パタノール点眼液の効果
パタノール(成分名:オロパタジン塩酸塩)点眼液は、アレルギー性結膜炎に効能・効果をもつ薬です。
アレルギー性結膜炎とは、花粉症などのアレルギー反応によって目の結膜に炎症が生じることで、まぶたの腫れ・かゆみ・充血などの花粉症の症状が引き起こされます。
パタノールの効果
パタノールは、オロパタジン塩酸塩を有効成分とした抗ヒスタミン薬です。
花粉が体内に侵入すると肥満細胞と呼ばれる細胞から「ヒスタミン」が放出されます。放出されたヒスタミンが知覚神経を刺激することによって、まぶたの腫れ・かゆみ・充血などの花粉症の症状が現れます。
パタノールは主にヒスタミンが知覚神経を刺激する働きをおさえることで、目のかゆみや充血、炎症などの症状を鎮めます。
また、肥満細胞からヒスタミンが放出されること自体も抑制します。
オロパタジン塩酸塩は、花粉症の飲み薬「アレロック」の有効成分としても使われている成分です。
ものもらいに効果はある?
パタノールはものもらいに効果はありません。
ものもらいと花粉症の目の症状は似ていることがありますが、ものもらいの原因は細菌感染です。治療には抗菌薬の目薬が必要です。
目が赤くてかゆいからといって、家にあるパタノールを使用するのは避けましょう。
眼がゴロゴロしたときは眼科を受診するか、ドラッグストアの薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
パタノールの使い方
通常、1回1~2滴を1日4回(朝、昼、夕方、就寝前)点眼します。
室温(1~30℃)で直接光が当たらないような暗い場所で保管します。
使用期限の目安として、開封後1か月程度で使い切ってください。
パタノールが効かないときは?
パタノールを使用しても効果を感じられない場合は、漫然と長期に渡って使用することは避けましょう。
パタノールだけでは症状改善がみられない場合は、ステロイドの目薬を同時に処方してもらうといったケースもあります。
目がかゆいからといって手でこすってしまうと、眼を傷つけたり雑菌が入ってしまうもとにもなります。
パタノールの効果をあまり感じられない、または自分に合っていないと感じた場合、まずは医師に相談しましょう。
パタノールの副作用
パタノールもごくまれにですが副作用の報告があります。
最も多い副作用は「眼痛」です。臨床試験においては、2.1%の方に発現しています。
製薬メーカーは眼痛を「点眼にともなう刺激感」に起因する症状としています。
眼痛以外の副作用の発生率は、ほとんどが0.5%未満とまれです。まれではありますが、全くゼロではないので、いつもと違う症状が出た場合は医療機関を受診してください。
主な眼の副作用 | ・角膜炎 ・かゆみ ・まぶたのむくみ ・充血 ・結膜からの出血 ・まぶたの湿疹 ・涙の増加 ・異物感 ・不快感や異常感 ・霧視 など |
眼以外の副作用 | ・頭痛 ・味覚異常 ・めまい ・口内や喉の乾燥 ・吐き気 など |
コンタクトレンズのまま使える?
ソフトコンタクトレンズは必ず外す
パタノールには雑菌の繁殖を防ぐための防腐剤である「ベンザルコニウム塩化物」が配合されています。
ソフトコンタクトレンズをしたまま点眼すると、防腐剤を吸着したコンタクトレンズが目の角膜を傷つけてしまうおそれがあります。
ソフトコンタクトレンズを使用している場合は、コンタクトレンズを外してからパタノールを点眼しましょう。点眼後は10分以上あけてから再びコンタクトレンズを装着してください。
ハードコンタクトレンズは医師に相談
ハードコンタクトレンズに関しては製薬会社からは特に指定がありませんが、医師の指示に従ってください。
なお、ハードコンタクトレンズに名前が似ているものに「酸素透過性(O2)ハードコンタクトレンズ」があります。
酸素透過性(O2)ハードコンタクトレンズはハードコンタクトレンズとは素材が異なり、保存剤を吸着し角膜に障害を起こすとの見方もあるので、コンタクトを外してから点眼することが望ましいです。
メガネかワンデーコンタクトがおすすめ
花粉症による結膜炎のときはコンタクトレンズそのものが眼の負担になります。
花粉症の方は花粉シーズン中だけでもコンタクトレンズをメガネに換えることをおすすめめします。
コンタクトレンズをつけなければいけない場合は、花粉が付着しても交換できる1日使い捨て(ワンデー)のコンタクトレンズがおすすめです。
子ども・妊婦・授乳婦の使用
子どもの使用
パタノールは1歳以上の子どもによく処方される目薬です。
1歳未満でも医師の判断により処方されることがあります。
使用については必ず医師の指示を正しく守りましょう。
妊娠中・授乳中の使用
妊娠中や授乳中であっても医師の判断で使用されることがある目薬です。
パタノールは眼に限定的な作用であり、全身に成分が移行しないと考えられていますが、処方については医師の診察と判断によって決められます。
パタノールの使用または使用中の授乳は、医師の指示に従ってください。授乳中で授乳を継続したい場合は、診察時に医師と相談してください。
パタノールの薬価|ジェネリックや市販薬はある?
パタノール点眼液0.1%の薬価
パタノールの薬価は196.7円/mlです。
処方されるパタノールは5mlのため、1本あたり983円になります。
パタノールの購入には処方箋が必要なので、薬価にプラスして病院での診察料、薬局で購入する際に薬剤料、調剤技術料や薬学管理料などの費用がかかります。
保険適用される場合は、総合計額の3割が自己負担額となります。
(2017年12月現在の情報です)
ジェネリックや市販薬
パタノール点眼液にジェネリック医薬品はありません。また、同じ成分の市販薬も販売されていません。
パタノールを購入する場合は、病院を受診して処方箋をもらう必要があります。
(2017年12月現在の情報です)
おわりに
パタノールは、副作用が少なく目にしみにくい特徴で、正しく使用すれば高い効果を感じられる目薬です。
ただし、パタノールを長期間使用しても症状がおさえられない場合には眼科の医師に相談しましょう。