抑肝散の効能効果

抑肝散は、ストレスや不安など精神的なことが原因で不調が起こる病気(神経症)の治療に使われる漢方薬です。

抑肝散にはトウキ、チョウトウコウ、センキュウ、ソウジュツ、ブクリョウ、サイコ、カンゾウの7種類の生薬が配合されています。

処方薬、市販薬ともにいくつかの剤形があり、顆粒・細粒・錠剤のほか、煮詰めるタイプ・ゼリータイプなどがあります。

効能効果

ツムラの医療用の抑肝散の添付文書による効果は以下のとおりです。

「虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症」

抑肝散には処方薬から市販薬までさまざまな種類がありますが、いずれも神経のたかぶりをおさえ、筋肉の緊張をゆるめる効果があります。

日常生活や更年期などで心の中に強い怒りを抱えてイライラしたり、ヒステリーを起こしたときや、情緒不安、興奮、てんかんを発症した際に使用するほか、歯ぎしり、緊張による筋肉のこわばり、不眠などの改善薬として選ばれています。

また、成人だけではなく、子供の夜泣きやかんのむしにもよく用いられます。

抑肝散の効果が期待される2つのケース

抑肝散の「神経のたかぶりをおさえる効果」から、認知症や発達障害の症状に対しても効果が期待され、研究が進められています。

抑肝散と認知症

認知症では記憶障害や判断力の障害などのほかに、BPSD(認知症の行動・心理症状)といわれる幻覚・妄想・徘徊・攻撃的行動などの症状がありますが、抑肝散はBPSDに対して有効なのではないかと考えられています。

「記憶力の低下」という認知症そのものを治すのではなく、あくまでも対症療法として、記憶の障害が原因で現れている行動・心理症状をおさえることを目的とした使い方ですが、穏やかな生活を取り戻すための手助けとして効果が期待されています。

抑肝散と発達障害

ADHDなどの発達障害や小児のチック症において、神経のたかぶりや不安によって現れる症状をおさえる目的で抑肝散が使用されることがあります。

認知症の場合と同じく、発達障害やチックそのものを治すものではなく対症療法としての使い方ですが、抑肝散の治療効果が期待されています。

抑肝散加陳皮半夏・抑肝散加芍薬黄連との違い

抑肝散の7種類の生薬をベースとして、さらに生薬を加えた処方に「抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)」と「抑肝散加芍薬黄連(ヨクカンサンカシャクヤクオウレン)」があります。

抑肝散加陳皮半夏

抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)は、抑肝散の処方にチンピとハンゲを加えたものです。

ツムラの医療用の抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の効能効果は添付文書では同じですが、チンピとハンゲには胃を丈夫にする健胃作用があります。

抑肝散に含まれる生薬のトウキ、センキュウ、チョウトウコウが、胃もたれを起こしやすい性質を持っているため、胃腸が弱い方や長期的に薬を使用する場合にはチンピとハンゲが加わっている抑肝散加陳皮半夏がおすすめです。

抑肝散加芍薬黄連

抑肝散加芍薬黄連(ヨクカンサンカシャクヤクオウレン)は、抑肝散の成分にシャクヤクとオウレンを加えたものです。抑肝散加芍薬黄連は市販薬のみで、クラシエの添付文書によると、以下のとおりです。

「体力中等度以上をめやすとして、神経のたかぶりが強く、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症」

抑肝散との効能効果に大きな違いはありませんが、シャクヤクとオウレンは血流改善や体の余分な熱を取り去る効果があります。

イライラや不安、不眠のほかに女性ホルモンの変動によって心身に不調が現れている場合に使われます。

抑肝散の飲み方

医療用のツムラの抑肝散の場合、通常は成人1日7.5gを2~3回にわけて、食前または食間に使用します。年齢や体重、症状によって使用量が調整されることがあるので、医師の指示に従って使用してください。

妊婦や妊娠の可能性がある場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。必ず医師の指示に従って使用してください。

市販薬の抑肝散ではそれぞれの添付文書によって飲み方は異なりますが、子どもや2歳未満の乳幼児が使用できるものもあります。なるべく医師の確認を取って使用してください。

抑肝散の飲み合わせ

抑肝散に配合されているカンゾウは1日の上限量が決められています。

カンゾウは葛根湯をはじめ数多くの漢方薬に含まれている生薬なので、成分が重複して摂り過ぎにならないよう、カンゾウが含まれた薬やグリチルリチン酸及びその塩類を含む薬との飲み合わせに注意してください。

カンゾウの過剰摂取は血清カリウム値や血圧値などに影響をおよぼす可能性があります。

抑肝散の副作用

多くの薬は複数の作用を示します。その中でも期待する治療効果以外の働きを「副作用」といい、漢方薬でもさまざまな副作用が現れる可能性があります。

抑肝散のおもな副作用には、発疹、発赤、かゆみのほか、肝機能異常、食欲不振、胃部不快感、吐き気、下痢、傾眠、低カリウム血症、むくみ、血圧上昇、倦怠感などがあります。

また、発生頻度は低いものの、間質性肺炎や心不全、肝機能障害などの重大な副作用も報告されています。

抑肝散を使用中、何らかの異常を感じた場合は使用を中止し、医師に相談してください。

おわりに:購入時の注意

抑肝散は子どもから大人まで幅広い年齢の神経症に効果のある漢方薬です。購入方法には、医師が診察して処方されるケースと、漢方薬局などで処方されるケースがあるほか、市販薬ならドラッグストアやアマゾンなどの通販でツムラやクラシエなどの漢方シリーズの抑肝散を購入できます。

漢方は症状だけでなく個人の体質も考慮して処方される薬です。初めて使用する際には漢方薬局や医師に相談し、悩みに合った薬を選んでください。また一定期間使用しても薬の効果が感じられない場合も、気軽に相談しましょう。

出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ