エフェドリンは中国原産の植物で生薬としても活用されている「麻黄」の主成分として、1885年に長井長義によって発見されました。

人や動物の体に強力な作用をもたらす成分で、現在では葛根湯などの漢方薬をはじめ、風邪薬や咳止め、鼻炎用内服薬など、さまざまな医薬品に使われています。

エフェドリンについて徹底解説します!

エフェドリンの効果の特徴

エフェドリンの効果をひと言でいうと、交感神経の働きを高める働きです。

交感神経細胞から神経伝達物質が放出されるのをうながして、α受容体とβ受容体を通常レベル以上に刺激し、次のような作用をもたらします。

【α1作用】
血管が収縮して血圧が上昇する、散瞳筋を収縮し瞳孔を拡大する、肛門や膀胱などにある括約筋や膀胱三角筋が収縮する

【β1作用】
心臓刺激作用(心筋の収縮力を高める)

【β2作用】
気管支を拡張し、息苦しさを緩和する作用

このほかに中枢性の作用として、鎮咳作用(咳を鎮める)、弱い興奮作用などがあります。

エフェドリンには以下のような効果があります。

・心臓からの血液排出量が増える
・気管支の平滑筋を緩み、気管支が拡張して呼吸しやすくなる
・血管が収縮して血圧が上昇する
・毛細血管の収縮により粘膜の充血が緩和される
・消化器系の働きが抑えられる
・咳が鎮まる
・中枢神経や体の組織の働きを高める

咳や鼻づまりに効く風邪薬にエフェドリンが使われているのは、これらの作用によるものです。また帝王切開を含む手術で、麻酔によって低下した血圧を上昇させる目的でエフェドリンを使用することもあります。

エフェドリンでダイエット?

交感神経の働きが高まり脳が興奮状態になると、消化液の分泌が減ったり胃腸のぜん動運動が低下するなどして食欲が減退します。

アメリカでは、減量のための植物性サプリメントとして麻黄(エフェドリンの天然源)などの植物性成分を含むことがあります。しかし日本では減量のための薬としてはエフェドリンは承認されていません。またエフェドリンを含む薬は、過度の服用など使い方を誤ると心と体にさまざまな悪影響を与えることが心配されています。

無許可無認可医薬品は、日本の医薬品関連の法律に基づく品質・有効性・安全性が確認されておらず、健康被害が起こるおそれが否定できません。

ダイエットは、食事の調整と定期的な運動によって健康的に痩せることが大切です。

エフェドリン塩酸塩とメチルエフェドリン塩酸塩の違い

エフェドリン塩酸塩とdl-メチルエフェドリン塩酸塩は、どちらも交感神経の働きを高めて、咳を鎮める、粘膜充血を緩和するなどの効果があります。しかし化学物質としては別の成分です。

化学式を比べると、エフェドリン塩酸塩の-H(水素)のひとつが-CH3(メチル基)に置き換わったのが「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」です。このわずかな違いで、dl-メチルエフェドリン塩酸塩はエフェドリン塩酸塩よりも効果の範囲が絞られ、副作用も少ないのが特徴です。

このため市販薬に使用されるのはdl-メチルエフェドリン塩酸塩で、エフェドリン塩酸塩は処方薬にしか使用できない成分となっています。

【dl-メチルエフェドリン塩酸塩の特徴】

・エフェドリン塩酸塩に比べてβ2作用(気管支拡張作用)は強いが、他の作用は弱い
・中枢の興奮、血圧の上昇、散瞳筋を収縮して瞳孔を拡大させる(散瞳)などの副作用が少ない
・抗アレルギー作用を示し、湿疹や発赤を抑制する

エフェドリンが含まれる処方薬

処方薬にはエフェドリン塩酸塩とdl-メチルエフェドリン塩酸塩、それぞれの成分が使用されています。鎮咳剤(咳どめ)としての使用が中心ですが、dl-メチルエフェドリン塩酸塩には抗アレルギー作用もあるため、じんましんなどにも使用されます。

エフェドリン塩酸塩が含まれる処方薬

エフェドリン塩酸塩は処方薬にのみ使用できる成分で、使用目的ごとに1日の最大用量が決められています。鎮咳剤では1日最大75mgとなっています。

散剤、錠剤、注射薬として使用されています。

dl-メチルエフェドリン塩酸塩が含まれる処方薬

dl-メチルエフェドリンは処方薬と市販薬の双方に使用される成分です。処方薬では1日の最大用量が150mgとなっています。

エフェドリンが含まれる市販薬

市販薬に含まれるのはdl-メチルエフェドリン塩酸塩です。使用目的ごとにdl-メチルエフェドリンの1日最大量が異なり、次のように定められています。

・風邪薬:60mg
・鎮咳去痰薬:75mg(1回最大量25mg)
・鼻炎用内服薬:110mg

エスタックイブファイン

エスタックイブファインは1回3錠中にdl-エフェドリン酸塩20mg配合。熱・せき・たん・のどの痛み・鼻水・鼻づまりを緩和します。

パブロンSせき止め

パブロンSせき止めは1回2カプセル中にdl-エフェドリン酸塩25mg配合。つらいせきや、たんの症状を改善するせき止め薬。中身が液状のソフトカプセルです。

新ルルAゴールドDX

新ルルAゴールドDXは1回3錠中にdl-エフェドリン酸塩20mg配合。かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、せき、たん、のどの痛み、発熱、悪寒、頭痛、くしゃみ、関節の痛み、筋肉の痛み)を緩和します。

アストフィリンS

アストフィリンSは1回1錠中にdl-エフェドリン酸塩18.75mg配合。収縮した気管支を広げてゼーゼー、ヒューヒューする咳を鎮め、たんを出しやすくします。

ロートアルガード鼻炎内服薬ZII

ロートアルガード 鼻炎内服薬ZⅡは1回1カプセル中にdl-エフェドリン酸塩20mg配合。血管を収縮させて鼻粘膜の充血やはれを緩和します。

ドルマインH坐剤

dl-メチルエフェドリンは末端の血管を収縮させて出血を抑えることから痔疾用の薬にも配合されています。

エフェドリン(麻黄)が含まれる漢方薬

エフェドリンは麻黄に含まれる成分のひとつです。麻黄は古くから発汗、鎮痛、鎮咳、去痰、利尿作用が知られ、さまざまな漢方薬に利用されてきました。おもなものとして、熱があり寒気がするようなときや、頭痛、節々の痛み、息苦しい、長引く咳などを改善する薬に配合されます。

麻黄湯・葛根湯

麻黄と桂枝の組み合わせで発汗作用を強め、熱を下げます。

麻黄湯エキス顆粒 1.875Gx8包(第2類医薬品)

イトーの葛根湯エキス顆粒

薏苡仁湯

麻黄と薏苡仁(ヨクイニン)との組み合わせで関節痛や筋肉痛を改善します。

ヨクイニンエキス顆粒クラシエ

小青竜湯

麻黄と杏仁(キョウニン)の組み合わせで咳を鎮めます。

小青竜湯エキス顆粒Aクラシエ

麻黄附子細辛湯

麻黄と附子(ブシ)の組み合わせで心臓の働きを強め、全身を活性化します。悪寒が強い急性の熱病に使用する漢方薬です。

エフェドリンの使用上の注意

次の方はエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリンともに使用できません。

・カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプロテレノール、ドパミンなど)を使用している方

次の方はエフェドリン塩酸塩とdl-メチルエフェドリンの使用に注意が必要です。これまでの症状が悪化するおそれがあります。

・甲状腺機能亢進症の方
・高血圧症の方
・心疾患のある方
・糖尿病の方

エフェドリン塩酸塩では、さらに次の方も使用にあたり注意が必要です。
・緑内障の方
・前立腺肥大症の方

エフェドリンは妊娠中や授乳中に使える?

妊娠中や授乳中の方は、薬の使用前に医師や薬剤師に相談してください。処方された場合は医師や薬剤師の指示に従い用法用量を守って使用してください。

エフェドリンの副作用

エフェドリンを過度に使用し続けると、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあります。使用が過度にならないよう用法用量は必ず守ってください。

エフェドリンのβ2作用により、深刻な状態にまで血清カリウム値が低下するおそれがあります。カリウムが低下すると脱力感や筋力が弱まるほか、悪心、嘔吐、便秘、多尿といった症状があらわれたり、重症の場合は手足の麻痺、不整脈、腸閉塞などに至ることもあります。

これらの症状はステロイド剤や利尿剤の併用によって強まるおそれがあるので、重症の喘息で薬を使用している方は特に注意してください。

またエフェドリン塩酸塩の長期に渡る繰り返しの使用により、不安、幻覚、妄想などの精神症状があらわれることがあります。

エフェドリン購入時の注意点

エフェドリンはむやみに使用することが禁じられている成分です。適正な使用のために必要と認められる量を超えて大量または頻繁に購入する場合には、購入理由を確認されることになっています。このとき、購入理由に不審な部分があると警察に情報が提供されます。

薬は病気の治療または予防のために使用するもので、間違った使い方は体に悪影響を及ぼします。決められた期間に正しく薬を使用しても効果が得られない場合は、薬の使用を中止して医師に相談しましょう。