はじめに ~妊婦の7%~10%に細菌検出~

妊娠中には今までになかった症状や病気に悩まされることが多くありますが、「膀胱炎」もその代表的な病気の一つです。
膀胱炎とは、膀胱内に細菌が入ってしまい、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気ですが、
原因はほとんどが細菌による感染で、8割以上は「大腸菌」によるものです。

妊娠中は検査により「尿培養で細菌の有無」を調べますが、そこで初めて膀胱炎と診断されることがあり、妊婦の約7~10%で細菌が検出されています。

膀胱炎と診断されたら早急に治療が必要ですが、膀胱炎は特に妊婦さんには頻度の高い病気で、膀胱炎の未治療から、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を引き起こすと、母体と胎児に危険度が増すため、まずは膀胱炎にならないために日頃から対策をすることが大切です。

 

膀胱炎の症状は?

  • 頻繁な尿意
  • 下腹部の圧迫感や鈍い痛み
  • ほんの少し排尿するだけで痛んだりヒリヒリする
  • 尿が悪臭を伴う
  • 尿がにごる
  • 血尿になる

症状には軽いものから非常につらいものまで個人差がありますが、「無症状」の場合もあります。

もし「無症状」であっても、細菌が検出された場合は「膀胱炎」から進行した「腎盂腎炎(じんうじんえん)」などに発展させないために、医師から予防用の抗生物質が投与されます。

 

妊娠後期に多い腎盂腎炎に注意

腎盂腎炎(じんうじんえん)は主に大腸菌などが「尿道から腎盂へ逆行」して炎症を起こしたものです。

尿は腎臓で作られますが、腎臓は体内を流れる血液をろ過してきれいにする働きがあり、その結果できたのが尿です。
尿は、腎盂(じんう)→尿管→膀胱→尿道という「尿路」を通って体外へ排出されます。

引用元:http://dock.cocokarada.jp/disease/120.shtml

腎盂腎炎(じんうじんえん)は、尿が通常の経路と逆で、膀胱→尿管→腎盂へと、細菌が尿管をさか上ってしまい発症します。
膀胱炎の未治療から腎盂腎炎を起こす例が20%~40%の割合でみられます。

腎盂腎炎は、膀胱炎の症状に、悪寒、38度~39度の高熱、背中の痛み、吐き気、嘔吐などを伴い、治療が遅れると腎機能が低下したり、菌が血液に入り全身に細菌感染する「敗血症」に及ぶことがあります。

早期に治療すれば特に妊娠に影響がないことがほとんどですが、重篤化すると炎症によって子宮収縮が生じて陣痛が始まることがあり、早産や流産になってしまう可能性があります。

まずは妊娠中にかかりやすい膀胱炎をしっかり治療し、腎盂腎炎に進行させないことが大切です。

 

妊娠中の膀胱炎は進行・再発防止が大切

膀胱炎の治療法は、妊娠中の服用が認められている抗生物質を服用します。
症状が良くなったからといって服用をやめてはいけません。再発防止のために医師の指示に従い、治療を継続します。

腎盂腎炎に進行している場合は、高熱によって衰弱していることもあるため、薬を点滴投与するために入院が必要な場合があります。
症状が消失しても再発が生じる可能性があるため、定期的に検査をして再発が生じていないことを確認していきます。

 

膀胱炎のホームケア・予防策を実践しましょう

尿培養で細菌が認められたら予防用の抗生物質が投与されます。
膀胱炎や腎盂腎炎を食い止めるために、以下のような家庭でのケア合わせて行いましょう。

水分補給の注意

細菌を洗い流すため、水分(特に水)をたくさん飲みましょう。
コーヒー・紅茶(カフェイン抜きのものも)・アルコールは飲まないように。
水の他にはクランベリージュースも効果的で、ジュースに含まれるタンニンが尿道の内壁に細菌が付着するのを防ぐとされています。

膀胱を空にする

排尿の度に時間をかけて膀胱を空にするように。
時には2回排尿(排尿後5分待ってもう一度排尿)をしてみましょう。便器に前かがみに座ると空にしやすいでしょう。

尿意を我慢しない

妊娠中は大きくなった子宮に膀胱が圧迫されて変形し、尿を溜められる容量が少なくなるため頻尿にもなりやすいため、トイレに行くのが面倒で我慢してしまうことも膀胱炎を招く大きな要因です。

陰部や肛門を清潔に

ぴったりしたパンツは避けて風通しを良く。コットンの下着などで汗やムレを防ぎましょう。
排泄後は前から後ろに向かって拭き、細菌が膣や尿路に入らないように。
入浴はシャワーにしましょう。

刺激を避ける

香料入りのトイレットペーパーや刺激の強い石鹸、洗剤などの使用は避けましょう。

抵抗力を高める

抵抗力を高めるために、疲労やストレスをためないようにし、栄養価の高い食事、適度な休息と運動を心がけましょう。


このような予防法を医師の指示と合わせて実践すると、感染症が起きても回復を早められます。


 

さいごに

膀胱炎は女性になりやすいのですが、排尿の感覚や状態は自分にしか分からないものです。
膀胱炎は細菌感染した後はきちんと治療しないと、細菌により再発や進行を繰り返し、母体はもちろん赤ちゃんにも影響があるため、少しでも排尿について違和感や症状が見られたら、軽視せずに受診して、進行しないように対策しましょう。


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