幅広い年代の女性に見られるようになった「子宮内膜症」

以前は33歳前後に患者が集中していたそうですが、現在では20代後半~30代前半、さらには10代後半でも見られるようになった子宮内膜症。

子宮内膜症とは、子宮の内側にある子宮内膜と似た組織が、別の場所にできる病気です。

組織のの多くは腹膜や卵巣にできますが、稀に胃や肺などにできることもあります。

本来の子宮内膜は月経血として体外に排出されますが、子宮内膜症は剥がれ落ちても出口がなく、体内にとどまるので炎症や臓器の癒着を招くのが特徴です。

良性の病気なので命に関わることはありませんが、妊娠できるのか気になる女性は多いのでしょうか?

結論から言うと、子宮内膜症の方でも自然妊娠する方は多いです。

とはいえ、放っておくと妊娠が難しくなることも事実です。

そこで今回は“子宮内膜症が妊娠に与える影響”と、“出産後、子宮内膜症は治るのか?”を中心に子宮内膜症と妊娠の関係を解説していきます。

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子宮内膜症による「卵巣・卵管の機能障害」と「腹腔内の環境異常」が妊娠に影響?

現在、不妊に悩む女性の約半数に子宮内膜症が見られることが分かっています。

その因果関係にはハッキリしない部分が多い中、子宮内膜症が与える主な影響として考えられているのが「卵巣・卵管の機能障害」と「腹腔内の環境異常」です。

不妊症の原因として最も多い「卵巣・卵管の機能障害」

卵巣内にできる子宮内膜症が増殖と剥離を繰り返すと、卵巣に血がたまって溶けたチョコレートのようになることから「卵巣チョコレートのう胞」と呼ばれます。

チョコレートのう胞ができると排卵が起こりにくくなることから、不妊の原因とされています。

また、癒着することで卵管の動きも悪くなり、排卵しても卵子のとり込み (ピックアップ) ができなくなったり、卵管の圧迫で卵子の移動を妨げるなど様々な面で妊娠を妨げるのです。

「腹腔内の環境異常」で増加する物質が不妊の原因に

子宮内膜症によって腹腔内の炎症が強くなると、腹水内で白血球が増加します。

このことで、マクロファージという細胞が活発化し精子を食べてしまうと言われています。

また、腹水内に多く含まれる「サイトカイン」という物質は「プロスタグランディン」の放出を促す作用があります。

プロスタグランディンが増えると筋肉の収縮が活発になり、その結果、卵管が異常に収縮してしまうと、卵子のとり込みがうまくいかなくなるのです。

このほか、プロスタグランディン自体が受精そのものに障害を与えるとも言われています。

出産したら子宮内膜症は治る?

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正確にいうと治るわけではありません。

子宮内膜症は月経血の逆流によって起こるとされているので、妊娠・出産期間中の後の約18ヶ月(1年半)は生理が止まり、リスクが軽減されるというのが正しいでしょう。

また、子宮内膜症はエストロゲン(卵胞ホルモン)で悪化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)で良くなるとされています。

妊娠中にはプロゲステロンが大量に分泌されるため、腹膜の状態がかなり改善される可能性が高いでしょう。

一方で、出産時に剥がれ落ちた子宮内膜が何らかの要因で逆流し腹腔内に入り込むと、子宮内膜症が発生するおそれもあるので、体調の変化には注意が必要です。

子宮内膜症と不妊症の治療は同時に行うことは難しい

不妊の原因を探る中で子宮内膜症が分かったという患者が多いですが、基本的に子宮内膜症と不妊症の治療を同時に続けることは難しいとされています。

なぜなら子宮内膜症の治療にホルモン療法を行えば、排卵が止まるので妊娠ができません。

また、不妊治療のために排卵誘発剤を使えば、女性ホルモンが増えて子宮内膜症が悪化する可能性があります。

治療の進め方は年齢や子宮内膜症の症状の重さによってさまざまですが、不妊症の治療を優先させ、鎮痛剤で子宮内膜症の痛みを抑えながらタイミング療法による妊娠を目指すケースが多いです。

これは妊娠前に子宮内膜症が多少は悪化することはあっても、妊娠後は改善に向かう可能性があるためです。

妊娠を望んでからではなく、早めの診察と計画的な治療を

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いかがでしたか?

子宮内膜症は月経がある限り進行する病気です。

しかし早期発見ができれば、低用量ピルで月経を調整するといった治療で、子宮内膜症の症状を抑えることも可能です。

不妊に悩んで初めて子宮内膜症に気付く女性も多いですが、先ほど紹介した通り、不妊治療と子宮内膜症の治療は並行して行えません。

年々生理痛が重くなるなど、気になる症状がある方は早めに婦人科を受診しましょう。

また、受診のときには「月経の状態」「初経年齢」「月経周期や日数」「痛みの程度」などを自分の症状をメモしたものを用意すると

効率よく診察を受けられますよ。