子宮内膜症は女性にとって身近な病気

子宮内膜症は、子宮内にできるはずの子宮内膜 (受精卵が着床するとベッドになるところです) と似た組織が子宮以外の場所にできる病気です。

晩婚化や初産の高齢化といったライフスタイルの変化などから、患者数は年々増加しており、月経(生理)がある女性の10人に1人は子宮内膜症の可能性があるとも言われています。

子宮内膜症は命を奪う病気ではありません。しかし重い生理痛や性交痛、腰痛といった症状は、心身に大きな負担を与えます。

また、放置していると不妊症を招くリスクもあるのです。

そこで今回は、子宮内膜症の治療方法のひとつである薬物治療について、薬の種類やそれぞれのメリット・デメリットまた副作用や費用といったさまざまな面から解説していきたいと思います。

子宮内膜症の薬物治療!対症療法とホルモン療法の違いを比較

子宮内膜症の治療の主な目的は、生理痛をはじめとした「痛み」を鎮めることです。

治療の第一歩として、ほとんどの場合が鎮痛剤などを使用した「対症療法」が行われます。

そして対症療法では効果が得られなかった場合には、ホルモン剤を使った「ホルモン療法」が行われるのです。

そこで、ふたつの治療法のメリットやデメリット、どんな場合に向いているかを比較してみましょう。

鎮痛剤を効果的に服用して痛みを抑える「対症療法」

生理痛の原因に子宮の収縮を活発にする物質 「プロスタグランディン」 があるのですが、鎮痛剤には、この物質の分泌を抑える働きがあります。

薬を効果的に服用するコツは、早めに飲むことです。

早めの服用によって薬の使用量もおさえることができます。

鎮痛剤は繰り返し飲むと効果が薄れるという心配もありませんので、安心して服用しましょう。

一方で、プロスタグランディンは胃粘膜を守る働きもしています。

そのため鎮痛剤によってプロスタグランディン分泌が減ると、胃粘膜が荒れる可能性があります。

服用する時は、食後や何かを食べてからなど胃が空っぽの状態を避けるようにしましょう。また、多めのお水で飲むように心がけましょう。

この対症療法は、あくまで「痛み」という症状に対する療法です。

そのため、病気自体は治らないので定期的に検診を受けることが大切です。

ホルモン療法で主に処方される「低用量ピル」

低用量ピルとは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを合わせた薬です。排卵を止める働きがあり、子宮内膜症を薄くします。

この効果で月経血の量が減り、生理痛も緩和されます。

子宮内膜症の治療でピルを使用する場合、以下のピルは保険適用になります。(2016年8月現在)

低用量ピル
・ルナベルLD
・フリウェルLD(ルナベルのジェネリック)

超低用量ピル
・ルナベルULD
・ヤーズ

ルナベル、ヤーズは保険適用で1シート(1か月分)およそ3000円前後、フリウェルは3000円弱になります。

自費診療で処方される他のピル(トリキュラー、マーベロンなど)が1シート2000円から3000円程度と考えると、保険適用でも大きく費用が安くなるというわけではありません。

ピルの代金には、薬代の他にも初診料・再診料などが加算されます。また、初診の場合や定期検査時には検査費用が加算されます。

ただし、最初の1~2ヶ月は副作用があらわれることも

体がピルに慣れることでなくなりますが、最初は不正出血や吐き気、頭痛、むくみといった副作用があらわれることがあります。

病巣を小さくする効果のある「黄体ホルモン療法」について

黄体ホルモンは2008年に認可されたばかりのホルモン剤です。低用量ピルと同じく排卵を抑制するほか、子宮内膜症を悪化させるエストロゲンの分泌を抑えます。また病巣に直接作用することも大きな特徴です。

先ほど紹介した生理痛の原因であるプロスタグランディンの分泌も抑えるので、痛み止めとしての効果もあります。

このような働きから、低用量ピルでは効果が見られなかった場合に処方されることが多いです。

費用は低用量ピルより高額となり、1ヶ月で約8500円(保険適応)ほどです。

黄体ホルモンの副作用として不正出血が多くみられます

飲み始めから3ヶ月~半年ほど副作用として不正出血が見られるケースが多いです。服用期間が長くなると症状も軽くなります。

出血の多さで貧血や慢性的な疲労感がある場合は、主治医に相談をしましょう。

黄体ホルモンを飲んでいるときは、妊娠しない?

飲み忘れない限り基本的には妊娠はしませんが、万が一、服用から2時間以内に下痢や嘔吐が起こったことにより薬が体外に出されてしまった場合は、まれに妊娠することもあります。

服用期間は6ヶ月!閉経と同じ状態を作る「GnRHアゴニスト」とその副作用について

GnRHアゴニストは卵巣の働きを抑え、女性ホルモンの分泌を低下させることで閉経と同じ状態をつくる薬です。

(こうした治療法は、偽閉経療法といわれます)

排卵や生理が止まるので生理痛がなくなります。また病巣を小さくし、増殖を抑える効果もあります。

ただし、副作用が多いため服用期間は6ヶ月とされています。黄体ホルモンによる治療で効果が見られなかった場合や重症の場合に処方されます。

GnRHアゴニストは注射剤と点鼻薬の2種類から選べます

GnRHアゴニストは飲み薬にすると胃で分解されてしまうため、注射剤か点鼻薬という形になっています。

それぞれの違いは、下記の通りです。

 

注射剤タイプ

・月に1回、病院で打つ(腹部への注射)

・点鼻薬より効果が強いが、費用も高い

(1回あたり、13000~20000円ほど)

・副作用が強い

点鼻薬タイプ

・1日に2~3回、同じ時間にスプレーする

・毎日服用する煩わしさがあるが、費用は安い

(1ヶ月あたり、9500円ほど)

・注射剤より副作用は軽い

GnRHアゴニストで女性ホルモンの分泌を抑えたことで起こる副作用とは?

女性ホルモンの低下によって、更年期のような症状が出ます。ほてりやのぼせ、不眠、イライラ、脱毛が主な副作用です。

特に注意しなければならないのは骨量の低下で、このことから服用期間が定められています。

自分のライフプランや症状に合わせて治療法を選びましょう

子宮内膜症は生理が続く限り、付き合わなければならない病気です。

妊娠希望の有無といったライフプランや症状の重さ、また病院に頻繁に通えるか、といった生活環境などを考慮して自分に合った治療方法を主治医と一緒に見つけていきましょう。