涙の分泌量が減ったり涙の質が低下することにより、眼の表面を潤す力が低下した状態を「ドライアイ」といいます。
ドライアイでは、眼が疲れる、ショボショボする、眼が痛い、かゆいなどさまざまな症状が現れます。
この記事ではコンタクトレンズとドライアイの関係を解説。ドライアイに適したコンタクトレンズの選び方を紹介します!
コンタクトレンズとドライアイの関係
コンタクトレンズ使用時は、裸眼やメガネのときと比較すると1.5倍程度、涙の蒸発量が増えてしまいドライアイになりやすい状況といえます。
涙腺から分泌される涙は98%が水分で、コンタクトレンズと角膜の間で潤滑油として眼を守る重要な役割を担っています。
涙が不足するとレンズと角膜がまばたきのたびにこすれ、眼がゴロゴロしたり乾燥したりするなどの症状を引き起こしドライアイにつながります。
また、レンズのカーブが眼に合っていない、レンズが汚れているなども、ドライアイの原因となる可能性があります。
ドライアイに適したコンタクトレンズの選び方
コンタクトレンズにはハード・ソフトのレンズの違い、ソフトレンズにはワンデータイプ、2週間タイプ、使い捨てタイプなど、さままな種類があります。
【ドライアイに適したコンタクトレンズ】
材質 | ハードレンズ>ソフトレンズ |
使用期間 | ワンデータイプ>2週間用>1か月用 |
使い捨てかどうか | 使い捨てソフトレンズ>常用ソフトレンズ |
ドライアイにはハードレンズ
ドライアイの方はハードのコンタクトレンズが適しています。
ソフトレンズは角膜から涙を吸収して蒸発させやすいため、ドライアイを悪化させてしまいます。また、ソフトレンズは柔らかくて装着感が良いため、眼に異物が混入しても気づきにくく、ドライアイに悪影響を与える可能性があります。
ハードレンズでは眼に異物が入ってもすぐに気づくことができ、眼を傷つける前に対処が可能です。
しかし、ハードレンズは装着感・外れやすいデメリットなどから使用できない方も多いという欠点があります。
ハードが使えない方はワンデーソフト
ハードレンズが使用できない方はソフトレンズを使用することになりますが、ドライアイの場合はワンデータイプが適しています。
ドライアイではレンズに汚れや菌が付着しやすいため、毎日交換するワンデータイプが清潔を保ちやすく眼に与える影響が最低限で済みます。
ワンデータイプを使用する場合でも、レンズをはめる時やはずす時は手洗いをしてから行いましょう。
ソフトレンズは含水率とレンズの薄さをチェック
ソフトレンズの中でもレンズの含水率と薄さも確認しましょう。
含水率とはレンズに含まれる水分量のことで、50%以上を高含水、50%以下を低含水としています。
含水率が高いレンズは乾燥すると多くの涙を吸収するため、眼が乾きやすくなってしまいます。そのため、ドライアイには低含水のレンズを選ぶようにしましょう。
また、レンズが厚いものよりも薄いものの方が水分を奪う量が少ないので、レンズの厚さも考慮することをおすすめします。
ドライアイでもカラーコンタクトは使える?
カラーコンタクトレンズでも、ドライアイの症状が強めの方には使用は禁止されています。軽度のドライアイでもなるべく使用を控えることが推奨されています。
また、コンタクトレンズがドライアイになりやすい状況を作ってしまうため、元々ドライアイの方がお洒落目的でカラーコンタクトを使用することはおすすめできません。
カラーコンタクトの注意点
2011年2月からカラーコンタクトは度数が入っていないレンズであっても厚生労働省の承認を受けた商品しか販売できなくなりました。しかし、インターネットや雑貨店などでは承認を受けていない海外商品が販売されているのが現状です。
承認を受けていないカラーコンタクトレンズの中には、通常のコンタクトレンズでは日本でほとんど使用されていない酸素透過性が低いレンズが使われている商品が多くあります。また、レンズの大きさや厚みが原因で酸素不足を起こしやすい商品もあります。
承認を受けていない商品を使用した場合、ドライアイだけでなく角膜障害を起こしてしまう可能性が高く、カラーコンタクトを使ったことによる眼障害で病院を受診する方も年々増えています。
度数なしのカラーコンタクトでも病院受診が必要
ドライアイでもカラーコンタクトを使用してみたい!という方は、まず眼科へ行って検査を受け、自分に合ったカラーコンタクトを処方してもらいましょう。
コンタクトレンズは高度管理医療機器で、眼科医による処方・定期検査・説明・指導が必要な商品です。度数が入っているか入っていないかに関わらず、自分に合っていないレンズをつけたり使い方を誤ったりすると、失明に繋がるような重大な病気を引き起こす可能性もあります。
アクセサリーという認識はせず、厚生労働省の承認を受けたレンズを眼科医の診察を受けた上で処方してもらいましょう。
コンタクトレンズを購入する時の注意点
現在、コンタクトレンズはインターネットや眼鏡店などでも簡単に入手できます。
しかし、コンタクトレンズは眼に直接触れる医療品です。自分の眼に合わないレンズを使用したり、使用方法を守らないと眼のトラブルを引き起こす原因になります。
特にカラーコンタクトレンズは通常の視力矯正用のコンタクトレンズよりも眼障害を引き起こす可能性が高いため、インターネットや雑貨店で日本で承認を受けていない商品を購入しないように注意をしてください。
コンタクトレンズは眼科専門医に診断を受けて眼の状態に合ったものを処方してもらい、定期検査を受けるようにしましょう。
日常でできるドライアイ対策4つ
涙はコンタクトレンズの摩擦や汚れから眼を守る潤滑油です。
ドライアイの方は、ドライアイでない方に比べて角膜障害が4倍多いという報告があります。ドライアイの対策をすることは、眼を障害から守ることにつながります。
ドライアイの対策には眼を乾燥させないことが重要です。
まばたきを多くする
意識的にまばたきを多くしましょう。
通常、人は1分間に20〜30回まばたきをするため、眼は常に涙で潤っています。
ところがパソコンで作業をすると、一般的に瞬きの回数が通常の4分の1になるといわれています。集中して本を読んでいるときなども、まばたきの回数は無意識に減っています。
集中して作業をしているときは、こまめに休憩を入れて眼を休ませることも大切です。
モニターの位置を低くする
パソコンで作業する時は、モニターの位置を低くしましょう。やや斜め下を剥く程度にし、眼の開き具合を少なくすることで涙の蒸発を防ぎます。
市販の目薬を使う
眼の水分を保つために市販の目薬も有効です。市販の目薬の中でもコンタクトをつけていても使用できる防腐剤が入っていないものを選ぶことがポイントです。
眼に違和感や乾きを感じたときなどに活用しましょう。
加湿器を使う
空気の乾燥は眼の乾燥にもつながります。加湿器を使用して室内の湿度をあげて眼の乾燥も防ぎましょう。
夏でもエアコンを使用すると空気が乾燥するため、加湿器が有効です。エアコンの風が直接眼に入らないように気を配りましょう。
おわりに
涙が少ないとコンタクトで傷をつけてしまうため、自分に合ったコンタクトをつけることや、ドライアイの対策をすることはとても大切です。ただの眼の乾燥と片付けてしまわずに、自分に合ったコンタクト選びと対策をきちんとしましょう。
ドライアイは、ものが見えにくい・眼が疲れやすいなど、日常生活を快適に過ごせない要因になります。
ドライアイの症状が強いと角膜障害を引き起こす恐れもあるため、市販の目薬や乾燥を防ぐ対策をしても症状がよくならない場合は眼科を受診しましょう。