生理周期と頭痛の関係:月経関連片頭痛
女性に多い片頭痛。中でも、「生理前になると必ず頭痛がする…」という方は特に多いようです。
だいたい生理の2日前くらいから頭痛の兆候を感じはじめ、長い人では、生理後も7日間ほど頭痛に悩まされるというケースも。
生理痛の一種と言うよりは、れっきとした「片頭痛」なので、下腹部の生理痛を抑えてくれる鎮痛剤でも効かないことがあり、毎月頭痛でツラい思いをしている人も多いのではないでしょうか。
月経関連片頭痛には、生理痛への対処法とは違ったアプローチが必要です。
まずは、生理前になるとどうして頭痛がするのか?そのメカニズムを理解しましょう。
頭痛の原因は女性ホルモン
女性の体調は、常に「ホルモンバランス」に左右されています。
生理周期の中で増えたり減ったりを繰り返すホルモンのひとつが、「卵抱ホルモン」です。
卵抱ホルモンは「エストロゲン」という名前でもよく知られています。エストロゲンは、女性らしさをつくるホルモンとも呼ばれ、分泌量が増える時期には、比較的肌ツヤがよくなり、体調も安定すると言われています。
エストロゲンの分泌は排卵前にピークを迎え、排卵後に急減。再び増加し、生理前になるとまた、急減します。
このエストロゲンの急減にともない、「しあわせホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」の分泌量も大幅に減少。心身にリラックス作用をもたらすセロトニンが急に減ることで、脳内の血管が拡張し、頭痛が起こるのです。
生理前の頭痛が、ズキズキと脈打つように痛んだり、動くことでより強い頭痛を感じたりするのは、血管の拡張にともなう痛みだから
人によっては、目がチカチカしたり、吐き気をともなうケースもあるようです。
月経関連片頭痛と上手に付き合うには?
ホルモンバランスを整える生活習慣を意識
月経関連片頭痛は、生理前後のホルモンバランスの変化により起こるPMS(月経前症候群)の一種。
PMSの改善には、適度な休息とリラックスに加え、規則正しい生活習慣が欠かせません。
◼︎栄養バランスの整った食事を、毎日決まった時間に!
忙しい毎日、食事の時間帯がバラバラになってはいませんか?ホルモンバランスを整えるには、身体に生活のリズムを覚えさせることが有効です。
理想は1日3食ですが、それが難しいという方も、できるだけ毎日決まった時間に食事するようにしてください。また、栄養バランスに気を配ることも大切。脂質や糖質の摂りすぎに注意し、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルを多く摂ることを意識しましょう。
具体的な食材としては、体内でエストロゲンと似たはたらきをしてくれる「イソフラボン」を豊富に含む納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品、ビタミンB6を豊富に含むナッツ類、バナナ、レバー、カツオ、マグロなどがおすすめ。
◼︎睡眠不足と眠りすぎ、どちらも避ける
睡眠不足と眠りすぎ、どちらもホルモンバランスを乱す原因になってしまいます。
平日の睡眠時間が十分でなく、土日に「寝だめ」をしている…なんて人は要注意。そんなあなたは、眠りすぎた後に頭痛が起きる…という経験をしたことがあるのでは?
理想は、毎日同じ時間に眠り、同じ時間に起きる生活。睡眠時間は7時間程度がベストです。それが難しいという場合も、休日もできるだけ普段と同じペースで生活するように心がけてみてください。
◼︎ストレスをためすぎない
過度の精神的ストレスは、ホルモンバランスにとって大敵。
忙しい毎日の中、1日5分だけでもいいので、心からリラックスできる時間を設けるよう心がけてみてください。身体の緊張を和らげる効果が期待できるアロマテラピーなどもおすすめです。
強い光や人の多い場所を避ける
強い光が目に入ると頭痛が起こるというタイプの人は、外出時にサングラスを着用してみてください。
また、騒音や汚れた空気、においなども頭痛を引き起こすトリガーになります。生理が近くなり、頭痛の予兆を感じはじめたら、落ち着くまで人通りの多い場所を避けるのもひとつの方法です。
生理前から生理中には湯船につからない
月経関連片頭痛の痛みは、脳の血管の拡張によるもの。身体が温まりすぎると血管がさらに拡張するため、頭痛がひどくなってしまう場合も。
頭痛の予兆を感じはじめたら、落ち着くまで入浴はシャワーで済ませるなどの工夫をしてみてください。
片頭痛に効くツボを押してみる
月経関連片頭痛に効果があるツボとして有名なのは、「天柱(てんちゅう)」と「百会(ひゃくえ)」のふたつ。
「天柱(てんちゅう)」は、首の後ろ、後頭部と首の境目付近にあるツボ。
中央のくぼみから4cmほど外側の左右両サイドを、3秒押し、3秒離す…というのを何回か繰り返してみてください。
「百会(ひゃくえ)」は、頭頂部にあるツボ。頭のてっぺん、左右の耳を結んだ線の中心に位置します。
指の腹を百会に当て、心地よいと感じるくらいの強さで下に押してみてください。
人によって感じ方は違いますが、もし体質に合えば、このふたつのツボは、頭痛の際の強力な味方になるはずです。
医師の診察を受け自分に合った薬を処方してもらう
市販の鎮痛剤は、月経関連片頭痛にはあまり効果がないケースが多いようです。効かないからといって、指定の用量より多くの量を飲むなどの乱用を続けていると、「薬物乱用頭痛」という新たな症状を引き起こしてしまう場合も。
あまりにも毎月、頭痛がツラいという場合は、医師の診断を受け、自分の症状に合った成分の入った薬を処方してもらうことをおすすめします。
おわりに
生理にともなうさまざまな不調の中でも、特に厄介な頭痛。
女性の身体にとって自然な現象である生理の期間中を快適に過ごすためにも、頭痛と「上手に付き合う」方法をできるだけ多く見つけることをおすすめします。時には無理をせず、「休む」勇気も大切。その上で、医師に処方された薬なども適度に活用してください。
今回ご紹介した方法を試してみることで、生理前から生理中にかけてのあなたの憂鬱が軽減されることを祈っています。