麦門冬湯(バクモンドウトウ)とは?
麦門冬湯(バクモンドウトウ)は、ユリ科ジャノヒゲの肥大根の麦門冬、サトイモ科カラスビシャクの球茎の半夏(ハンゲ)、ナツメの果実である大棗(たいそう)、人参、甘草、粳米(コウベイ)の生薬で構成されている漢方薬です。
麦門冬湯の効果と特徴
麦門冬湯(バクモンドウトウ)とは、肺や胃腸に潤いを与え、むせるような乾いた咳(からぜき)や気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声などの症状に効果があります。
麦門冬(バクモントウ)には乾きを改善する作用や身体の内部の熱を冷ます作用があり、半夏(ハンゲ)・人参・甘草は気管や気管支にたまった痰(たん)を除去し、咳をやわらげます。そして大棗(たいそう)や粳米が強く元気な体にします。
麦門冬湯の副作用
漢方薬は天然物の生薬が使用されており、副作用の心配は少なく、長く飲み続けることができるのが特徴です。ただし、全く副作用が出ないというわけではなく、人によっては使用したときに胃のムカつきなどがあり、食欲が減退する副作用もあります。
また、「偽アルドステロン症」も副作用の一つとしてあげられます。偽アルドステロン症は、麦門冬湯にも含まれる甘草を大量に服用することで、血圧を上昇させるホルモン(アルドステロン)が増加していないにも関わらず高血圧やむくみがあらわれる副作用のことです。
また、発疹、蕁麻疹や間質性肺炎と肝障害といった重い副作用もごくまれに起こることが報告されています。
酷いだるさやむくみ、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状があらわれた場合は、すぐに使用を中止し医師や薬剤師に相談してください。
麦門冬湯の用法・用量
麦門冬湯の用法・用量は症状や年齢などにより異なります。医師や薬剤師から指示された用量を、食前に水またはお湯で服用してください。
なお、2歳未満の乳幼児は服用できません。
他の漢方薬との飲み合わせ
麦門冬湯を甘草湯などの甘草を含む漢方薬と一緒に使用する場合は「偽アルドステロン症」の副作用が起こることがあります。
他の漢方薬と麦門冬湯を併用する場合、生薬の成分等が重複すると思わぬ作用がでる可能性があるため、必ず医師や薬剤師に相談のうえ使用してください。
麦門冬湯はツムラとクラシエどっちがいい?
漢方薬はさまざまなメーカーから販売されており、その中でも代表的なのが「ツムラ」と「クラシエ」です。
医療用漢方薬の市場の8割を占める「ツムラ」と、日本で初めて漢方エキス顆粒剤のコーティングを成功させた「クラシエ」が漢方薬のメーカーとしてよく知られています。
漢方薬はメーカーによって剤形や用法・用量などが違いますが効果の差はあまりないとされています。飲みやすさや価格など、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
「ツムラ」が販売している麦門冬湯
「ツムラ」からでている麦門冬湯は顆粒タイプのもの以外に液体タイプも販売されていることが特徴です。
「クラシエ」が販売している麦門冬湯
「クラシエ」からでている麦門冬湯は顆粒タイプのみとなります。1日2回タイプのものもあります。
まとめ
麦門冬湯は乾きに潤いを与え、咳や気管支炎、ぜんそくなどにも効果を発揮する漢方薬です。
のどのイガイガ感や咳込んで苦しいときになるべく副作用などが少なく安心して飲める薬の候補として、麦門冬湯などの漢方薬を選ぶのも良い選択かもしれません。
ただし、他の漢方薬などと併用するときは注意が必要な場合があるため、医師や薬剤師に相談してから使用してください。