はじめに

妊娠中に上のお子さんの通っている保育園や幼稚園で水ぼうそうが流行しているため、自分の子どもが感染しているか、赤ちゃんへの影響は大丈夫なのかと心配するママも多くいます。
水ぼうそう(水痘:すいとう)は子供たちがよくかかるウイルス性の感染症の中でも代表的なものですが、多くの成人女性は水痘に対する抗体を持っているため、大人になってから水痘感染を起こすことはまれです。ただし抗体を持っていない場合は、母子共に重症化や障害が生じることがあります。

春先は流行真っただ中の時期のため、妊娠中の水ぼうそうについてはしっかり確認しておきましょう。

 

水ぼうそうの原因と症状は?

原因となるウイルスは「水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス」によるものです。
10歳以下の小児に多くかかる流行性の感染症で、12月~7月にかけて流行しやすく、春先にピークを迎えます。

感染力が非常に強く、感染経路は 「飛沫感染」 「空気感染」 「接触感染」によって広まり、2週間の潜伏期間の後発症します。

症状は、発疹が出現し、発熱、倦怠感を伴い、赤い発疹が現れてから1~2日で全身に広がります。
発疹はかゆみを伴い、水泡(水ぶくれ)になり、やがて水泡が破れてかさぶたになり、通常1~2週間で軽快します。

 

妊婦が感染すると?

水ぼうそう(水痘)は、一般的に終生免疫(1度感染すると生涯2度とかからない)と言われることが多いのですが、抗体がなくなることで大人でも再発することがあります。
通常1~2週間で軽快しますが、大人の場合は重症化しやすく、稀に水痘肺炎などの合併症を引き起こすことがあります。
妊娠中の感染は、母体の重症化、また流産や早産、胎児の障害や命の危険につながる可能性もあり、妊婦にとっては子どもの病気だとあなどれない危険な感染症の一つです。
 

妊娠中は特に「周産期感染」に注意

「周産期:しゅうさんき」とは、妊娠22週~生後7日未満までの期間をいい、妊婦の合併症や分娩時の新生児仮死など、この期間は母体と胎児及び新生児の命に関わる事態が発生する可能性があり、周産期を含めた前後の期間においては「周産期医療」として、突発的な緊急事態に備えて産科と小児科の双方の総合的な体制が必要になります。

水ぼうそうの場合、妊娠初期の妊娠12週までに感染すると、「先天性水痘症候群」になる可能性があります。

先天性水痘症候群とは

  • 低体重出生
  • 脳炎、水頭症
  • 白内障
  • 部分筋肉萎縮、四肢形成不全
  • 皮膚の欠損、色素沈着
  • 子宮内胎児発育不全

などが起こる可能性があります。


また出産の5日前から2日後の間に母体が感染すると、ごくまれに赤ちゃんが死亡する可能性があります、
妊娠中の多くの感染症については、妊娠初期の感染に注意が必要ですが、水ぼうそう(水痘)の場合、妊娠初期と合わせて、特に分娩前後の感染には最も注意が必要です。
 

 

妊娠中に水痘感染者と接触、感染したら?

水痘患者と接触した可能性がある場合

水痘ワクチン接種や水痘感染の経験がない場合には、検査をして免疫の有無を確認しましょう。
予防として接触後96時間以内に「水痘帯状疱疹免疫グロブリン」注射を行うことがすすめらています。
 

妊娠中に発病してしまった場合

母体の重症化を予防する目的として「抗ウイルス薬」を投与します。
母親が出産の5日前~出産2日目の期間に水ぼうそうが発症した場合、母親には「抗ウイルス薬」を使用、新生児へは「ガンマグロブリンの注射」を行います。

 

さいごに

妊娠中には水痘ワクチン接種はできません。
水痘ワクチンに限らず、基本的に「妊娠中の生ワクチン接種は原則禁止」となっています。そのため妊娠中は感染者との接触を避けることが重要です。
幸い免疫がなくて感染しなかった場合は、将来も考慮し、出産後に予防注射について医師に相談しましょう。
出来れば妊娠の可能性がある場合、妊娠前に抗体を確認し、受けるべきワクチンがあったら早めに接種しておくことが大切です。
 

image by Photo AC
image by Photo AC