子宮内膜症の原因は遺伝?!原因はいまだ研究中

健康な女性であれば、月に一度生理がやってきます。
生理のときには、受精卵を育てるためのベッドの役割をする子宮内膜が子宮の中につくられます。卵子は子宮内膜にくっついて精子を待ちますが、寿命の1〜2日の間に受精できなければ死んでしまいます。
卵子が死んでしまうと、役割を終えた子宮内膜は子宮からベリベリ剥がれ落ち、生理となって体外に排出されます。

子宮内膜症は、本来であれば子宮の中にできる子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまう病気です。

子宮内膜症がどうして起きるかはいまだはっきりわかっていません。
生理のときに剥がれ落ちた子宮内膜が、卵管を逆流して子宮以外の場所にくっついて育ってしまうという説と、内臓の表面を覆う腹膜が何かの原因で子宮内膜に似た組織に変身してしまう説があります。

研究の結果から、子宮内膜症にかかる遺伝子が発見され、病気の発症に関わることがわかっています。

 

子宮内膜症ができる場所

子宮内膜症は子宮の周りだけではなく、肺などいろんな場所に発生しますが、全部ひっくるめて、子宮内膜症と呼びます。

医療技術が進歩したり診断の精度があがったことで、いろんな種類の子宮内膜症が発見されてきましたが、世の中にはまだ発見されていない子宮内膜症もあるとされています。

子宮内膜症は、複数の病態・病巣が同時に併発していることが多くあります。また、病巣(発生場所)によっては発見が難しい場合もあり、各病巣によって発見率に違いがあります。

主な子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症(腹膜病変)、卵巣チョコレートのう胞、深部子宮内膜症(深在性病変)の3つです。
それぞれ、症状や治療方法がちがうため、自分の症状がどの種類のなのか、知ることが大切です。

腹膜子宮内膜症(腹膜病変)

腹膜や臓器の表面にできる子宮内膜症。超音波検査やMRIなどの画像診断で見つけることは難しく、腹腔鏡手術でのみ診断可能です。

卵巣チョコレートのう胞

卵巣の中にできる子宮内膜症で、卵巣の中にできた病巣に血液が溜まっていきます。チョコレートのう胞は、症状が進行すると卵巣自体が10cmも大きくなる場合もあります。通常は4cm以上の膨らみが確認されると破裂の危険があるため、手術が必要になります。
卵巣が膨らんで万が一破裂してしまった場合、激しい痛みが発生します。

卵巣チョコレートのう胞は、現在、最も多く診断され治療されている病巣です。しかし、他の病巣と併発することが多く、チョコレートのう胞だけを治療しても、全ての病態・病巣の処置をしなければ痛みが残る可能性があります。

卵巣は、卵子を蓄えたり女性ホルモンを分泌したりと、女性にとっては重要な臓器のひとつです。比較的腫瘍のできやすい臓器という一面があり、腹部奥にあることから病状が現れにくく自覚症状も少ないため、沈黙の臓器と呼ばれています。

深部子宮内膜症(深在性病変)

子宮と直腸の間のダグラス窩と呼ばれるくぼみの奥に発生する子宮内膜症です。ダグラス窩は立ったり座ったりするときに、お腹の中で一番底になる狭いくぼみです。月経痛、腰痛及び性交痛や排便痛など、長引く疼痛がみられます。
最も発見しづらく、最も手術しづらい病態といわれています。

 

意外なところにも発生する子宮内膜症

子宮内膜症は主に子宮や卵巣周辺に発生する病気ですが、ごくまれに子宮周辺以外に発生する場合があります。
発生率は子宮内膜症全体の3%程度と言われていて、決して多くはありません。
しかし、体が痛い・調子が悪い・咳が出るなど原因不明の症状が長引く場合、もしかしたら子宮内膜症が原因かもしれません。

気になる症状が月経の周期と重なる場合は、一度医師の診断を受けてみましょう。

肺に発生:肺子宮内膜症

自覚症状として、血痰(けったん)や喀血(かっけつ)があります。症状は生理の周期と連動していて、同じタイミングで発生します。
治療方法は子宮内にできる内膜症と同じです。ホルモン剤などの薬物療法か手術療法で病巣を取り除くことで症状を軽くします。

横隔膜に発生する子宮内膜症が原因:月経随伴性気胸

横隔膜にできた「子宮内膜症」が、生理の時に横隔膜にアナをあけるため、気胸が発生します。生理前後や排卵前後に気胸が発症したり、胸部に痛みや違和感を感じます。治療方法は胸腔鏡手術による病変の削除とホルモン剤などの薬物療法です。

胃、腎臓、直腸、へそなど、さまざまな場所で発生:稀少部位子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮周辺以外でも全身の臓器に発生する可能性があります。
いずれも生理と同じタイミングで出血することが多く、胃の場合は吐血、腎臓の場合は血尿、直腸なら下血が起こります。

 

子宮内膜症は痛みとの仁義なき戦い

子宮内膜症の主な症状としては、月経中の痛み(月経困難症)、月経時以外の腰下腹痛(骨盤痛)、不妊などがあります。
特に多くの患者さんが自覚する症状は、月経時の強い痛みです。
痛みの程度は人それぞれですが、日本子宮内膜症協会のデータでは、救急車で運ばれた経験がある方が1割、坐薬などの鎮痛剤が効かないという方は4割、基本的生活に支障が及ぶとした方は7割とされています。
子宮内膜症が進行すると、生理の時以外でも痛みを感じるようになり、下腹部痛、腰痛、排便痛、性交痛にもつながります。

子宮内膜症と月経困難症ってどう違うの?

子宮内膜症にかかっていなくても、生理の時に激しい痛みを感じる月経困難症(げっけいこんなんしょう)があります。
原因となる病気が無いのに発生する月経困難症は、子宮の発育不全やホルモンバランスの乱れにより痛みのもととなる物質が大量に発生することが原因です。月経困難症では、鎮痛剤などを使用して経過を観察します。

 

正直、内診が嫌・・内診しない医者は信じちゃダメ!

子宮内膜症の診断は婦人科で行われます。さまざまな診断方法をご紹介します!

その1:問診

病院では、初経年齢や最終月経日、持病や服薬中の薬など、症状について詳しい問診があります。受診前の2〜3ヶ月分の基礎体温表も診断の助けになるので、普段から基礎体温を測っておくといいですね。

その2:内診・直腸診

内診は必須検査です。
内診は、誰だってちょっと抵抗があるもの。しかし、内診をしないお医者さんは信用してはダメ!というくらい、重要な診断方法です。
内診では、医者が片手を膣内に挿入し、もう片方の手で腹部を上から押し、子宮の固さや卵巣の大きさを調べます。
内診の時に緊張してしまうと、体が硬くなって膣が下を向いてしまい、そのままの状態で診断を受けると、必要以上に痛みが感じられる場合があります。正しい診断をうけるためにも心身ともにリラックスした状態で臨みましょう。
通常は内診のみですが、内診で深部子宮内膜症の可能性が感じられた場合は、直腸診(直腸からの触診)を行う場合もあります。

その3:経膣超音波検査

超音波を使って、子宮や卵巣の状態を調べます。膣に棒状の器具を差し込む方法(膣式エコー)とお腹の上から超音波をあてる方法(腹式エコー)がありますが、膣式エコーが一般的です。経膣超音波検査では、卵巣チョコレートのう胞と大きくなった子宮腺筋症のみ判定できます。

その4:血液検査

子宮内膜症の補助診断として、血中の腫瘍マーカー(CA125)の値を調べます。また、ホルモン治療の効果を確認するためにも測定される場合があります。何らかの治療の前後で治療効果を判定するために用いられます。

子宮内膜症の検査は、通常は、問診・内診・超音波検査・血液検査の4つですが、検査によって判定可能な子宮内膜症の病巣が違うため、状況に応じて追加で下記の検査も行います。

●MRI検査・CT検査
磁気やX線を使用して、体の断面を映し出し、子宮や卵巣の位置関係や状態を確認します。5mm以下の病巣は撮影できないので、腹膜病変や深部子宮内膜症は判定できません。

●腹腔鏡検査
全身麻酔をして腹に穴をあけ、腹腔鏡を挿入し直接腹部を観察します。
検査中に病巣が見つかった場合は、その場で取り除いたり切除を行い処置します。通常は、検査のためだけに行われることはなく、検査時に病巣が見つかった場合はそのまま取り除くなど、同時に治療も行います。

子宮内膜症は進行していく病気のため、早期発見と早期治療が大切です。気になる症状がある場合は、早めに診断を受けましょう。

 

子宮内膜症の治療方法

子宮内膜症の治療方法は、症状だけでなく、妊娠の希望などご自身のライフスタイルや人生設計によっても異なります。

薬物療法

薬物療法には、主に痛みをおさえる対症療法と、子宮内膜症の進行を防いで病巣を小さくさせるホルモン療法があります。
対症療法は鎮痛剤等を使って、痛みを抑える治療なので、妊娠を希望する方に有効です。
しかし、子宮内膜症の進行を防ぐことはできません。
子宮内膜症の症状が進行した場合はホルモン療法に切り替えることが望ましくなります。

手術療法

薬物療法で症状の改善が難しい場合や、手術が必要な病態・病巣であった場合は、手術を行います。
妊娠希望の場合は保存手術、完治を目指すことに重点を置く場合は根治手術になります。また、手術方法も腹腔鏡下手術と開腹手術に分かれます。
保存手術では、病巣を切除したり痛みの原因となる臓器と病巣の癒着を剥がします。病巣のみの最小限の切除になるため、妊娠の可能性が高くなります。ただし、再発の可能性は高くなります。また、繰り返し保存手術を受けることはできないため、手術のタイミングも重要になります。
根治手術では、卵巣や子宮を病巣ごと切り取ります。妊娠を希望しない場合や、保存手術後に再発し症状が悪化した場合に行われます。卵巣や子宮の切除により再発の可能性は低くなり、子宮がんや卵巣がんに罹患する心配もなくなります。

手術しても再発率は30%?!

保存手術を受けると子宮内膜症の症状は大幅に改善されます。しかし、手術後は、生理が再開することで再発する可能性があり、再発率は約30%とされています。

再発予防に低用量ピルが効果的!

手術後の再発予防として低用量ピル(ES配合製剤)の使用も有効です。
さらに、低用量ピルを使うことで、子宮体がん、卵巣がん、その他の良性卵巣腫瘍が起こるリスクや月経困難症の症状が軽減されるとされています。
再発の防止やその他の症状の緩和に効果的な反面、副作用があることもしっかり理解しましょう。​主な副作用として、血栓症や肝機能障害等があります。

 

漢方で体質改善を目指す

子宮内膜症の治療法で漢方療法があります。ただし、漢方は子宮内膜症自体の治療を行うことはできません。病気の症状や薬物療法で起きた副作用を軽くする効果があります。

漢方療法では下のような効果がみられます。

・「子宮内膜症」の症状の改善
・薬物療法に伴う副作用の軽減
・薬物療法の効果を高めて再発率の低下を促す
・薬物療法後の妊娠率を高める

子宮内膜症で悩まされている方の多くは、ストレスによる心身のバランスの乱れや失調を感じています。
漢方療法で、心のリラックス効果を高めながら体質改善を行うことも大事ですよ。

子宮内膜症でも妊娠できる?

子宮内膜症でも、妊娠・出産することは可能です。
しかし、子宮内膜症と不妊の関係は明確にはされていませんが、子宮内膜症の人の半分近くが不妊の状態であり、不妊の人の半分近くが子宮内膜症を患っていることがわかり、全く関係ないとは言い切れません。
また、それぞれの病気の治療法が、それぞれの症状に相反する効果や影響を与えるので子宮内膜症と不妊の治療を並行して行うことは難しいとされています。

子宮内膜症と不妊の両方の改善を行う場合、年齢や症状の重さにもよりますが、不妊治療を優先させながら鎮痛剤などで子宮内膜症の症状を抑えタイミング療法による妊娠を目指します。
子宮内膜症は、完治したりすぐに改善が見られる病気ではありません。
妊娠を希望している場合は、妊娠したい時期より前から子宮内膜症の検査や治療を行うことをお勧めします。

妊娠したら子宮内膜症は治るってホント?

妊娠・出産期間中の約18ヶ月は月経が来ない状態が自然と続き、子宮内膜症の症状が発生しなくなるとされています。
また、妊娠中は子宮内膜症の症状改善に効果があるとされるプロゲステロン(黄体ホルモン)が大量に分泌されるため、腹膜の状態が改善されます。そのため、子宮内膜症の症状も発生しにくい状態になります。
しかし、妊娠・出産後に生理が再開することで、子宮内膜症は再発する可能性があります。
症状がみられない場合でも、再発のリスクを軽減するために、3ヶ月〜6ヶ月に1回の定期検診を受けましょう。

 

おわりに

子宮内膜症は女性にとってはとても身近な病気です。
日々の体調だけでなく、妊娠にも関わってくるので、体の不調を感じた場合は早めに婦人科を受診しましょう。
いつも感じる痛みが子宮内膜症かどうかわからない場合、自己チェック方法について関連記事も参考にしてみてくださいね!
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