「マイコプラズマ感染症」は子供だけの病気じゃない!

多くのお母さんは、お子さまの学校からのお便りで耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「マイコプラズマ感染症」

私が初めてこの名前を耳にした時は、そのかっこいい響きに驚きを覚えました。

「マイコプラズマ感染症」患者の約80%は14歳以下の子どもです。
そのため、「マイコプラズマ感染症」は、子どもの病気という印象が強いと思います。実際、1歳の誕生日までに40%、5歳までには65%の子どもがマイコプラズマに感染しているというデータもあります。

ですが、この病気は子どもだけではなく、誰もがかかる危険性がある怖い病気なのです!

今回はそんなマイコプラズマ感染症の原因から、子どもはもちろん、大人、妊婦のマイコプラズマ感染症、そしてマイコプラズマに感染してしまったときの対処法まで解説します!

 

 

マイコプラズマって何者?細菌でもウィルスでもない?!

マイコプラズマ感染症は、「細菌よりも小さく、ウィルスよりも大きい」さらに、「細菌にもウイルスにもない独自の性質」を持っている、マイコプラズマ菌という微生物による細菌感染症です。この病原体は、人以外には無害という特徴もあります。

このマイコプラズマ菌が炎症を起こすのですが、その部位が気管支か肺かによって「マイコプラズマ気管支炎」「マイコプラズマ肺炎」に分けられます。

また、感染の仕方には、接触感染と、唾液や咳で人にうつる飛沫感染の2種類あります。しかし、接触感染といっても友人同士で触れ合うほどの濃厚接触がないと感染しません。実は感染力はそこまで強くないのです。

感染力が弱いのに流行る理由!?

ずばり、そのわけは潜伏期間にあります

マイコプラズマは感染してから発症するまで2~3週間、時には4週間程度もかかることがあります。そう、とっても長いのです。

その間は、自分がマイコプラズマに感染しているとはつゆ知らず、学校や幼稚園といった濃厚接触の機会が多い場所で感染者を増やしてしまうのです。

アメリカ合衆国では「歩く肺炎(walking pneumonia)」なんて呼び方もされているそうです。

感染

接触感染もしくは飛沫感染

潜伏期 2〜3週間(時には1ヶ月)
発症 1〜2週間
回復期 咳は1ヶ月続くことも

上表の②と③の期間が、他の人に感染させてしまう期間です。
④の期間では発熱はなくなっていますが、しつこく咳が続いています。

 

風邪と間違え注意!マイコプラズマの診断

マイコプラズマ感染症は、初期症状が風邪と似ているため、確定診断が難しいです。

マイコプラズマに感染していると診断を確定させるためには

1、菌の培養による分離
2、血液中の抗体価の上昇
3、遺伝子検査

が行なわれます。

しかし、培養と血液中の抗体価の上昇は時間がかかり、遺伝子検査は特定の施設でしか実施できません。そのため、これらの検査を診断で行うことは難しいのです

そこで、マイコプラズマの検査をもっと簡単に行うための迅速検査が2013年8月から可能となりました。

迅速検査とは特別な測定機器がなくとも、短時間に特定のウィルスなどを検出できる検査のことです。妊娠検査などによくある、「~キット」のようなものです。

迅速検査は、簡単に、短時間で結果がわかるため外来診療においてはかなりの有用性をもちます。しかし、その感度の信頼性は遺伝子検査と比べると低いものです。
そのため、頼りすぎには注意が必要です。

 

合併症に要注意!マイコプラズマ感染症の主な症状

マイコプラズマ感染症の代表的な症状は以下の3つです。

その1 激しい乾いた咳(咳嗽)  
夜間を中心に、最初は乾いた咳ですが、その後痰がからむ強い咳になり、血痰がでることも。熱がひいても、咳は3~4週間にわたって続きます。

その2 発熱            
39度以上の高熱がでることも多い。

◆その3 全身の倦怠感

他にも、頭痛鼻炎呼吸がしにくいなどの症状がでることがあります。幼児の場合、鼻炎の症状はより頻繁に見られるので、その際は中耳炎も注意しましょう

乳幼児の場合は風邪程度の症状ですむことが多いですが、学童期になると肺炎を起こします。免疫力が強いほど肺炎になりやすいという特徴を持っています

 

治療法は、「自然治癒」と「抗生物質」!

マイコプラズマ感染症は基本的には自然治癒する病気です。

ですが、抗生物質を使用することで早く治癒することも望めます

抗生物質は、その化学構造と作用によって種類が分かれています。風邪がこじれて細菌による二次感染がおきた場合、普通はペニシリン系セフェム系といった抗生物質を使用しますが、マイコプラズマ感染症にはこれらの抗生物質が効きません。

それではどの抗生物質を使用すればいいのでしょうか?

マイコプラズマには抗生物質が効かない?!

結論からいうと、マイコプラズマには「マクロライド系」の抗生物質が推奨されています。ところが、2000年頃からマクロライドの耐性菌、つまりは「マクロライドが効きにくいマイコプラズマ」が増えてきたのです。原因は、抗生物質の乱用、そして抗生物質が適切に使用されてこなかった結果と言われています。

マクロライド耐性菌: 有熱期間9.3日 / 投与後有熱期間4.3日
マクロライド感性菌: 有熱期間5.5日 / 投与後有熱期間1.4日

国立感染症研究所論文より
しかし、上のデータのように、効きが鈍くなっただけであってマイコプラズマにマクロライド系の抗生物質は有効です。

マイコプラズマ系耐性菌に対してはテトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生物質が使用されるのですが、子供には副作用が懸念されるケースもあります

マイコプラズマ感染症の治療は、子どもの年齢や症状にあわせて慎重に治癒薬を選択することが大事なのです。

マイコプラズマ治療に実際に使用される抗生剤

マクロライド系…ジスロマッククラリスクラリシッド
◆ニューキノロン系…オゼックス(トスフロキサシン)
◆テトラサイクリン系…ミノマイシン

!注意!
ミノマイシンは8歳未満の子どもが服用すると、永久歯に黄色い線がはいってしまうことがあるため、8歳未満の子どもには処方されません。
 

詳しい使用方法や副作用はミナカラおくすりをご参照ください!

 

見ていても辛い咳…簡単にとめる3つの方法!

マイコプラズマは夜間の咳が代表的な症状です。夜、つらそうに咳を繰り返しているのは見ている方もつらいですよね。

そんな時に簡単に咳をとめる方法をいくつかご紹介いたします!
 

◆その1 マスクをする

マスクをすることで加湿器と同じような効果があり、さらにはホコリなどを遮断して喉への刺激も減らせます。

その2 温かいものを飲む
冷たいものは、甲状腺の働きを弱めるために逆効果です。
温かいものをゆっくり飲むことで蒸気による加湿効果もあるため、咳がとまりやすくなります。

◆その3 ハチミツを摂取する
ハチミツに含まれるフラボノイドという成分が喉の炎症を和らげ、殺菌もしてくれます。アメリカでは、咳止めシロップと同等以上の効果が見込める研究結果もあります。
夜寝る前にスプーン1~2杯が適量です。(大人の場合は2杯)

!注意!
ハチミツには1歳以下の乳児に悪影響を及ぼすボツリヌス菌が含まれている可能性があります。1歳以下の乳児には与えないようにしてください。
 

温かい飲み物にハチミツを入れれば咳なんてすぐおさまる!
お湯にレモンスライス(レモン汁でも可)とハチミツをお好みでいれるだけ、しつこい咳を撃退、簡単ホットレモネードの完成です!

 

子供だけじゃない!大人・妊婦のマイコプラズマに注意。

大人のマイコプラズマ

マイコプラズマは子どもに多い病気ではありますが、子どもが学校で感染し、そこから家族に2次感染を起こすケースも多々あります。

基本的には子どものマイコプラズマ感染症と同等の症状ですが、大人の場合、湿った咳になりやすいのが特徴の一つですまた、一日中高熱が続くことはあまりなく、決まった時間になると38度から39度の発熱がおきます。そして、大人の場合は「マイコプラズマ肺炎」になりやすい特徴があります。

完全に治癒するまで2~3週間の投薬が求められることもあり、長めに内服することが望まれます。

 

妊婦のマイコプラズマ

マイコプラズマが胎児に悪影響を与えることはありません。

しかし、抗生物質の胎児への影響が心配されるため、基本的には咳止めなどを投与しながら自然治癒を待ちます。
ただ、自然治癒は1ヶ月かそれ以上に時間がかかってしまうという大きなデメリットがあります。症状が長引く場合、妊婦に使用しても安全な弱い抗生物質を使って治癒を助けることもあります。

症状やお医者さんの判断によって対処法は異なるので、自己判断せずにお医者さんと相談して治療しましょう!

!注意!
臨月の場合は薬をむやみに使用することは避けましょう。
 

マイコプラズマに感染しないためには

マイコプラズマに対する予防接種は今のところありません。

◆手洗い、うがいの徹底
◆患者との濃厚な接触を避ける

といった予防法となります。

また、喫煙者は非喫煙者よりもマイコプラズマに感染しやすいので、過度の喫煙者は感染に注意しましょう!

家庭内にマイコプラズマ感染者がいる場合

寝る場所を別々にするなどして濃厚接触を避けることが必要です。
感染した場合は、しっかり休養して体力を回復させ、水分補給(温かい飲み物)をこまめに行いましょう。
 

いつから学校登校していいの?

学校保健安全法では、マイコプラズマ感染症に関する扱いが明確に規定されていません。病状によって学校医や他の医師が感染のおそれがないと判断するまでの期間を出席停止とする措置が必要とされています。

高熱が続いている間は、もちろん休学しますが、発熱がおさまって1~2日すれば登校可能になることが多いです。詳しい登校時期については、学校や医師の指示に従ってください。

!注意!
熱がひいても咳はしつこく続くので、激しい運動は避けてください。
 

 image by photo AC
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