新生児に多い病気「臍ヘルニア(でべそ)」

生後間もないころ、へその緒がとれた後におへそがとびだしてくる状態を臍ヘルニアといいます。

生まれてすぐのころは、まだおへその真下の筋肉が完全に閉じきっていない状態。そのため、泣いたりいきんだりしてお腹に圧が加わると、筋肉の隙間から腸が飛び出しておへそがふくらんでしまうのです。

臍ヘルニアは触れると柔らかく、圧迫すると簡単にお腹に戻っていきます。ですが、赤ちゃんが泣いてお腹に力が入るとまたすぐにおへそが飛び出してきてしまいます。それは、お腹の中の腸が出たり入ったりしている結果です。

臍ヘルニアは5〜10人に1人の割合でみられ、生後3か月ころまで大きくなり、ひどい場合は直径が3㎝以上になる場合もあります。ですが、ほとんどの臍ヘルニアの症状はお腹の筋肉が発育してくる1歳ころまでには自然と治ります。

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臍ヘルニアの仕組み

臍ヘルニアには、実は特定の原因はありません。

へその緒の切り方が悪かったわけでも、その後のケアが悪かったわけでもありません。

臍ヘルニアの症状が出る仕組み、おへその構造をみていきましょう。

おへそができるまで

生まれてくる前の赤ちゃんは、臍帯(へその緒)で母親とつながっています。

臍帯には血管が流れていて、生まれた時に切ってしまいます。そして、臍帯から出血しないように止めておくとだんだんと臍帯が小さくなっていき、自然に取れていきます。

同時に、身体の中では臍帯が貫いていた穴を閉じる働きが起こり、腹膜や瘢痕組織(はんこんそしき)が形成され穴が塞がれていきます。

しかし、なんらかの理由でこの穴がふさがらない場合、臍ヘルニアを発症します。

皮膚は塞がっているのですがその中に筋膜ができておらず、皮膚のすぐ下に腸がある状態になっているのです。

正常なおへそと臍ヘルニアの違い

◼︎正常な状態

へその緒がとれ、1歳ごろまでにハイハイをするようになると筋肉が鍛えられ筋膜がおへその穴をふさいでいきます。

◼︎臍ヘルニアの場合

おへその中の筋肉が発達せず穴が空いた状態のままになり、お腹の中の腸や脂肪がでてきてしまう。

特殊な臍ヘルニア

新生児期での臍ヘルニアでの発症をお伝えしてきましたが、まれに成人を迎えてから臍ヘルニアの症状がでる人がいます。

もともと小さな穴があったのかもしれませんが、何かきっかけがあり発症する場合です。

◼︎妊娠・出産後の発症

妊娠中にお腹が引き伸ばされたのをきっかけに、今まで小さかった穴が広がり産後に症状がでてしまう場合があります。

この場合は、出産後にお腹が小さくなれば手術で治療することが可能です。

◼︎腹水や肥満など

腹水(お腹に水が溜まる病気)や肥満によりお腹が膨らみ、臍ヘルニアの症状がでる場合があります。

まずはもともとの病気の治療をすることが大切であると考えられますが、自己判断せずに医師による診療を受けましょう。

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年齢によりことなる臍ヘルニアの治療法

◼︎赤ちゃんの場合(2歳以下)

病院にもよりますが、2歳頃までは様子をみることが多いです。

近年では圧迫療法といい、おへそに綿や綿球を詰めて圧迫する方法が行われる場合があります。早く完治することや綺麗な形で治ることが期待できます。ですが赤ちゃんの肌はとても敏感なので、圧迫時のテープで肌がかぶれてしまう場合などもあります。

◼︎大人の場合(2歳以上)

2歳を超えた場合は自然に治ることは考えにくく、治療法は手術法のみとなります。

細かい手術法は医師の判断によりますが、大きくわけて2種類の手術法があります。

傷がおへその中だけで収まる「臍内法」と、傷がおへその外の皮膚にでる「臍外法」です。

判断の基準は診察を受けた医師によります。症状が治まらない場合は早めに診察を受けることをお勧めします。

手術

2種類ある臍ヘルニアの手術方法のうち、適用されることが多い臍内法の手術方法を解説していきます。

1.ふくらんだおへその下半周を切開します

2.臍ヘルニアの原因部分、筋肉がとじていない部位を縫い合わせ閉じていきます。

3.くぼんだおへそになるように、見えにくい下部を筋肉に縫合し固定していきます。

4.術後はくぼみを保つため、臍に麺綿を詰めるなどして固定しておきます

手術には1~2時間を要します。

小児の臍ヘルニアの手術には、全身麻酔が使われます。

成人は場合により、局所麻酔で行われることもあります。

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費用

2種類あるでべそのうち、臍ヘルニアは腸がはみ出してしまっている状態だとお伝えしてきました。

病気として診断されるため、臍ヘルニアは保険が効きます。

もうひとつの臍突出症の症状は、おへその皮膚や皮下の瘢痕組織(へその緒が切られた時に残った変性部分)が、残っているだけのため病気としては扱われません。

小児の場合の臍ヘルニアの診療は、自治体から補助がでるところが多いです。

乳幼児医療証があれば医療費が免除され、食事代程度の負担で済みます。

詳しくは各自治体に問い合わせてください。

さいごに

いかがでしょうか。

でべその中でも病気として扱われる臍ヘルニア。受診してみて臍ヘルニアだと診断されれば健康保険を使って治療することが可能です。

約90%の割合で2歳までには症状が収まるといわれていますが、心配な場合は早めに病院を受診することをお勧めします。

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