抑肝散(ヨクカンサン)はどんな漢方?

抑肝散は、もともと子供の夜泣きや「かんしゃく」などに使用されていた漢方です。

「肝」の高ぶりを鎮める働きを持つことから名前がつけられています。軽度の精神症状に効果を発揮するとされています。

抑肝散に配合されている生薬は、全部で7種類です。

・当帰(トウキ)
・釣藤鈎(チョウトウコウ)
・川芎(センキュウ)
・蒼朮(ソウジュツ)
・茯苓(ブクリョウ)
・柴胡(サイコ)
・甘草(カンゾウ)

抑肝散が効果を発揮する症状

中医学で「肝」は、肝臓の働きだけでなく、全身の気の流れをコントロールして自律神経系や新陳代謝をうながし、精神を安定させたり、内臓の働きに関与しています。

また、肝は血を貯蔵し、血の調節機能も担っています。 肝」の高ぶりを鎮める抑肝散は、不眠やイライラ、神経の高ぶり、偏頭痛、歯ぎしりなどに効果を発揮します。

このほか、血の道症にあたる女性のPMS(月経前症候群)や更年期障害にも効果的です。

また、認知症による異常行動にも効果を発揮すると注目されています。

抑肝散が向いている人

抑肝散は、日常生活を送るのに問題ない程度の体力がある人(体力中等度)に向いています。

一方で、日常生活に支障が出るほど虚弱な人が抑肝散を飲んだ場合は、かえって逆効果になるおそれがあります。

また、体力が充実している人が飲んだ場合は効果を実感できないことがあります。

薬局にある抑肝散の市販薬5選

抑肝散が含まれる市販薬は、錠剤や顆粒などさまざまなタイプが薬局で売られています。

また、漢方薬の飲み方は、お薬の吸収を高めるために一般的に食間、食前に飲むことが推奨されています。

錠剤で飲みやすい:アロパノール

フィルムコーティングの錠剤で、漢方特有のにおいや味をおさえた市販薬です。5歳以上の子どもから使用できます。

飲み方:1日3回食前または食間(食後2~3時間)に飲む
15歳以上:1回7錠
7歳以上~15歳未満:1回5錠
5歳以上~7歳未満:1回4錠

大容量の錠剤タイプ:一元乃錠剤抑肝散

一元乃錠剤抑肝散

アロパノール(錠剤)の内容量が63錠、147錠であるのに対し、こちらは1000錠入りとなります。

また、アロパノールと比べて1回あたりに飲む錠剤の数が少ないのも特徴です。

飲み方:1日3回食前または食間(食後2~3時間)に飲む
15歳以上:1回5錠
7歳以上~14歳未満:1回4錠
5歳以上~6歳まで:1回3錠

子どもの夜泣きに:アロパノール顆粒

サラッとして飲みやすい顆粒剤です。2歳未満の子どもにも使用できます。錠剤が苦手な子どもにもおすすめです。

飲み方:1日3回食間(食後2~3時間)に飲む
15歳以上:1回1包
7歳以上~15歳未満:1回2/3包
4歳以上~7歳未満:1回1/2包
2歳以上~4歳未満1回1/3包
2歳未満:1回1/4包以下
生後3か月未満:使用できません

大容量の顆粒タイプ:オーカン

アロパノールの顆粒タイプが9包入りと24包入りであるのに対し、こちらは45包と大容量になります。

2歳未満の子どもから使用できますが、1歳未満の場合は医師に相談することを優先させ、やむをえないときにだけ使用してください。

飲み方:1日3回食前または食間(食後2~3時間)に飲む
15歳以上:1回1包
7歳以上~15歳未満:1回2/3包
4歳以上~7歳未満:1回1/2包
2歳以上~4歳未満1回1/3包
2歳未満:1回1/4包

抑肝散料エキスを満量処方:アロパノール内服液

アロパノール内服液

錠剤や顆粒タイプの抑肝散1日量が、国の定めた量の半分であるのに対し、こちらは満量となっています。ただし、15歳以上でないと使用できません。

飲み方:1日3回食前または食間(食後2~3時間)に飲む
15歳以上:1回1びん(30mL)

それぞれの市販薬の詳細は、ミナカラお薬辞典をごらんください。

抑肝散に生薬を加えた市販薬

市販されている漢方の中には、抑肝散に生薬を加え、さらに効果の幅を広げているものもあります。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

抑肝散加陳皮半夏エキス顆粒クラシエ

抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散の7つの生薬に陳皮(チンピ)と半夏(ハンゲ)という2つの生薬を加えた市販薬です。

抑肝散と同じく、イライラや神経過敏などに効果を現します。さらに2つの生薬が加わったことで、自律神経を安定させる働きや胃腸の調子を整える効果がプラスされています。

消化器が弱い人やストレスで食欲がなくなってしまう人には、特におすすめです。

飲み方:1日3回食前または食間(食後2~3時間)に飲む
15歳以上:1回1包
7歳以上~15歳未満:1回2/3包
4歳以上~7歳未満:1回1/2包
2歳以上~4歳未満1回1/3包
2歳未満:1回1/4包以下

抑肝散加芍薬黄連錠(よくかんさんかしゃくやくおうれんじょう)

「クラシエ」漢方抑肝散加芍薬黄連錠

抑肝散加芍薬黄連錠は、抑肝散の7つの生薬に芍薬(シャクヤク)と黄連(オウレン)という2つの生薬を加えた市販薬です。

特に女性ホルモンの変動による心身の不調に効果を発揮します。このほかイライラや不安、歯ぎしりなどに悩む男性や5歳以上の子どもの夜泣きにも使用できます。

飲み方:1日3回食間(食後2~3時間)に飲みます
15歳以上:1回6錠
7歳以上~15歳未満:1回4錠
5歳以上~7歳未満:1回3錠
5歳未満:使用できません

抑肝散の市販薬を買うときに注意したいこと

眠気は出る?抑肝散の副作用について

抑肝散には眠気が出る成分は使用されていません。

皮膚のかゆみや発疹、発赤といった症状が出た場合は、副作用のおそれがあります。

また、まれに重い副作用が出ることもあります。副作用の疑いがある症状が出たら、使用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

医師・薬剤師に相談が必要なケース

妊娠中や妊娠の可能性がある人、胃腸が弱い人は、購入する前に抑肝散を飲んでも問題ないか医師や薬剤師に確認しましょう。

また、抑肝散を飲み続けても効果が出ない場合も注意が必要です。

1か月くらい(夜泣きの場合は1週間ほど)使用しても症状が良くならない場合は、使用を中止して医師や薬剤師に相談してください。

おわりに

不眠やイライラなどによる不快な症状を改善する、抑肝散。精神症状が悪化する前に、ぜひ活用してくださいね。