クラミジア(性器クラミジア感染症)は日本で最も多い性感染症〜感染者の5割以上に自覚症状無し!〜

性に関する悩みは人に相談しにくいことが多く、その中でも特に口に出すのをためらうのが性病(性感染症/STD)の話題かと思います。

 

性病と一口に言ってもその病気の種類は様々ですが、日本で最も感染者数が多い性病がクラミジア(性器クラミジア感染症)です。

クラミジアは他の性病に比べて自覚症状が少なく、なんと男性の場合は5割、女性の場合だと8割もの感染者に自覚症状が無いともいわれます。

そのため感染していることに気が付かないまま性行為に及び、多くの人に感染が広がるケースが非常に多いです。

 

クラミジアの怖いところは、症状を放置していると不妊症になる可能性がある、ということ。

不妊症=女性というイメージが強い方も多いかと思いますが、それは大きな間違いです。

実はクラミジアは女性だけではなく、男性不妊の原因にもなる病気なんです!

 

その他にもエイズや淋病などの他の性感染症の感染率が3~5倍にもなるため、早期発見・早期治療が重要。

 

この記事ではクラミジアとはどんな病気なのか、原因や症状、治療方法などを解説していきます。

自覚症状が無くても、性行為の経験があればクラミジアに感染している可能性は少なからずありますので、他人事とは思わずに一緒にクラミジアについて理解していきましょう。

 

クラミジアの感染者数について

クラミジアは、感染症法にて指定された医療機関が、感染者数を厚生労働省に報告をしなければならない5類感染症の1つとされており、その報告数によれば毎年約25,000もの人々がクラミジアに感染しています。

 

しかしこの数字は、あくまで指定された医療機関のみの報告数であることと、前述のとおり感染者の大多数に自覚症状が無く、医療機関を受診していない潜在的な患者が多いであろうことから、現在100万人以上のクラミジア患者がいるのでは、と言われています。

 

年代別の感染者数を見てみると20代の若年層に非常に多く、特に20代前半の女性に関しては男性の倍近い感染者がいることが分かります。

20代前半の女性に感染者が多い理由としては、1つめに性行為の若年化が進んでいること。

もう1つは、若い女性の身体がクラミジアに感染しやすい構造になっていることにあります。

 

女性の性器は膣内に入った精液が出にくい作りになっているため、男性よりも感染率が高いと考えられています。

さらに若い女性に関しては、クラミジアが感染しやすい子宮頸部の面積が広いため、これが20代前半の女性に感染者数が多い理由となっているでしょう。

 

クラミジアの原因と感染経路について

クラミジアの原因菌はクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatist)という直径0.3ミクロン程の細菌の一種です。

クラミジア・トラコマチスはセックス、オーラルセックス、アナルセックスなどのあらゆるセックスによって感染し、女性の膣や子宮、男性の尿道、咽頭(のど)などに原因菌が住み着きます。

 

感染媒体となるのは、感染者の精液や膣分泌液、粘膜の接触。

さらに、感染者の喉や直腸、尿にもクラミジア・トラコマチスが存在するため、フェラチオやクンニリングスなどの口を使った性行為、肛門や尿を使った性行為にも感染の危険性があります。

 

また、クラミジア・トラコマチスが咽頭に感染している人とキスをした場合は、一般的な口づけ程度であれば感染の確率は極めて低いですが、ディープキスの場合は感染率が上がります。

 

クラミジアは感染力が非常に強く、感染者と粘膜の直接接触がある性行為をした場合、50%以上の確率で感染すると言われています。

ただし、クラミジア・トラコマチスの生命力自体は非常に弱く、人間の細胞内でしか生きることは出来ません。

そのため、コンドームを使用して粘膜の接触を避ければ、着用ミスなどが無い限り感染を防ぐことができます。

日常生活でクラミジアに感染することはあるのか?

前述のとおり、クラミジア・トラコマチスの生命力は非常に弱く、人間の細胞内でしか生きることができないため、人から離れると細菌はすぐに死滅します。

 

つまり、お風呂場やトイレでの接触、コップの回し飲み、タオルの共用などの日常生活で感染するケースや、空気感染は無いと考えられています。

 

クラミジアの潜伏期間と感染時期について

クラミジアは男性の場合は5割、女性の場合だと8割もの感染者に自覚症状がありません。

そのため感染したことに何年も気が付かず、知らない間に多くの人に病気をうつしている可能性があります。

 

潜伏期間は男女ともに1~3週間と言われていますが、多くの感染者は自覚症状が出ないため、この数字はあまり意味をなさないものかもしれません。

 

クラミジアが最大でどれくらいの期間潜伏をするのかも分かっていないため、病気に気が付いたとしても感染時期や感染源の特定が非常に難しく、パートナー間のトラブルの原因となることも多いようです。

女性のクラミジアの症状

クラミジアの主な症状について

女性は男性よりも自覚症状が出ないケースが多く、症状を放置していると不妊症や命の危険に関わる子宮外妊娠の原因にもなるため、早期に治療をする必要があります。

 

症状が出る場合は以下のような身体の変化があらわれますが、生理トラブルと混同してまい、感染に気が付かない人が多いです。

 

・おりものの増加

・黄色い膿のようなおりものが出る

・軽い生理痛

・不性器出血

・性交痛

クラミジアが引き起こす女性の病気

性行為によりクラミジアに感染すると、女性の場合はまず子宮の入り口へ繋がる「子宮頸管」で炎症が起こります。

子宮頸管炎は自覚症状が殆どなく、オリモノが少し増える程度ですが、症状を放置しているとクラミジアが子宮内に侵入、そこから更に卵管、腹腔内へと感染が広がっていき、症状が重くなっていきます。

クラミジアの感染が子宮内へ広がると、子宮付属炎や子宮内膜炎、骨盤腹腔炎を引き起こし、これらの病気は全て不妊症の原因となります。

 

さらにクラミジアの感染が子宮よりさらに奥の上腹部までに達すると、肝臓まで炎症が広がってしまい、腹部の激しい痛みを伴う肝周囲炎を引き起こす可能性もあります。

 

妊婦のクラミジア感染について

妊婦がクラミジアに感染し、治療をしないまま出産してしまうと、産道をとおして新生児がクラミジアに感染する場合があります。

新生児がクラミジアに感染すると新生児結膜炎や肺炎を引き起こす可能性があり、最悪の場合は死亡するケースもあります。

 

妊婦がクラミジアに感染することは、母子ともに大きな負担と危険があるため、妊娠中期頃の妊婦健診の際にクラミジア検査が行われることが多いです。

しかし、妊娠初期に関してもクラミジア感染によって流産のリスクが高まるため、妊娠が分かったら早い段階で検査を行う方が良いでしょう。

 

男性のクラミジアの症状

男性のクラミジアによる主な症状について

男性が主にクラミジアに感染する部位は尿道です。

女性に比べると男性のクラミジア感染者は自覚症状を感じるケースが多いですが、同じ様に尿道炎を引き起こす淋菌感染症ほど痛みはありません。

 

男性がクラミジアに感染した場合に分かりやすい症状が、尿道から出る「うみ」です。

うみの種類は様々で、色に関しては白っぽいものや透明なもの、粘度に関してもサラサラしたものからネバネバしたものまであります。

 

量は比較的少なめですが、上記のような症状があらわれた際は、早急にクラミジアの検査を受けるべきでしょう。

 

他にも以下のような症状があらわれる場合があります。

 

・排尿時の痛み

・尿道のかゆみ、不快感

・軽い発熱

・排尿後の膀胱の違和感

・精液に血が混じる

・睾丸部の腫れと痛み

クラミジアが引き起こす男性の病気

男性がクラミジアに感染すると、まず尿道に炎症が起こり、症状を放置するとさらに副睾丸炎(精巣上体炎)や前立腺炎に発展していきます。

女性に比べると男性のクラミジアの症状は軽視されがちですが、副睾丸炎を起こすと精子の通り道が癒着してしまい、男性不妊の原因となるケースもあるため、やはり早期治療が重要となります。

 

咽頭感染したクラミジアの症状

フェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックスにより、咽頭にクラミジアが感染するケースが非常に増えています。

 

咽頭のクラミジアも性器クラミジアと同様に自覚症状が乏しく、病気に感染していることに気が付かないため、風俗店などで働く女性から男性客へ病気が蔓延するケースも多いようです。

 

クラミジアが咽頭に感染すると、のどの痛みや腫れ、発熱など、咽頭炎や慢性の扁桃腺炎を引き起こす可能性があります。

また、精液などが目の中に入ってしまうとトラコーマという目の病気(結膜炎)を発症します。

さらに、アナルセックスによって肛門や直腸の粘膜にクラミジアが感染することも。

 

この様にクラミジアはあらゆる性行為によって感染する可能性があるため、挿入行為をしてしないからクラミジアに感染していない、という仮説は成立しません。

 

クラミジアの検査方法

クラミジアは感染力が非常に強いため、パートナーがいる場合は相手もクラミジアに感染している可能性が非常に高いです。

一方が治療をしてクラミジアを完治させても、そのパートナーがクラミジアに感染したままであれば、性行為によって再度クラミジアに感染してしまいます。

パートナーがいる方は必ず一緒に検査を受けるようにしましょう。

 

クラミジアの検査では、男性の場合は採尿、女性の場合は膣分泌液の採取、咽頭感染の場合は唾液や咽頭の粘膜を採取します。

 

検査の種類はいくつかありますが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自覚症状の有無などの状況に合わせて検査方法を選択するのが良いでしょう。

クラミジアの迅速結果

迅速結果とは、名前のとおり15~30分程度で検査結果を知ることができる検査方法。

その日のうちに結果が分かるため、すぐに治療を行うことができるのがメリットです。

 

しかし、他の検査方法に比べると精度が少し落ちるため、クラミジアの自覚症状が出ていて感染の確率が高く、早急に治療を受けたい場合にオススメの検査方法です。

クラミジアのPCR法

クラミジアの検査方法で現在主流となっているのがPCR法。

PCR法とは採取した検体から、遺伝子を増幅させてクラミジアの原因菌を検出する方法です。

 

PCR法は非常に精度が高い検査法ですが、死滅した病原体にも反応してしまうことがあるため、治療後の完治確認にPCR法を用いる場合は、治療終了後から2〜3週間の期間を置いて検査をする必要があります。

 

検査結果が分かるまでには、3~5日程かかります。

クラミジアの血液検査

クラミジアの検査では、上記でご説明した検体採取以外にも血液を採取する方法があります。

 

クラミジアが体内に侵入すると、血液内に細菌に対抗するための物質(抗体)が作られるのですが、血液検査では抗体の測定を行うことによって、クラミジアの感染有無を判断します。

 

しかし、この検査に関しては精度があまり良くないため、現在は行われないことが多いようです。

 

ただし、血液検査は他の検査とは違い、全身のクラミジアの有無を調べることができます。

つまり性器のみだけでなく、咽頭や他の部位の感染有無全てを血液検査1つで調べることができる、ということ。

 

クラミジアに感染してから何年も経過している場合は、クラミジアの病原体が卵巣や腹膜までに侵入し、反対に子宮の入り口である子宮頸管からは採取されないケースがあります。

 

そのため、クラミジアの感染が疑われる症状が出ているのにPCR法などで検査結果が陽性にならない場合は、血液検査が有効な検査方法となることもあります。

クラミジアの治療方法

クラミジアでよく処方される抗生物質の種類

クラミジアは1度感染すると自然治癒することは無いため、必ず治療を受ける必要があります。

 

クラミジアの治療方法は、男女ともに抗生物質の服用。

抗生物質は薬局では販売されていないため、必ず医師の処方箋が必要です。

 

処方される抗生物質は、①テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)、②マクラロイド系抗生物質(クラリス、クラリシッド、ジスマロックなど)、③ニューキノロン系抗菌剤のいずれか。

 

②のマクラロイド系抗生物質にあたるジスロマック(アジスロマイシン)は、1回服用すればその効果が約10日間続くことから、患者の負担も少なく、薬の飲み忘れによる不完全な治療を防ぐことができると期待されています。

クラミジアの治療上の注意点

薬の服用は1~2週間程度ですが、症状によっては長期の服用が必要となる場合もあります。

薬を服用すると、すぐに症状が無くなることがありますが、症状が無くなったとしても病原体は身体の中で生きている場合があるため、自己判断による服用中止は厳禁です。

 

病気が完治していない状態で性行為に及ぶと、さらなる病気蔓延の原因となります。

医師から指示された服用期間をしっかりと守り、治療終了後は再度検査を受けて完治確認をすることがベストです。

 

クラミジアの予防方法

クラミジアは完治すれば再発することはありませんが、治療後にクラミジア感染者と性行為に及べば再感染してしまう可能性があります。

 

クラミジアは粘膜の直接接触さえなければ感染はしないため、性行為の最初から最後までコンドームをキチンと使用すれば防ぐことのできる病気です。(オーラルセックスやアナルセックスも然り)

また、セックスパートナーが多ければ多いほどクラミジアの感染リスクが高まるうえに、万が一感染した場合は感染相手を特定することが難しいため、再感染の危険性もあります。

 

性行為の際には必ずコンドームを使用することと、不特定多数との性行為を避けること。

この2つがクラミジアの予防方法としては有効でしょう。

 

さいごに~クラミジアの性病検査キットのススメ~

クラミジアは自覚症状が非常に乏しいことから、早期発見・早期治療のためには定期的に検査を受けることが重要です。

 

以下のようなクラミジアの危険因子を持っている方は、少なくとも年に1回は検査を受けるべきでしょう。

 

・25際以下の若年女性

・3ヶ月以内に新しいセックスパートナーができた

・1年以内に2人以上と性行為に及んだ

・性行為の際にコンドームを使用していない

 

もし病院に検査に行くのが恥ずかしい、という方は自宅で匿名での性病検査をすることができる「性病検査キット」を使用するのも1つの方法です。

性病検査キットはインターネットで注文が可能。

自宅で血液や粘膜のなどの検体を自分で採取し、返送すると国の許可を受けた登録衛生検査所で検査され、数日後にメールや郵送で検査結果が通知されます。

 

プライバシーの観点から見るとメリットが非常に大きい検査方法であり、予防のための定期的な検査などにオススメです。

 

ただし、クラミジアは早期治療が重要となるため、明らかに自覚症状がある人は迷わず早急に病院へ行きましょう。