はじめに ~摂食障害(せっしょくしょうがい)とは~

「摂食障害」は食行動の異常で、拒食症(神経性食欲不振症)と、過食症(神経性大食症)の症状があります。
近年男性にも増えている傾向にありますが、90%は女性で、拒食症は10代に多く、過食症は20代~30代に多く見られます。

拒食と過食は一見正反対に見えますが、拒食から過食へ、過食から拒食へと変わることもよくあり密接な関係です。
摂食障害は若い女性に多く、妊娠や出産に大きな影響をもたらすことが多いため注意が必要です。
 

摂食障害の主な原因と影響

摂食障害は生活においての様々な心理的ストレスが要因で起こります。
日常的に「やせていることが美しい」という社会的な価値観も影響し、他人からの何気ない言葉や中傷が引き金となり「太っていると醜い、価値がない」などの強い思い込みに支配され、食べることに罪悪感すら覚えてしまい、過食嘔吐を繰り返したり絶食に陥ることもあります。

摂食障害は、一般の食欲不振や過食などの単純なものではなく、あらゆる感染症や合併症、アルコールや薬物依存、人格障害などの精神疾患を伴うこともあります。
結果死に至ることもある危険な疾患のため、厚生労働省の難治性疾患(難病)として指定されています。
 

摂食障害は妊娠を機に治る?

妊娠すると当然赤ちゃんを守るために皮下脂肪が増え、血液や羊水、胎盤や母乳などが増加し、体には今までにない様々な変化があらわれます。
妊娠による喜びと共にストレスもかかることは否めません。
そのため、妊娠をきっかけに症状が和らいだり治まったりする場合もありますが、悪化する場合もあります。

◆悪化するケースとして

◇赤ちゃんのために食べる、でも太りたくないという感情のアンバランス
◇つわりによりますます嘔吐する
◇適切な栄養摂取の方法が分からない
◇つわりの悪化で妊娠悪阻になり水分も取れない
◇医師に摂食障害歴を隠す

このように、プラスとマイナスの感情、一人で抱え込む、妊娠悪阻などの合併症を引き起こすなどもあり、妊娠の継続が危ぶまれる可能性もあります。
 

摂食障害の出産・赤ちゃんへの影響は?

かなりの低体重の場合は、月経が長い間止まることが多いため妊娠は無いと思われますが、低体重だからと言って妊娠できないことはありません。
ある程度体重が戻り、月経が来るようになれば妊娠の可能性はあります。
ただし思春期以降に摂食障害の時期が長い場合、骨盤の発達が悪く筋力も弱いため、普通分娩は難しく帝王切開になる可能性が高くなります。

◆赤ちゃんへの影響

◇低出生体重児(2500g未満)
脳の発達障害
早産、難産、流産

など、赤ちゃんに大きな影響をもたらします。
もちろん、体重は増えすぎてもいけません。
体重が増えすぎた場合は、妊娠高血圧症候群や貧血などを起こしやすくなり、ママ自身も様々な合併症も引き起こすこともあります。
そのため、特に妊娠中は健康的な体重管理が重要になります。
 

妊娠中の体重増加の内訳は?

❏血液、水分、子宮や乳房の増加分=約3.3kg
❏皮下脂肪=1.8kg
❏胎児、胎盤、羊水など=約4kg

このように、妊娠中は体重が増えて当然です。通常8~9kgほど増えます。
 

妊娠中の健康的な体重管理とは?

BMI(Body Mass Index)から目標体重の目安を出します。
BMIは国際的に用いられている肥満を判定する指数のことで、日本肥満学会ではBMIの数値が20~24を普通としています。
BMI=「体重÷身長÷身長」で計算します。

妊婦の場合、妊娠前の体重を使って、BMI=「妊娠前の体重÷身長÷身長」で計算し妊娠前の肥満度を出します。
それによって、「妊娠中に増えてもいい体重」が分かります。

BMI   目標体重の目安
18.5未満 やせ型 +9〜12kgが目安
18.5以上25未満 標準型 +7〜12kgが目安
25以上 肥満型 個別に対応

妊娠中の体重増加は7~12kgが適切です。
まずは目標体重を念頭に置いて、医師や家族のサポートを受けながら食生活を変えていくことが必要です。
 

さいごに ~妊娠中はスタイルのいいママより、健康的なママへ~

摂食障害は簡単に克服できるものではなく、他人にはそのつらさは容易に理解できないものです。
それでもママになった場合は、どうしても一番に大切なのは、ママが丈夫で健康であることですね。
お腹の中で毎日成長している赤ちゃんのためにも、体重の減りすぎと増えすぎには注意する努力が大切になります。