急性出血性結膜炎(アポロ病)とは?急性出血性結膜炎の原因・症状・治療法・予防法について

急性出血性結膜炎は、人にうつるウイルス性の結膜炎です。子どもが感染した場合、治るまで出席停止となります。この記事では、急性出血性結膜炎の原因や症状から治療法、予防法まで、詳しく解説しています。

結膜炎(けつまくえん)は、目の病気の中でも非常に多く見られます。

 

結膜は、上下のまぶたの裏側と白目の表面を覆っている半透明の膜で、直接外界と接しているため様々な病原体にさらされやすく、感染性の炎症が起きやすい場所です。

 

急性出血性結膜炎は、人にうつるウイルス性の結膜炎で、1969年に突如世界的に大流行し、アポロ11号が初の月面着陸した年に流行したため、月から病原体を持ち帰ったのではないかと誤解され「アポロ病」という俗名が付きました。

 

日本では翌1970年に大流行し、度々流行を繰り返していますが、眼症状のみならず、全身症状を来すこともあるため注意が必要です。

 

今回は、急性出血性結膜炎(アポロ病)の症状から対処法までの大切なポイントを解説します。

急性出血性結膜炎の原因はウイルス

急性出血性結膜炎は、主に以下2つのエンテロウイルス属が原因となります。

 

エンテロウイルス70型(EV70)

コクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)

エンテロウイルスは、子どもの夏風邪で知られている「手足口病」や「ヘルパンギーナ」などの原因にもなるウイルスです。

「腸管ウイルス」とも言われ、通常は消化管で感染し増殖するのが普通ですが、この2つのウイルスの場合は、結膜に感染し、結膜下に出血を引き起こします。

 

ただしそのメカニズムは未だ明らかにされていません。

急性出血性結膜炎の感染経路は接触感染と経口感染

感染経路は、患者の目や顔を触った手指や、タオルや手すりなどの物を介して「接触感染」します。

 

また、患者の便が手を介して口に入る「経口感染(糞口感染)」もあります。

急性出血性結膜炎の流行時期とかかりやすい年齢

大流行がない時には、発生の特別な季節性はみられませんが、全国的に夏から冬にかけて多く報告されています。

 

幅広い年齢にかかりますが、6~7歳以下、特に1~4歳に多く発症します。

 

成人にもかかり、20~30歳代にもやや多く見られます。

急性出血性結膜炎の潜伏期間と感染期間

潜伏期間とは、ウイルスに感染してから発症するまでの期間ですが、急性出血性結膜炎は、ウイルスによって潜伏期間が異なります。

 

エンテロウイルス70型(EV70)

平均24時間~36時間で急激に発症します。

 

コクサッキーウイルスA24亜型(CA24v)

2日~3日で発症し、やや長い傾向にあります。

 

感染期間は、ウイルスは呼吸器から1~2週間、便からは数週間から数ヶ月間排出されます。

ウイルスを排出する期間は人にうつります。

急性出血性結膜炎は発病までの早さと感染力の強さが特徴

急性出血性結膜炎は、潜伏期間が短く、感染力が強いことが特徴です。

急性出血性結膜炎の初期症状

急性出血性結膜炎は、まずは以下の症状から始まります。

 

●突然の強い目の痛み

●ゴロゴロした異物感

●異常にまぶしさを感じる

●目やに

●涙があふれる(流涙)

 

など、初期症状は他の結膜炎と区別は付きません。

急性出血性結膜炎の主な症状

●強い結膜充血

●まぶたの腫れ

●白目に点状の出血(結膜下出血)

●まぶたの裏に白いブツブツ(結膜濾胞:けつまくろほう)

●黒目(角膜)の混濁(にごり)

●片方の目から発症し、1~2日後に両目に現れることもある

●通常7日~10日で回復する

 

特徴的な白目の出血と言っても、目から血が流れるわけではなく、点状や斑点模様になります。

ひどい場合は、白目全体が真っ赤になりますが、出血は自然と目に吸収されて無くなるため心配は要りません。

 

成人の場合は、比較的症状が重くなるといわれています。

急性出血性結膜炎の全身症状と合併症に注意

角膜に混濁がおきると視力が低下することがあります。

 

眼症状の他に全身症状として、頭痛、発熱、呼吸器症状などがみられることもあります。

 

通常、約1週間程度で治癒しますが、エンテロウイルス70型では、罹患した後の6~12ヶ月後に、手足に運動まひを来すことがあります。

 

症状が治まった後も、経過観察には注意が必要です。

急性出血性結膜炎と他のウイルス性結膜炎との違い

ウイルスによる感染性結膜炎は、出血性結膜炎(アポロ病)の他に、流行性角結膜炎(はやり目)や、咽頭結膜熱(プール熱)があります。

 

共通する主な症状は、目の異物感、腫れ、流涙、目やに、充血などがありますが、原因や特徴が以下のように異なります。

いずれの結膜炎も特に小児に流行し、眼症状以外の全身症状から重症化や合併症を引き起こすこともあります。

 

家庭内、学校、施設などでの集団感染も多いため、日頃からの感染予防が大切です。

急性出血性結膜炎の治療方法は対処療法

症状が見られたら、早めに眼科専門医を受診してください。

 

急性出血性結膜炎には、有効な治療薬はなく、通常は対症療法を行います。

炎症を緩和する目的で、一般的には非ステロイド系の点眼を行います。

 

細菌の二次感染を防ぐ目的で、抗菌薬剤の点眼を使うことがあります。

急性出血性結膜炎の予防方法

感染拡大を防ぐために、以下の予防策を実行しましょう。

 

●石鹸を使い流水で手指から手首までを30秒以上かけて洗う

●涙や目やにはティッシュペーパーで拭きすぐ破棄する

●人の使用している目薬を使わない

●目をこすらない

●洗面具やタオルなどの共用を避ける

●入浴は症状が良くなってからにし、感染者は最後に入るようにする

●患者の触れたものは、煮沸消毒(90度で5分)と家庭用塩素系漂白剤やアルコールなどで消毒する

 

急性出血性結膜炎は、主に物を介しての接触感染と、便による経口感染があるため、症状が治まった後も、感染予防を継続しましょう。

急性出血性結膜炎に関する感染症法について

急性出血性結膜炎は、感染の拡大を防止するため、法律により以下が定められています。

感染症法(5類感染症)

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)において、急性出血性結膜炎は、5類感染症に指定され、診断した医師は保健所への届出が義務付けられています。

学校保健安全法(3種感染症)

保育園・学校共に、出席停止の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止とされています。

 

特に保育所では、学校感染症対策にプラスして、乳幼児は児童・生徒等と比較して抵抗力が弱いこと、手洗いなどが十分に行えないなど、乳幼児の特性を踏まえた感染症対策が必要です。

 

保育所については「保育所における感染症対策ガイドライン」に基づいています。

病状は個人によって異なるため、子どもが感染症にかかった場合は必ず医師の指示に従い、登校の許可が出るまで十分に休養することが大切です。

 

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photo AC

おわりに

ウイルスによる感染性結膜炎には、出血性結膜炎(アポロ病)の他にも、流行性角結膜炎(はやり目)や、咽頭結膜熱(プール熱)などがあり、どれもあっという間に子供たちに流行を引き起こしています。

これらは大人にも感染し重症化することもあるため、家族みんなで感染対策を実行しましょう。

特に子どもは目鼻を触ることが多いため、普段から正しい手洗いなどを一緒に行い、基本的な予防策を教えこんでおくことが大切です。

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