オプジーボとは 

オプジーボは、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる分類のがんの治療薬です。

免疫チェックポイント阻害薬というのは、他の抗がん剤と全く異なる作用機序を発揮します。がん治療の歴史を大きく転換させるタイプの治療薬であり、「夢の薬」などと呼ばれることもあります。

日本で認可されている免疫チェックポイント阻害剤はニボルマブとイピリムマブ、そしてペンブロリズマブを成分としたもので、そのうちニボルマブを成分とした薬の商品名がオプジーボです。

オプジーボの効果・今後の適応拡大について

2017年7月の時点では、オプジーボの効果について、添付文書において以下のように記載があります。

根治切除不能な悪性黒色腫
切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌

オプジーボ添付文書

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの一種。ホジキンリンパ腫もリンパ組織を作っている細胞が悪性化したがんです。

もともと悪性黒色腫の治療薬として開発されたオプジーボですが、肺がんや頭頸部がんまで適応が拡大しています。2016年12月には患者数の多い胃がんについても保険適応が申請されており、今後の適応拡大が期待できます。

オプジーボの作用機序

オプジーボをはじめとする免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるがん治療薬は、他のがん治療薬とは全く異なる作用機序を示します。

ほとんどの抗がん剤ががんを直接攻撃する薬である一方、免疫チェックポイント阻害薬は免疫細胞を手助けすることでがんを治療するのです。

ニボルマブは、ヒトPD-1に対する抗体であり、PD-1とそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2との結合を阻害し、がん抗原特異的なT細胞の増殖、活性化及び細胞傷害活性の増強等により、腫瘍増殖を抑制すると考えられる。

オプジーボ添付文書

今後の適応拡大について

免疫チェックポイント阻害薬の大きなメリットとして挙げられるのが、その効果が見込める範囲の広さです。オプジーボは現在は5つの適応を取得しており、胃がんへの適応も2016年12月に申請しています。

他にも、食道がん小細胞肺がん肝細胞がん卵巣がんを含めた13種類のがんへの適応を取得するための臨床試験を実施中となっており、今後の適応拡大に期待できます。

実際にオプジーボが効果を調査している疾患を見てみましょう。

【オプジーボ】適応(*2017年7月時点) フェーズ
胃がん 申請中
食道がん 第3相
胃食道接合部がん及び食道がん 第3相
小細胞肺がん 第3相
肝細胞がん 第3相
膠芽腫 第3相
尿路上皮がん 第3相
悪性胸膜中皮腫 第3相
卵巣がん 第3相
固形がん(子宮頸がん、子宮体がん 及び軟部肉腫) 第2相
中枢神経系原発リンパ腫/精巣原発 リンパ腫 第2相
ウィルス陽性・陰性固形がん 第2相/第1相
胆道がん 第1相

医薬品に新しい適応が追加されるまでには、段階を踏まなければなりません。臨床試験を繰り返し、安全性が認められて初めて効果があると添付文書に追加されるのです。

臨床試験にも種類があり、基本的には第1相から始まり、第2相、第3相を終えると申請、それが承認されて初めて適応に追加されます。

オプジーボは上のように多くの適応の試験を行っている最中ですので、適応が拡大することを期待しましょう。

オプジーボの用法用量・使い方

通常、成人は1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注します。

なお、悪性黒色腫に使用する場合、すでに他の抗がん剤治療を受けたことのある患者さんには1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で使用されます。

いずれも1時間以上かけて静脈から点滴注射で投与されます。

オプジーボの副作用

オプジーボのそれぞれの適応疾患で臨床試験が行われています。

主な副作用はかゆみ、発熱、疲労、倦怠感、発疹などで、発現頻度も高くなっています。

また、発生頻度は低めではあるものの、以下のような重大な副作用の報告がされています。

  • 間質性肺疾患
  • 重症筋無力症、心筋炎、筋炎、横紋筋融解症
  • 大腸炎、重度の下痢
  • 1型糖尿病
  • 免疫性血小板減少性紫斑病
  • 肝機能障害、肝炎
  • 甲状腺機能障害
  • 神経障害
  • 腎障害
  • 副腎障害
  • 脳炎
  • 重度の皮膚障害
  • 静脈血栓塞栓症
  • Infusion reaction

いずれも観察を十分に行い、異常が認められた場合にはオプジーボの使用を中止し、適切な処置を行う必要があります。

硬化性胆管炎の副作用追加

2017年7月4日、オプジーボの重大な副作用に硬化性胆管炎を追加する改訂が行われました。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うよう呼びかけられています。

オプジーボの価格について

新しいタイプのがん治療薬として大きな期待を寄せられ、「夢の薬」とまで呼ばれることのあるオプジーボですが、その価格の高さも注目されていました。

発売当初の薬価は100mgあたりおよそ73万円。繰り返し使用する薬なので、標準的な体重の患者は1年に3500万円ほどの費用がかかる高額なお薬でした。

ですが、アメリカではおよそ30万円、イギリスではおよそ15万円と、日本での価格と格差があることなどを理由に、特例として2017年2月におよそ半額へと引き下げられました。

2017年7月時点でのオプジーボの価格は100mgあたり364,925円となっています。

今後も2018年度からは、高額な薬剤・医療機器の価格は、費用対効果指標に基づく見直しが行われる予定となっています。

オプジーボとキイトルーダの比較

新たながん治療薬として免疫チェックポイント阻害薬が期待され、オプジーボも注目されていますが、免疫チェックポイント阻害薬はオプジーボだけではありません。

代表的なものでいうとキイトルーダ(ペムブロリズマブ)があります。以下はオプジーボとキイトルーダをそれぞれ比較したものです。

*2017年7月時点

商品名 オプジーボ キイトルーダ
一般名 ニボルマブ ペムブロリズマブ
発売開始年月 2014年9月 2017年2月
適応のあるがん 悪性黒色腫
非小細胞肺がん
腎細胞がん
ホジキンリンパ腫
頭頸部がん

悪性黒色腫
PD-L1陽性の非小細胞肺がん

申請中の適応 胃がん(2016年12月) ホジキンリンパ腫(2016年12月)
尿路上皮がん(2017年4月)
薬価(100mgあたり) 364,925円 410,541円
用法用量 3mg/kg(体重)を2週間間隔で使用

<悪性黒色腫に使用する場合>
2mg/kg(体重)を3週間間隔で使用

<PD-L1陽性の非小細胞肺がんに使用する場合>
200mgを3週間間隔で使用

キイトルーダは2017年の2月に発売開始されたばかりなので適応が2つのみですが、オプジーボ同様、徐々に適応が増えていくと思われます。

オプジーボとキイトルーダの価格比較

100mgあたりの薬価はキイトルーダの方が高額となっていますが、オプジーボとキイトルーダでは用法用量が異なります。例えば肺がんに使用する場合、オプジーボが体重によって使用量が変動するのに比べ、キイトルーダは200mg固定となっています。

実際に体重別で比較すると、年間使用量は以下のようになります。
*1年を52週として計算、肺がんに使用した場合

体重 オプジーボ キイトルーダ
40kg 約1139万円 約1427万円
50kg 約1423万円 約1427万円
60kg 約1708万円 約1427万円
70kg 約1992万円 約1427万円

高額療養費制度があるために、患者の自己負担はどちらでもあまり変わらないと見られますが、薬剤費でいうとキイトルーダの方が安くなる場合が多そうです。

おわりに

オプジーボはがん治療を新しいフェーズに進ませたと考えられている薬です。高額なものとなっていますが、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療のさらなる進歩を象徴する薬と言えるでしょう。