長年、頭を悩ませる身近な病となっている便秘。とくに女性や高齢の方に多い症状です。
食べた物が便となるまで最大3日かかるといわれており、小食の方は便も少ないため毎日出ないことがあります。
便秘には明確な定義はありませんが、便通が週2回以下の方は便秘と診断される可能性が高くなります。
食生活から市販薬、医薬品に渡って試してみたけど、なかなか思うような効果が得られない…そんな悩みをお持ちの方も少なくありません。
2012年に登場した医療用医薬品「アミティーザ」は、慢性の便秘症状に効果を示すカプセルタイプの薬です。便秘薬としては約30年ぶりの新薬となり、今までの便秘薬と比べて効果を高め副作用を少なくした便秘症状の救世主になり得る存在です。
アミティーザは医師の処方箋が必要な薬です。薬局などで買える市販の便秘薬については関連記事をごらんください。
アミティーザの効果
アミティーザは、ルビプロストンを成分とした薬です。
ルビプロストンには、小腸内に水分を流入させ便に水分を含ませ柔らかくし、腸管内の輸送能力である蠕動(ぜんどう)運動の力を高めて自然な排便を促す作用があります。
アミティーザは症状が出たときに飲む薬ではなく、飲み続けることで排便のリズムを整える薬です。
そのため「◯時間後に必ず排便する」というわけではありませんが、おおよそ24時間以内に排便がみられた人が約60%という製薬会社の報告があります。
アミティーザの特徴
アミティーザは、今までの便秘薬である酸化マグネシウムや刺激性下剤とは全く違った効き方をする薬です。
従来の主な便秘薬の特徴
◼︎浸透性下剤(酸化マグネシウムなど)
浸透性下剤は、便に塩分(主にマグネシウム)を含ませることで体内の水分が便の中に入り込み、便を柔らかくし排出を促す薬です。酸化マグネシムは代表的な成分です。
習慣性がなく量も調節しやすいのが特徴ですが、効きすぎると下痢になりやすいという欠点があります。また、他の薬との飲み合わせが悪い場合があり、心臓や腎臓に疾患がある場合は使用に注意が必要です。
◼︎刺激性下剤(センノシド・センナ・ピコスルファートなど)
刺激性下剤は大腸を刺激することで、便を肛門側(出口)へと運ぶ蠕動運動の力を高める薬です。代表的な成分にセンノシド・センナ・ピコスルファートなどがあります。
酸化マグネシウムに比べて、人によっては高い効果を得られる場合がありますが、常用することで薬が効きにくくなったり(耐性)、薬を飲まないと便が出ない(習慣性)が生まれます。また、腹痛を起こすことがあります。
アミティーザと従来の便秘薬との違い
アミティーザは、酸化マグネシウムのように下痢になりにくく、刺激性下剤のように耐性・習慣性が起きにくいのが特徴です。
酸化マグネシウムも同じような効果をもたらしますが、大腸に作用する酸化マグネシウムと異なり、アミティーザは小腸に作用するため、酸化マグネシウムより下痢になりにくいという特徴があります。
アミティーザは、今までの便秘薬の欠点を改善してパワーアップさせた薬といえるのです。
アミティーザの副作用
アミティーザは従来の便秘薬と比較して副作用の少ない薬ですが、下痢や吐き気などが現れることがあります。
空腹時に使用すると吐き気が出やすくなるため、食後に使用しましょう。
副作用でつらいときは、薬を処方した医師に相談してみてください。1日2回の処方を1回に減らすなどの対応が取られることがあります。
便秘が悪化する可能性があるため、自己判断で中止したり量を減らしたりしないようにしてください。
アミティーザの飲み方
1日2回1カプセルを朝、夕食後に飲むようにしてください。
従来の便秘薬と異なり、就寝前の1回や便秘の症状があるときにだけ使用するのではなく、継続して飲む必要があります。医師の指示に従いましょう。
アミティーザを使用できない人
妊娠中や腸閉塞を患っている場合は、使用することができません。必ず医師に相談してください。
アミティーザの薬価
アミティーザの薬価は、1カプセル161.1円です。保険が適用され、3割負担の場合は、1カプセルで実質48円となります。
従来の便秘薬と比べると薬価は高く飲み続ける薬であるため、費用がかかる点はデメリットといえるでしょう。
おわりに
従来の便秘薬では、期待する効果が得られなかったり、常用することで効果がでなくなった結果、飲む量が増え便通コントロールが取れなくなり、負のサイクルに陥ることも多くありました。
アミティーザはこれまでの負のサイクルを断ち切る特効薬になる可能性があります。自然な排便へと変わった瞬間の感動が待っているかもしれません。
アミティーザを使用してみたい場合は医師に相談してみてください。