胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)とは

通常食べた物は、食道と胃のつなぎ目の噴門部(ふんもんぶ)にある「下部食道括約筋:かぶしょくどうかつやくきん」という筋肉によって食道に逆流しないようになっていますが、この逆流防止が機能しなくなると胃の内容物が食道に逆流してしまします。

この現象を「胃食道逆流現象」といい、それに伴い症状が出るものを「胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう」といいます。

近年「逆流性食道炎:ぎゃくりゅうせいしょくどうえん」という病名をよく耳にしますが、これは胃液(非常に強い塩酸・胃酸)が逆流し、食道粘膜が炎症を起こしたものです。

胸やけなどの不快症状から、ひどくなると潰瘍(かいよう)ができたり食道の通りが悪くなる、その他、気管支炎や肺炎になることもあります。

また食道に入ってきた塩酸の刺激により、心臓の拍動にも影響をもたらし、ひどい場合には心臓の拍動が停止することもあります。

このように胃から食道への逆流現象は様々な病気の原因となります。特に赤ちゃんは逆流を起こしやすいため注意が必要です。

赤ちゃんはなぜ逆流しやすいの?

特に生後2ヶ月頃までは、食道括約筋の働きが未熟なため、生理的な逆流現象を起こしやすくなります。

・ミルクをダラダラ吐く「噴門弛緩症:ふんもんしかんしょう」
・ミルクを噴水のように吐く「肥厚性幽門狭窄症:ひこうせいゆうもんきょうさくしょう」

なども、胃の入り口や出口の筋肉が未発達のために起こります。

「胃食道逆流症」も含め、このような逆流を放置すると赤ちゃんの健康や発達に影響を及ぼすことがあります。

胃食道逆流症の症状は?

・嘔吐、吐血、下血
・かぜを引きやすい
・喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒューなどの呼吸音)
・長く続く咳、発作
・体重増加不良
・貧血
・チアノーゼ、無呼吸発作などの呼吸障害

など、単にミルクを吐くだけではないため注意が必要なのです。

診断と治療法は?

診断

24時間pHモニターで胃酸の食道への逆流を確認たり、場合により内視鏡検査で直接食道炎の有無を確認します。

治療法

1)特殊ミルク

粘度を高くした特殊ミルクを、少量づつ何度にも分けて与える

2)姿勢

食後しばらくは横にさせず抱っこなどでゲップや排便、排ガスを促す

3)食事の管理

離乳食などの食事内容は、刺激物を含まないよう注意する

4)薬

胃酸の分泌を抑えて食道の粘膜を保護したり、胃に溜まっている内容物を十二指腸へ流す

5)手術

噴門形成術という手術を行い、逆流を防ぐ仕組みを人工的に作る

通常は成長に伴い次第に逆流防止機能が出来上がっていくため、赤ちゃんの場合はすぐに手術をするのではなく、1歳くらいまでは手術以外の治療法で様子を見て機能が完成するのを待ちます。

ただし、ひどくなると健康や成長に大きく影響することもあるため、治療方法については医師とよく相談の上で行いましょう。

おわりに

赤ちゃんはよく吐いたり下痢をしたりするものですが、胃食道逆流症は見逃されやすいといわれています。

小さな体で吐いてばかりいたら、赤ちゃんにとってとても負担が大きく栄養も摂れないため、普段よりもよく吐く、せきが続いているなどの場合は早めに受診して大事に至らないようにしましょう。