メトクロプラミドとは

メトクロプラミドは、主に吐き気や嘔吐などの症状をおさえる目的として使われている制吐薬です。嘔吐を引き起こす原因にはさまざまなものがありますが、メトクロプラミドは幅広い原因の嘔吐に対して使える比較的効果の強い薬です。

メトクロプラミドはプリンペランのジェネリック医薬品です。先発医薬品であるプリンペランは1965年から販売されており、広く使われています。

吐き気や嘔吐はなぜ起こる?

脳には嘔吐中枢という嘔吐を制御している主要な部位があります。また、同じく脳にある化学受容器引き金帯(CTZ)は嘔吐を起こす刺激を受ける部位であり、嘔吐中枢に刺激を出力します。

消化管はさまざまな原因によって運動が鈍くなりますが、胃の内容物が停滞されると消化管の受容体が刺激されることで脳に刺激が伝えられ、嘔吐が引き起こされます。

嘔吐を起こす刺激って?

嘔吐を誘発する刺激というのは、薬物の影響、毒物などによる中毒、細菌の毒素による感染症、血液などの代謝の異常、乗り物酔い、ストレスなどの精神的なもの、悪臭などの嗅覚や視覚的刺激によるもの、胃腸炎や中耳炎など疾患によるものなどがあります。

メトクロプラミドの効果

製薬会社が出している添付文書では、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤(制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤)使用時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後の消化器機能異常(吐き気・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)に使うとされています。

また、X線検査時のバリウムの通過促進にも使われます。

メトクロプラミドを有効成分とする薬の剤形は錠剤、細粒剤、シロップ剤、注射剤などがあります。注射剤は緊急性がある方に主に使用されます。

メトクロプラミドの作用は?

メトクロプラミドは、神経伝達物質であるドパミンが結合することで吐き気を起こす受容体を遮断するドパミンD2受容体拮抗薬になります。

嘔吐をおさえるための作用はいくつかありますが、メトクロプラミドは脳の嘔吐中枢の受容体を遮断する作用と、胃などの消化管の受容体を遮断する両方の作用があります。主に脳の刺激による中枢性嘔吐と、臓器などからの刺激による末梢性嘔吐に対する両方の制吐作用を現すことが特徴です。

また、消化管の運動を促進させる作用があり、胃の内容物が腸管へスムーズに進むことで嘔吐を起こす刺激を緩和させます。

メトクロプラミドの副作用

メトクロプラミドは古くから使われている薬ですが、作用が広く脳にも成分が移行しやすいため副作用が認められています。

メトクロプラミドの主な副作用としては、手指のふるえ、筋肉の硬直、眼球回転発作、焦燥感などの錐体外路症状が起こりやすいとされています。ほかに、無月経、胃の緊張増加、腹痛、下痢、便秘、頻脈、眠気、頭痛、興奮、不安、発疹、むくみ、めまい、倦怠感などの副作用が現れることがあります。

眠気やめまいなどが現れることがあるので、メトクロプラミドを使用中の場合は、自動車の運転など危険をともなう機械の操作はしないでください。

メトクロプラミドはつわりに使える?

医師の判断により、メトクロプラミドが妊娠中の方のつわりの緩和に処方されることもあります。

胎児への影響は少ないとされていますが、妊婦中・妊娠している可能性のある方に対する安全性は確立していないため、自己判断で使用することは避けてください。

また授乳中の方は、母乳中に移行するおそれがあるので、医師に指示されて使用する場合は授乳を避けてください。

メトクロプラミドは子どもに使える?

メトクロプラミドは子どもにも処方されることがあります。子どもには、飲みやすいようにシロップ剤などが処方されることも多くあります。

しかし、子どもは過量使用により脳の神経経路の1つである錐体外路(すいたいがいろ)の障害で起こる錐体外路症状が発現しやすいので、慎重に使用することとなっています。特に脱水状態、発熱しているときなどには注意が必要です。

高齢者などは生理機能が低下していることが多く、副作用が現れやすいため注意して使用してください。

メトクロプラミドと同じ市販薬はある?

吐き気をおさえる制吐薬はいくつか販売されていますが、メトクロプラミドと同じ成分で同じ作用を起こす市販薬は2017年9月現在販売されていません。

市販薬を使用する場合、含まれている成分によって吐き気をおさえる作用が異なります。アルコールや乗り物酔いによる刺激など、日常的な原因がわかる場合は市販薬を自分で選ぶことも可能です。しかし、嘔吐を起こす原因がどこにあるのかわからない場合は、市販薬ではなく病院を受診して医師に相談しましょう。

メトクロプラミドと似ているナウゼリン

メトクロプラミドと同じ制吐薬として有名な処方薬でナウゼリンがあります。ナウゼリンはメトクロプラミドと同じドパミンD2受容体拮抗薬として働きますが、脳へ移行しにくいためメトクロプラミドより副作用の錐体外路症状は起こりにくいとされています。

子どもにも広く使用され、座薬やドライシロップ剤として処方されています。

ほかのジェネリックは?

メトクロプラミドはプリンペランのジェネリック医薬品です。同じ有効成分を含むジェネリック医薬品はほかにもいくつかあり、プラミール、テルペラン、エリーテン、アノレキシノンなどがあります。

おわりに

嘔吐が起こる原因はさまざまなので、自分なりに嘔吐の原因を理解することが大切です。制吐薬であればどんな嘔吐の症状にも効果的に作用するというわけではないので、症状に悩む場合は医師に相談してください。