はじめに ~トキソプラズマ症とは~

トキソプラズマ症は、「トキソプラズマ原虫」と呼ばれる寄生虫の感染によって起こる動物由来感染症です。

トキソプラズマは多くの鳥や猫や動物が持っている寄生虫の一種で、人にも感染します。
特に妊娠中は感染しやすくなりますが症状が出ないこともあるため、のちに赤ちゃんに大きな影響を及ぼす場合があります。

image by Photo AC
 

トキソプラズマの感染ルートは?

◇生肉(主に豚)
◇加熱不十分な肉類
◇猫の糞便
◇土の中
◇井戸水などの生水

などに存在し、人から人への感染はありませんが、経口感染で口だけでなく目からも感染します。
時々問題になるのが、猫の糞便で、猫の住み着いた公園などから感染することがあります。

妊婦さんになったら野良猫や公園などにもある程度注意をしたほうがよいでしょう。
 

トキソプラズマの症の症状は?

トキソプラズマに感染しても免疫に異常がなければ、健康な成人は症状が出ない場合がほとんどです。
症状が出ても、リンパ腺が腫れる、熱が出るなど風邪に似た軽い症状や、筋肉痛が2~3日続きインフルエンザのような症状が出ることもあります。

潜伏期については、症状が無い、または軽い場合が多いため、はっきりしないことが多くあります。

大人はほとんどの人が免疫を持っているため、一度感染すると終生免疫が継続しますが、感染率は地域や年齢によって異なります。
ただし極度な免疫低下もしくは免疫不全の方の場合は、脳炎や肺炎など重症化する場合があります。
 

妊娠中の影響は?

妊娠前に感染していれば、体の中にすでに抗体が出来ているので基本的には問題ありません。
またママが感染した場合、必ずしも100%赤ちゃんに感染するということはありません。
ただし感染する時期によっては「先天性トキソプラズマ症」になり、赤ちゃんに重い疾患が出ることがあります。
 

赤ちゃんへの影響は「はじめて感染したとき」が注意!

ママが初めてトキソプラズマに感染した場合には注意が必要です。
ポイントは妊娠中のどの時点で感染が起こったかで、赤ちゃんへのダメージの高さが変わります。

❖妊娠初期
胎児感染は低い/ダメージの危険性は高い

❖妊娠中期
胎児感染はやや高い/ダメージの危険性はやや下がる

❖妊娠後期
胎児感染が最も高い/ダメージは一番低くなる

このように、感染率は妊娠末期になるほど上がります。
ただし重症度は妊娠初期ほど高くなります。

もし赤ちゃんが「先天性トキソプラズマ症」になった場合は、頭蓋骨の形成異常、頭蓋内の石灰化などで流産や死産の可能性があります。
また出生後に水頭症(頭の中に髄液がたまる)や視力障害、精神障害、運動障害などが起きる場合があります。
そのため、妊娠初期の感染には特に注意が必要です。

image by Photo AC
 

検査と治療法は?

血液検査でトキソプラズマ抗体の有無を調べます。

抗体(免疫)が陽性であれば、胎児が感染して「先天性トキソプラズマ症」を起こす心配はありません。
陰性であれば、トキソプラズマに「感染したことがない」といえるため、新たに感染する可能性があり、胎児感染を防ぐために注意が必要です。

妊娠中の初感染が分かった場合、抗生物質(アセチルスピラマイシン)を極力早期から服用します。
分娩時まで薬を服用することで赤ちゃんへの障害を抑えることができます。
 

日常の予防法は?

  • 肉は十分加熱する
  • 野菜や果物は十分に洗う
  • 生肉や野菜に触れた後はよく手を洗う
  • 未殺菌の牛乳などは口にしない
  • 調理器具は清潔にする
  • 庭や土いじりをするときはマスクや手袋をする
  • 猫を飼っている場合は獣医に検査してもらい、なるべく外に出さない
  • 猫の排泄物の処理は手袋を使いよく手を洗う(なるべく家族に処理してしてもらう)

妊娠中は感染しやすいやめ、このような日頃からの予防がとても大切です。

image by Photo AC
 

おわりに

トキソプラズマ症の怖いところは、感染しても無症状で、感染に気づかないことが多いことです。
特に妊娠初期からの予防や抗体検査につとめることがすすめられており、検診などで確認しておくことはとても大切です。