はじめに
妊娠中はホルモンの関係で皮膚のトラブルも起こりやすくなります
特に妊娠中にだけに起こる「かゆみ」のトラブルは、多くの妊婦さんが体験します。
原因として、皮膚は28日間で細胞が入れ替わりますが、妊娠すると新陳代謝が活発になりそのサイクルが早まります。
そのため水分と皮膚の分泌物のバランスが崩れ、かゆみとなってあらわれやすくなります。
また免疫システムの変化や汗をかきやすくなることもトラブルの原因となります。
妊娠中におきやすい皮膚のトラブルと対処法を知っておきましょう。
妊娠性皮膚搔痒症(にんしんせいひふそうようしょう)
中でも最も多いのが、妊娠中期から後期に多く見られる「妊娠性皮膚掻痒症(にんしんせいひふそうようしょう)」です。
特に目に見える症状はないのに体のあちこちがかゆくなります。
症状は、肌がカサカサで、全身にムズムズ、チクチクとしたかゆみがありますが、発疹が出ないことが特徴です。
特に皮膚症状もないのに、眠れないほど強いかゆみを伴うこともあります。
妊娠性疱疹(にんしんせいほうしん)
かゆみの伴った赤い斑点や水ぶくれが全身に広がっていきます。
じんましんに似ている発疹で、かゆみが強いのが特徴です。
原因は免疫システムの誤りにより皮膚細胞を攻撃してしまうためと考えられます。
ただし他の合併症などの病気を引き起こす可能性は低いためあまり心配は要りません。
PUPPP:妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)
初産婦に多く見られ、妊娠後期に発症します。
強いかゆみのある赤い発疹が、お腹を中心にお尻や四肢などにみられます。
眠れないほどの激しいかゆみを伴うこともあります。
※いずれも基本的に特別な病気ではありませんが、かき壊してしまうことでかゆみの悪化や色素沈着などを起こすこともあります。
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治療法とケアは?
これらの症状は妊娠特有の疾患のため、ほとんどが妊娠終了後には治まります。
その間、かゆみや発疹が強い場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
その際皮膚科を紹介されることもあります。
薬はステロイド外用薬や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬の内服も併用する場合があります。
市販のかゆみ止めを使用しても赤ちゃんには影響はありませんが、念の為、医師に確認を取りましょう。
普段のケアは?
- 保湿で乾燥を防ぐ
- かき壊さないように注意する
- 熱いお風呂は避ける
- アルコールや香辛料を控える
- 患部を冷やす
- 刺激の弱い石鹸やクリームを使う
- 肌着は綿素材にし衣類はウール系を避ける
少しでもかゆみを引き起こす原因を減らすようにしましょう。
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おわりに
このように妊娠中はかゆみに悩まされる妊婦さんはとても多くいます。
その間は大変つらいのですが、通常出産後は自然に治まります。
妊娠中の特有な症状だと知っておき、慌てないように正しいケアをしましょう。