低用量ピルというと、血栓症との関係性が話題なっているのを聞いたことはありませんか?
先日、超低用量ピルである「ヤーズ」において、死亡例が報告されたことで騒動になりました。
そのピル服用者を死亡にまで至らしめた原因が「血栓症(けっせんしょう)」でした。
この血栓症とピルの関係性について見てみることにしましょう。
国内のピルを用法用量を正しく守って使い、定期的に医療機関で検診を受けていればほとんど発症しない副作用ではありますが、念のため血栓症についても理解しておきましょう。
また、すぐに死に至るような副作用ではないので、異変を感じたり、心配な時に気軽に話せる婦人科やレディースクリニックを持っておくと安心です。

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血栓症の発症率は人気のマーベロンで0.1%程度
1995年に、イギリスを襲った大きな不安。それは、第三世代のピルの血栓症のリスクでした。
従来の第二世代のピルに比較して、血栓症を起こすリスクが高いことが言われ始めたのです。
WHOが行った報告よると、第二世代のピルと比べて、第三世代のピルは、血栓症の発現率が第二世代のものと比べて2.4倍高いといいます。
ちなみに血栓症が起きるのは、ふくらはぎやわきの下にもっとも多いといわれています。
しかし、後日イギリスやドイツで詳細な調査が行われた結果、第二世代と第三世代のピルでは、その血栓症の発症率に差異が見られないことがわかりました。
ちなみに国内の低用量ピルで人気のマーベロンの血栓症の発症頻度は0.1%となっているので、実際には発生頻度はかなり低い副作用といえます。
低用量ピルと静脈血栓塞栓症
このことから、ピルによって血栓症が発症するリスクは、長い間忘れられてきました。
しかし、近年、「ヤーズ配合錠」の血栓症による死亡例が報告されてから、再度ピルのリスクについて取り上げられるようになりました。
「ヤーズ配合錠」とは、女性ホルモンであるエチニルエストラジオールとプロゲステロンが入っている超低用量ピルです。
月経困難症に向けた薬でもあり、生理痛はもちろん、月経不順で悩む女性をサポートするお薬です。
ヤーズ配合錠に限ったことではなく、エチニルエストラジオール製剤全般にリスクがあるといわれています。この点もよく覚えておきましょう。
血栓症の兆候とは?
ふくらはぎが痛い、激しい頭痛がある、胸が痛くて息苦しい、腹痛、目がかすむなど、血栓症の兆候はたくさんあります。
ピルを服用中にこのような症状が出た場合は、すぐに婦人科の医師に相談しましょう。
血栓症のリスクを避けるためには、早期発見が有効だといわれています。
繰り返しになりますが、すぐに死に至るような副作用ではないので、異変を感じたり、心配な時に気軽に話せる婦人科やレディースクリニックを持っておくと安心です。
また、血栓症になるもっともリスクが高い行動は、喫煙だといわれています。予防のためには、水分補給をすることや、長時間同じ姿勢を取らないことを心がけましょう。
本来、ピルは血栓症になるリスクよりも、その避妊効果や月経困難症の回避など、非常にベネフィットが多いものです。
血栓症を気にするあまり、このベネフィットを享受できないのは残念なものです。症状の兆候に気をつけながら、上手にピルと付き合っていければいいですね。
しかし、血栓症リスクは0%ではないので、万が一のことも考えながら、ピルを服用するのをおすすめします。