目のかすみのメカニズム

目のかすみとは、視界の全体もしくは一部分がかすむ・ぼやける・ピントが合うのに時間がかかるといった症状のことをさします。

目のかすみが起こる仕組みは、目のピント調整の機能が低下することにあります。

目の組織のひとつである水晶体を毛様体筋(もうようたいきん)という筋肉が調節することで、ピントを合わせることができます。水晶体は目のレンズの役割をします。

毛様体筋は近くを見る時に緊張状態となり、水晶体を膨らませてピントを合わせます。

毛様体筋の緊張状態が長時間つづくとピント調整の機能が低下し、目のかすみが起こります。

目が見える仕組み

人の目が見える仕組みは、さまざまなものの色や形を光として情報を取り入れ、その光が視神経を通じて脳に伝達されるようになっています。

人の目はカメラのような構造をしています。水晶体はレンズ・黄斑(おうはん)はフィルムの役割を担い、虹彩(こうさい)が目に入る光の量を調節し、毛様体筋が水晶体の厚みを調節することでピントを合わせます。これらの目の組織の一番内側にある膜を網膜(もうまく)、外側にある膜を角膜といいます。

日常生活が原因の目のかすみ

日常生活で十分な休息をせずに目に負担をかけ続けると目のピント調整の機能が一時的に低下し、目のかすみを引き起こすことがあります。

長時間のパソコン作業

パソコン・テレビ・スマートフォンなどの画面を長時間見続けることで、毛様体筋が疲れ、目のかすみを引き起こすことがあります。

メガネの度が合っていない

自分の目と度が合っていないメガネやコンタクトレンズを使用していると、毛様体筋が無理にピントを合わせようとするため目のかすみを引き起こすことがあります。

コンタクトによる角膜損傷

長時間コンタクトレンズを装着する・コンタクトレンズの洗浄を怠るなどコンタクトレンズを正しく使用しなかった場合、目の角膜を傷つけてしまうそれがあります。目の角膜が傷つくことで、目のかすみを引き起こすことがあります。

目の乾燥

目の表面を保護している涙が蒸発し目が乾燥すると、角膜に傷がつき目のかすみを引き起こすことがあります。

目が乾燥する原因には、エアコンが効きすぎた部屋に長時間滞在する・ストレスによって自律神経が乱れるなどがあります。

加齢による老眼

年齢を重ねると水晶体や毛様体筋の機能が低下し、ピントが合いにくくなります。加齢による目の機能の低下を、老眼といいます。

病気が原因の目のかすみ

目のかすみは目の病気が原因となっている場合があります。慢性的な目のかすみがある場合は、近くの眼科を受診し医師へ相談しましょう。

白内障

白内障(はくないしょう)とは、目のレンズの役割をしている水晶体が白く濁ってしまう病気です。白内障の原因の多くは、加齢によるものです。

水晶体は濁ると視界全体が霧がかかったように暗くぼやけ、ものが二重三重に見えるようになり、細かい文字が読みにくくなります。

水晶体は一度濁ると、自然に元に戻ることはありません。

緑内障

緑内障(りょくないしょう)とは、眼圧が上がることで目のかすみを引き起こす病気です。

眼圧とは、眼球の中で一定の圧力を保ちながら循環している液体の圧力をさします。液体の流れが何らかの原因で悪くなることで、眼圧は上がります。

眼圧が上がると頭痛や吐き気の症状が現れ、最悪の場合は失明するおそれがあります。

黄斑変性症

黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)とは、ものを見分けたり文字を読むため組織である黄斑が変質してしまう病気です。

黄斑変性症の症状には、片目の視野の中心がかすむ・黒ずんで見える・歪んで見えるなどがあります。

糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)とは、糖尿病の症状によって目の毛細血管の障害を引き起こす病気です。糖尿病とは血糖値が慢性的に高い状態になる病気です。

糖尿病性網膜症の症状には、視力の低下や飛蚊症などがあります。飛蚊症とは、ものを見ているときに黒い虫のようなものが動いて見える状態のことをさします。

ぶどう膜炎

ぶどう膜炎とは、眼球を包む膜のひとつであるぶどう膜が炎症を起こす病気です。ぶどう膜には毛様体筋などの、目の構造において重要な組織が含まれています。

ぶどう膜炎の症状には、目のかすみの他にめまいやまぶしさ、痛みを感じることがあります。

ぶどう膜が炎症を起こす主な原因には、ベーチェット病・サルコイドーシス・原田病があります。

視神経炎

視神経炎(ししんけいえん)とは、視神経が炎症を起こす病気です。視神経は、目に映ったものを脳に伝達する役割を持つ神経です。

視神経炎の症状には、片目の視力の急激な低下や痛みを感じることがあります。

視神経炎の原因には、ウイルス感染・副鼻腔炎・多発性硬化症などがあります。

視神経乳頭炎

視神経乳頭炎(ししんけいにゅうとうえん)とは視神経炎のひとつで、視神経の一番眼球側にある視神経乳頭に炎症が起こる病気です。9〜10歳前後の子供に多く発症がみられます。

インフルエンザや麻疹、水痘などのウイルス感染やワクチン接種後に発症することが多くあります。

視神経炎乳頭炎の症状には、急激な視力の低下・視野の真ん中が欠けて見える・眼球に痛みを感じるなどがあります。

多発性硬化症

多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)とは、脳・脊髄(せきずい)・視神経に障害がある難病のひとつです。体の免疫の異常や自分の体の神経組織を攻撃してしまうことが原因で、体のさまざまな部分に症状が起こります。

現れる症状には個人差がありますが、目のかすみにともない視力の低下や、最悪の場合失明してしまうおそれもあります。

中心性漿液性脈略網膜症

中心性漿液性脈略網膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくりゃくもうまくしょう)とは、黄斑がむくんでしまう病気です。特に30〜40代の男性によく起こる病気です。

中心性漿液性脈略網膜症の症状には、ものが歪んで見える・小さく見える・色が変わって見えるなどがあり、症状は片目に現れます。

網膜剥離

網膜剥離(もうまくはくり)とは、加齢や事故などの物理的なショックによって目の一番内側の膜である網膜が剥がれてしまう病気です。

網膜剥離は痛みを感じることがないため気付きにくいですが、初期症状として飛蚊症の症状が現れることがあります。その後、視力が急激に低下し、最悪の場合は失明してしまうおそれもあります。

眼底出血

眼底出血(がんていしゅっけつ)とは、目の内部が出血してしまう病気です。眼底出血の原因としてよくみられるものには、高血圧・糖尿病・腎臓病などがあります。

眼底出血の症状には、飛蚊症・視野が狭くなる・光視症(こうししょう)などがあります。光視症とは、目に光があたっていないにも関わらず、光の点滅を感じたり、稲妻のような光を感じる症状をさします。

副鼻腔炎

副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、副鼻腔が細菌やウイルスに感染することで炎症を起こす病気です。副鼻腔とは、鼻の奥にある空洞をさします。

副鼻腔炎の症状は、鼻づまりや息苦しいにともなって目のかすみや眼球そのものに痛みを感じることがあります。

薬の副作用で目のかすみが起こることも

目のかすみは、服用している薬の副作用が原因で起こることがあります。

クロミッド

排卵障害に使われる薬であるクロミッドは、性腺刺激ホルモンの分泌を増やすことで排卵をうながす効果があります。

クロミッドの服用により、目のかすみ・頭痛・吐き気・イライラ感などの副作用が起こることがあります。

ブスコパン

胃痛や腹痛をおさえる薬であるブスコパンは、胃腸の過度な緊張やけいれんをおさえる効果があります。

ブスコパンの服用により、目のかすみ・口の渇き・便秘・動悸などの副作用が起こることがあります。

ノルバデックス

主に乳がんのホルモン治療に使われる薬であるノルバデックスは、エストロゲンがエストロゲン受容体と結合することを防ぎ、乳がんの増殖をおさえる効果があります。乳がんは、エストロゲンというホルモンがエストロゲン受容体と結合することで増殖します。

ノルバデックスの服用により、目のかすみ・吐き気・食欲不振・ほてりなどの副作用が起こることがあります。

妊婦の目のかすみの原因は?

妊娠中や産後は、視力の低下や目のかすみなどの症状が現れる場合があります。

妊娠中はホルモンバランスが影響することで血圧が上昇し、眼圧が変化することで目がかすむことがあります。

産後は、出産時の体力消耗や寝不足、ストレスなどによって目が疲れやすくなります。

妊娠中や産後の目のかすみは基本的に一時的な症状ですが、慢性的に目のかすみが起こる場合には眼科を受診しましょう。

目のかすみの改善方法

目のかすみの改善には、日常生活での予防と薬による対処を行います。目のかすみには重大な病気が関係している場合もあるため、慢性的に目がかすむ場合には近くの眼科を受診し医師へ相談しましょう。

長時間にわたってモニターを見ない

テレビやパソコンなどのモニターを長時間にわたって凝視する場合は、1時間ごとに15分前後の休憩を取り、目を休めましょう。

また、目とモニターの距離や位置にも注意します。パソコンは目から40cm以上、テレビは目から1m以上離し、モニターの位置を目線より下の位置になるようにしましょう。

部屋を明るくする

暗い部屋で読書や細かい作業をすると、目が疲れやすく目のかすみを引き起こす原因となります。

パソコンを使用する場合は、読書の時より少し暗い方が目がつかれにくくなります。

紫外線を防ぐ

紫外線は目の水晶体に大きなダメージを与えます。水晶体がダメージを受けることで、白内障や老眼を引き起こすおそれがあります。

サングラスや日傘を活用し、紫外線によるダメージを防ぎましょう。

目の血行を促進する

目の血行を促進することで、目の筋肉の緊張を緩和させることができます。蒸しタオルなどを使って目の周りを温めます。

目にかゆみの症状がある場合は、温めると悪化する恐れがあるため注意しましょう。

市販の目薬を使う

市販の目薬には、目の血行改善やピント調節機能に効果を示すものがあります。

目薬について詳しくは、関連記事をごらんください。

目のかすみはツボで改善できる?

ツボは東洋医学において、体の調子を整えることができると考えられています。最近では、米国国立衛生研究所がツボの効果について有効であるという見解を発表しています。

目のかすみに効くツボは、目をよく温めた後や入浴時など心身がリラックスしている状態で行うことでより効果が期待できます。

ツボによる目のかすみの改善はあくまでも対処方法のひとつであり、医療機関での治療に代わるものではありません。

名称 場所
攅竹(さんちく) 眉頭の内側の少しへこんだ所にあるツボ
晴明(せいめい) 目頭の左右のくぼみにあるツボ
太陽(たいよう) こめかみの下の少しくぼんだ所にあるツボ
印堂(いんどう) 額の中心部分にあるツボ
四白(しはく) 小鼻と頬の境目にあるツボ

ブルーベリーは目のかすみに効く?

ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」には、目の働きを助ける作用があります。

人の目の網膜には、目に入った光の情報を受け取るロドプシンと呼ばれる細胞が存在します。ロドプシンは光の情報を受け取ると分解され、情報を脳へ伝えます。脳へ情報を伝えた後ロドプシンは元に戻り、また光の情報を受け取るようになります。

ロドプシンが元に戻る力が衰えると、目がかすんだり見えづらくなります。アントシアニンはロドプシンの元に戻る力を助ける働きがあるため、間接的に目のかすみに作用することが期待できます。

おわりに

目のかすみは、目の疲れから起こるものから病気が原因のものまであります。

目を休めたり目薬などで対処しても目がかすむ場合には、重大な病気が関係しているおそれがあります。

慢性的な目のかすみは放置せず、近くの眼科を受診し医師へ相談しましょう。