アトピー、虫刺され、あせも、乾燥肌、手湿疹、しもやけなど。
炎症からくるかゆみをともなう皮膚トラブルは一年中尽きません。
ステロイド外用剤とは、かゆみの元となる炎症を鎮めてくれる抗炎症作用をもった薬です。炎症やかゆみのレベル、現在の肌の状況によって使用するステロイド外用剤は異なります。ステロイド外用剤は、患部にあわせて正しい強さの薬を選択し、用法・容量を守って使用すれば危ない薬ではありません。
ステロイド外用剤の中でも多く使われているリンデロン。この記事ではリンデロンの種類や違いについて解説します!
ステロイド外用剤を比較
ステロイド外用剤は、薬の強さによる分類があります。リンデロンの種類の違いは、薬に含まれるステロイドがどの強さに該当するのかという違いによります。
まずはステロイド外用剤の強さや、強さによる使用部位の違いなどを説明します。
ステロイド外用剤の強さを比較
ステロイド外用剤の強さは、体内への吸収度の違いにより、5段階にランク分けされます。
■Ⅰ群 ストロンゲスト(Strongest)
最強。症状の酷い手足や身体に使用される。
■Ⅱ群 ベリーストロング(Very Strong)
より強い。手足や身体に使用される。
■Ⅲ群 ストロング(Strong)
中間の強さ。首やおなかなど、皮膚が柔らかい部分に使用される。
■Ⅳ群 ミディアム(Medium)
穏やか。顔、デリケート部分にも使用される。
■Ⅴ群 ウィーク(Weak)
弱い。現在ウィークのみの単剤では、ステロイド外用剤としてほとんど使用されない。
ステロイド外用剤の部位による効果の違い
ステロイド外用剤は、5段階の強さの中から、使用する身体の部位や状態にあわせて薬を選択します。これは身体の部位によって、皮膚の厚さが異なるためです。皮膚の厚さが異なると、薬の吸収率に違いがでてきます。
手足など皮膚が厚い部分に穏やかな薬を使っても効果は薄く、反対に顔など皮膚が薄い部分に強すぎる薬を使うと、副作用を起こす可能性もあります。
例えば、ステロイド外用剤の強さランク「Ⅴ群(ウィーク)弱い」に分類される酢酸ヒドロコルチゾンを成人に使用した場合、前腕(屈伸側)の吸収率を1とすると、足裏は0.14、背中は1.7、頭部は3.5、顔は13と部位によって大きく異なるのです。
リンデロンの種類を解説
リンデロンと表記される薬には現在4種類あり、後ろに表記されるアルファベットで区別をします。4種類の違いは、ステロイド外用剤としての強さの該当ランクと成分によるものです。
「リンデロン」という表記でもアルファベットによって中身は違う薬になるので、症状に適した種類のリンデロンを使うことが大切です。
ステロイド外用剤 強さランク |
特徴 | |
---|---|---|
① リンデロンDP | Ⅱ群 ベリーストロング(Very Strong) |
大人は体幹部、子どもは腕や足などに多く処方される薬です。 |
② リンデロンV | Ⅲ群 ストロング(Strong) |
大人は全身~体幹部限定、子どもの場合は顔や陰部を除く体幹部に処方されることが多いです。 |
③ リンデロンVG | Ⅲ群 ストロング(Strong)+抗生物質 |
細菌感染した患部での細菌増殖を防ぐ、抗生物質「ゲンタマイシン硫酸塩」が配合されています。 |
④ リンデロンA | 眼・耳用のステロイド+抗生物質 ※通常のステロイド剤とは異なるため、Ⅰ群〜Ⅴ群に含まれません。 |
眼や耳などの特別な部位に使用されます。細菌感染した患部での細菌増殖を防ぐ、抗生物質「フラジオマイシン硫酸塩」が配合されています。 |
リンデロン4種類と薬の形
4種類あるリンデロンですが、各種類ごとに軟膏、クリーム、ローションなど薬の形もさまざまです。この「薬の形」のことを「剤形」といい、症状や使用する部位にあわせて剤形を選択すると、よりステロイド外用剤が使いやすくなります。
軟膏 | 一般的で多く使用される。患部が乾燥していても、湿り気のある状態でも使用可能。べたつき感がある。 |
---|---|
クリーム | 乾燥した患部に適している。軟膏よりべたつきは少ない分、使用量に注意。 |
ローション | 軟膏やクリームが使いにくい頭部などに適している。湿り気のある患部には向いていない。 |
スプレー | 頭部などに適しているが、使用量が分かりづらく、健康な部分にも付着する可能性がある。 |
ジェル | 炎症やかさつきのある、カビが原因の脂漏性(しろうせい)皮膚炎に適している。 |
具体的な4種類のリンデロンの剤形に関しては、ミナカラおくすり辞典をご参考ください!
リンデロンDP:リンデロン-DPゾル リンデロン-DP軟膏 リンデロン-DPクリーム
リンデロンV:リンデロン-Vローション リンデロン-Vクリーム0.12% リンデロン-V軟膏0.12%
リンデロンVG:リンデロン-VGローション リンデロン−VG軟膏0.12% リンデロン-VGクリーム0.12%
リンデロンA:眼・耳科用リンデロンA軟膏 点眼・点鼻用リンデロンA液
関連記事:『リンデロン軟膏(DP・V・VG・A)の効果と副作用!ニキビや虫刺されへの効果は?顔に使える?』
おわりに
リンデロンの種類は、ステロイド外用剤としての強さの違いにより分かれており、人体の部位により、ステロイドの吸収率は大きく異なります。
どのリンデロンを使用するかは、部位や患部の状態にあわせて処方されます。
そのため、診察を受けて処方された部分以外で炎症やかゆみが起きたときに、自分の判断で同じリンデロンを使用することは控えましょう。
特に強いレベルのステロイド外用剤に分類されるリンデロンを、顔などの皮膚が薄い部位に使用すると副作用が起こる場合があります。処方された部位以外に炎症やかゆみなどの皮膚トラブルが起きた際には、再度診察を受けるようにしてください。