子どもにも心因性の病気が蔓延

過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)は、検査をしても腸に明らかな炎症や腫瘍などは見つからず、腹痛や排便の異常など、腸管の働きに問題がある慢性の腸の機能障害です。

 

子どもが腹痛を起こす病気として最も頻度が高く、大人でも20代~50代には10人に1人には見られるといわれ、心因性のストレスとのかかわりが深い病気として知られています。

炎症が無いのに子どもが長期に腹痛を訴えたり、便の調子がおかしい時はこの病気の可能性があります。

過敏性腸症候群の症状や対処法を確認しておきましょう。

 

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過敏性腸症候群のタイプ

過敏性腸症候群の3つのタイプがあります。

 

〇下痢型

〇便秘型

〇混合型(下痢と便秘を交互に繰り返す)

 

中でも男子は「下痢型」、女子は「便秘型」が多く見られます。

過敏性腸症候群の症状は?

・腹痛が2か月以上続く

・腹部にガスが溜ってパンパンになる、膨満感

・腹痛が午前中(特に登校前)に起こる

・便秘(週2回以下の排便しかない)

・コロコロした硬い便

・1日3~4回以上の下痢、水様便

・排便時に残便感がある

・検査をしても炎症などの異常は見られない

 

このように、長期に排便の障害があるときは過敏性腸症候群と考えてられます。

主な症状は子どもも大人も大きく違いはありません。

脳と腸は密接に関係しています

過敏性腸症候群は、主に先進国に多く見られ、ストレス社会を象徴している腸の病気です。

 

脳と腸は密接な関係があり、ストレスによる自律神経の乱れがホルモンによって脳から大腸に伝わり、ぜん動運動など消化管の働きの異常や知覚過敏が起こります。

 

脳が受けた情報は腸に伝わり、逆に腸で起こった情報がまた脳に伝わるため、便通の異常は更なるストレスになります。

症状はストレスが多いとひどくなります。長引くと少しの不安や緊張などにより腹痛が出やすくなり、便秘や下痢が慢性化します。

 

改善のため薬に頼りすぎると、腸の働きが悪くなり、本来の自然な排便ができなくなってしまいます。

 

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症状がまた更なるストレスに

排便に異常があることで、さらに以下のようなストレスが起こります。

  • 通学中の電車やバスの中で便が出そうになるのが不安
  • お腹にガスが溜まってもおならを我慢してしまう
  • 人の目を気にして授業中にトイレに行きづらく我慢してしまう
  • おならをしたことで臭いとからかわれた
  • 人前に出ることが怖い、異常に緊張する
  • ぎりぎりまで我慢してもらしてしまいそうになる(もらしてしまった)

このようなことから、不登校になることもあります。

性格的にガンバリ屋で几帳面での子に多く見られ、また親の心配が余計にプレッシャーとなり症状が悪化することもあります。

だんだん低年齢化しているため注意が必要です。

こんな症状にはさらに注意

・夜間の腹痛

・微熱

・頭痛

・疲労感

・下血

・嘔吐

・体重減少

 

など消化器以外の様々な症状が出て、いつもと様子が異なるときは他の病気の可能性があります。まずはかかりつけの小児科医に相談し、必要に応じて消化器科の専門病院を受診し、他の病気がないかどうかを確かめましょう。

 

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なかなか症状が良くならない場合や、心理的要因が強く精神病性の症状の前兆があれば、心理療法(カウンセリングなど)が必要な場合があります。抑うつや不安、緊張が明らかに認められる場合は、少量の抗不安薬、抗うつ薬なども検討します。

治療法は生活習慣を見直すことから

腸の機能を整える

規則正しい生活リズムと食生活を見直しましょう。

 

〇十分な睡眠

〇栄養の偏った食事を避ける

(インスタント食品やファーストフードなど・・)

〇食物繊維の多い野菜や乳酸菌などを多く摂る

〇定期的な排便習慣をつける

ストレスへの理解

何か抱えている不安や問題、プレッシャーなど、子どもの気持ちを理解することが意外に見逃されています。親が子どもに無理をさせたりプレッシャーを与えてないか見直し、家庭内、学校内のことについて話し合うことが大切です。理解されたという安堵感だけでも随分解消されることがあります。

 

また必要に応じて専門医のカウンセリングを受けるなど、子どもの不安を取り除くことが重要です。

単にに薬を飲ませるだけで放置すると、不登校になったり、不安神経症などの心の病にもなりかねません。早めに対応してあげましょう。

 

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さいごに

「過敏性腸症候群」は、成長期によく見られる起立性調節障害の合併症の症状としても知られています。

成長期には、大人同様、心因性による体調不良や不定愁訴が起こりやすくなります。注意してあげたいですね。