新たな国民病「子どもロコモ」

「ロコモ症候群(ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)」とは「運動器症候群」のことです。

 

運動器とは、骨、関節、筋肉、神経など体を支えたり動かしたりする器官の総称ですが、ロコモ症候群は「運動器の障害」により歩行や日常生活に何らかの障害をきたし、「要介護になるリスクが高い状態」になることです。

 

まだ子どもにはピンと来ない、と思われがちですが、現状、本来は加齢によって出てくる症状が、すでに幼小児の子どもに広がっています。

 

そのため「ロコモ」はこれまでは高齢者に使われていた言葉でしたが、「子どもロコモ症候群」といわれるようになりました。

 

知らず知らずに進行する子どもロコモをストップさせるために、学校健診で「運動器検診の必須化」などにも取り組んでいます。

 

子どものロコモ症候群の原因と症状、チェック方法を見ていきましょう。

子どもロコモの原因は生活習慣の2極化

子どもがロコモ症候群になるには以下の要因があります。

 

▸赤ちゃんの頃からあまりハイハイさせない

▸ゲームの普及により外遊びが減った

▸塾や習い事の増加

▸公園や遊び場など外遊びの場所が減った

▸同じ動き(単一スポーツや運動)のし過ぎ

▸食べ過ぎによる肥満

▸低栄養、やせすぎ(ダイエットの低年齢化)

▸親のライフサイクルの影響

▸就寝時間が遅い、睡眠不足

 

運動器障害には、明らかに運動不足による障害と、日頃からハードなスポーツや単一運動のし過ぎによる「野球肘」や「テニス肘」、サッカーなど下肢の使い過ぎによる「オスグット病」などの障害があります。

 

栄養面も、栄養過多と低栄養など、2極化があげられます。

 

環境や生活スタイルの変化なども要因となり、子どもの身体は、少し前の時代には考えられなかったことが起こっているといわれます。

子どもロコモの症状は?

子どもにも、以下のような運動機能障害が見られています。

 

■片脚でしっかり立てない

■手が真っすぐ挙がらない

■しゃがみ込むとふらつく

■物を投げる動作ができない

■倒立ができない

■倒立する子を支えられない

■雑巾が硬く絞れない

■転んだ時に手で支えられず顔に怪我をする

■両手首を同時に骨折してしまう

 

平成26年に行われた中学2年生の「運動器検診」によると、運動器障害は全体の51%に相当していることが明らかになりました、

 

生活習慣が改善されないまま大人になると、メタボなどの内臓疾患や骨粗鬆症など、早期からロコモ予備軍となってしまい、ケガや骨折もしやすく、歩行や日常生活に大きな影響を及ぼすことになります。

子どもロコモのチェック方法

ロコモチェックとは、体のバランスと硬さをチェックするものです。

早速、以下の5つをチェックしてみましょう。

  • ①片足立ちが5秒以上できない
  • ②踵(かかと)をつけてちゃんとしゃがめない
  • ③肩が180度上がらない(腕がまっすぐ上がらない)
  • ④前屈で指先が床につかない
  • ⑤グーパー運動で手首に問題あり

本来子どもの身体は柔軟性が高いはずです。

以上1つでも該当すれば、「子どもロコモ」とみなされます。

高校生までに必要な運動能力の目安

運動能力には、①動作の習得力、②持久力、③筋力の3つがあり、それぞれ発達しやすい年齢があります。

 

①小学生まで=色々な動作を覚えやすい時期

 様々な動きに挑戦して身のこなしを良くする。

 

②中学生の頃=持久力が付きやすい時期

 少し長距離を走るなど持久力のトレーニングをする。

 

③高校生の頃=筋力が付きやすい時期

 少しずつ筋力トレーニングを始める。

 

これらの発達過程には、小学校低学年の頃に身に付けるべき基本動作があります。

低学年の頃に身に付けるべき基本動作をチェックしよう

小学校低学年の頃に、以下のような基本動作を身に付けることが大切です。

早速、日常生活で子どもの動きを試してみましょう。

 

参照:体育科学センター(低学年の体育に必要な要素/身につけるべき基本動作より)

 

■平衡系動作

たつ 、かがむ、しゃがむ、すわる、おきる、転がる、まわる 、くむ、わたる、ぶらさがる、さかだちする、のる、うく、など

 

■移動系の運動

あるく、はしる、とまる、はねる、スキップ、すべる、とぶ、とびおりる、かわす、のぼる、 はう、くぐる、およぐ、など

 

■操作系運動

もつ、あげる、ささえる、はこぶ、おす、こぐ、おさえる、つかむ、あてる、とる、わたす、つむ、ほる、ふる、なげる、うつ、ける、ひく、

​たおす、など

 

これらの基本的な、様々な身体の動きができない子どもが増えています。

 

動作がぎこちなかったり、怪我や骨折をしやすくなったりするため、動きをチェックしてあげましょう。

子どもをロコモ症候群にさせないために

基本的な動作の際に痛みがある場合や、日常生活に支障が出るほど動きが悪いという場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

 

日常生活では以下に注意してあげましょう。

 

●苦手な動作は、無理のない程度に繰り返し動かす

●日頃から手足をはじめ体を良く伸ばすように

●長時間ゲームをさせない習慣を

●基本動作を習得する遊び(石けりや鬼ごっこ、ボール遊びなど)を一緒にやる

●5代栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取させる

●夜更かしをさせず、十分な睡眠と規則正しい生活

さいごに ~親自身もロコモチェックを~

筋肉や骨の量は、20代~30代でピークを迎え、40代からの更年期には衰えを迎えます。

 

子どもがロコモ症候群の予備軍になっているという事実に加え、親世代はさらに危険度が高い予備軍であるため、これからの時代はますます家族そろってロコモ予防に取り組むことが重要です。

 

子どものロコモチェックと共に、自分自身もチェックして予防していきましょう。

 

大人のロコモチェックの方法と予防法の詳しい内容は、こちらの記事を参考にして下さい。