事件が起こりました。サノレックスを「やせ薬」として海外に転売することが目的でした。

自由診療では比較的簡単に手に入る場合があり、気軽に服用を開始するケースも多くみられるようです。しかし、サノレックスは、決して万能なやせ薬などではなく、使い方を誤ると非常に危険な一面も持っている薬であるのを忘れてはいけません。

必ず医師の診断を受ける必要があり、薬のことを十分に理解して使用することが重要です。