年々新しい病気が発見されている中、100年以上の歴史がある子どもの病気があります。

 

その名は、アレルギー性紫斑病。

アレルギー性紫斑病は、ヘノッホ医師とシェーンライン医師によって発見されました。発見した2人の医師の名前から「ヘノッホ・シェーンライヒ紫斑病」とも呼ばれます。他にも、アナフィラクトイド紫斑病、血管性紫斑病という別名もあります。

 

様々な呼び名があるアレルギー性紫斑病ですが、風邪をひきやすい秋・冬のシーズンには要注意。

この記事では、子どもの病気、アレルギー性紫斑病の症状・診断・治療法について取り上げます。

加えて、「再発はする?後遺症の心配は?」という気がかりなポイントまで詳しく解説します!

 

アレルギー性紫斑病は子どもの血管炎で最も多い病気!

アレルギー性紫斑病は、全身の毛細血管が炎症をおこす病気です。

血管の炎症は、血管炎と呼ばれ、アレルギー性紫斑病は、血管炎の中で最も多くの子どもが発症する病気です。

10歳以下に発症しやすく、特に4~7歳にみられます。また、2:1の割合で男の子に多い傾向にあります。

 

血管に炎症がおこると、どうなってしまうのでしょうか。

まず、血管がもろくなります。そして、もろくなった血管から血液が皮膚に漏れ出すのです。

こうして、皮膚に点状の出血班がみられます。

 

血管炎は、皮膚だけではなく腸や腎臓でもおこります。腸や腎臓の血管で炎症がおこると、血便や血尿がでて入院が必要になることもあるのです。

原因はウイルスの感染と免疫物質が有力

アレルギー性紫斑病の原因は、現在のところはっきり分かっていません。

原因の有力な説として考えられるのが、2つ。ウイルスの感染と免疫物質です。

 

およそ半数の患者が、風邪を引いてから1~2週間後に、アレルギー性紫斑病を発症しています。

このことから、ウイルスや細菌などの感染が、原因となっていると考えられています。

ウイルスや細菌の感染のほかにも、虫刺され、食べ物・薬剤・化学物質などの摂取が発症の引き金になることもあります。

 

また、アレルギー性紫斑病は、免疫物質の1つであるIgAが関係しているともいわれています。

症状があらわれる部位にIgAが沈着していることが検査で確認されているためです。本来ならば、体を守る免疫物質が異常な反応をおこすことで、病気の症状がおこると考えられているのです。

アレルギー性紫斑病の三大症状!

アレルギー性紫斑病の三大症状は、紫斑(皮膚症状)、関節症状、腹部症状です。

これらの症状が、同時または様々な順番であらわれます。

 

■紫斑(皮膚症状)

皮膚症状は、アレルギー性紫斑病の全ての患者さんにみられます。

いくつもの紫斑が、おしりや足首、背中を中心に左右対称にあらわれます。

紫斑の特徴としては、わずかにもり上がっていて、直径1~5㎝ほど。

最初はじんましんのような赤い斑点で始まり、次第に青や紫に変わります。かゆみはありません。

 

■関節症状

およそ3分の2の患者に関節痛・関節の腫れなどの症状がみられます。

主に、足(かかとやひざ等)や手首・肘の関節に症状が出ます。

たいていの場合、関節症状は数日で痛みが引きます。

しかし、ひどいときには痛みによって、歩くのが困難になることもあります。

 

■腹部症状

腹部症状は、半数以上の患者さんにみられる症状です。

消化管の血管が炎症をおこすことによって、強い腹痛が続きます。ときには、嘔吐したり、血便がでることもあります。

腹痛や血便がみられたときには、入院治療が必要になってきます。

3割の人が発症する紫斑病性腎炎

アレルギー性紫斑病の3割もの患者が、紫斑病性腎炎という合併症にかかります。

紫斑病性腎炎は、ほとんどの場合、紫斑がみられてから1か月~3か月以内に発症します。

 

紫斑病性腎炎の主な症状は、血尿や蛋白尿、むくみです。

症状は、一時的な場合がほとんどですが、重症化すると、腎不全になる可能性もあります。

定期的に検査で病気が進行していないか確認することが重要です。

 

紫斑病性腎炎が悪化した場合には、小児腎臓医へ相談されることをおすすめします。

また、長期にわたって特定の治療薬が必要な場合には、医療費の補助をうけることができます。

詳しくは、保健所や主治医にお尋ねください。

アレルギー性紫斑病は小児科での受診を

子どもの足やおしりにいくつもの紫斑ができているけど、かゆみがないから、虫刺されではないはず・・

 

紫斑に心当たりがない場合、1,2週間前に風邪を引いていたなんてことはありませんか?

思い当たる節があれば要注意。

アレルギー性紫斑病の診断は、以下の項目が基準となっています。

  • お腹の痛み
  • 関節痛や関節の腫れ
  • 血尿または蛋白尿などの腎症状がでている
  • 生体検査で免疫物質であるIgAが確認される

足やおしりに紫斑がみられた上で、4つの項目のうち2つ以上の基準を満たしているときに、アレルギー性紫斑病と診断されます。

 

アレルギー性紫斑病の疑わしい症状がみられたら、かかりつけの小児科を受診しましょう。

紫斑の症状は皮膚や関節に出ますが、皮膚科や整形外科ではアレルギー性紫斑病の診断は難しく、診断がつかないままだと、適切な治療が遅れてしまいます。

アレルギー性紫斑病の治療は安静が基本

 

アレルギー性紫斑病を発症してすぐの時期は、安静にして症状ごとの治療を行う対症療法が基本です。

発症してすぐの時期である急性期を過ぎると、治療は病状によって異なります。医師の指示に従うようにしましょう。

 

症状が紫斑のみの軽症の場合には、自宅で安静にし療養していれば1か月程度で治ります。

紫斑は動き回ると増えますが、生活上の厳しい制約はありません。

全身の状態が良ければ、入浴することもできます。

 

腹痛が強かったり血便がみられる場合には、入院治療が必要です。

入院期間は、ほとんどの場合には2~3か月と長期に渡ります。

入院中は、点滴や抗生物質を用いて治療します。また、症状によっては食事制限を行うこともあります。

アレルギー性紫斑病の治療薬

現在のところアレルギー性紫斑病には、特効薬はありません。

経過観察をしながら、症状を改善する薬を使って痛みをコントロールします。

 

■関節痛・・・アセトアミノフェンの投与や経皮鎮痛消炎剤など

 

■腹痛・・・点滴+ステロイドの注射

 

<ステロイド>

ステロイドには、腹痛がつづく時間を短くしたり、再発や腎症が発症するリスクを低くする効果があります。

 

症状がよくなるからといっても、やはり気になるのが薬の副作用。

ほとんどの場合には、治療する期間が比較的短いため、治療薬の副作用によるトラブルはほぼないといわれています。

ただし、ステロイドの長期の使用については注意が必要なため、不安な場合には、医師への相談をおすすめします。

早く治すためにも運動と寒い日の外出は控えましょう

アレルギー性紫斑病を早く治すために重要なのが、運動と寒い日の外出を控えることです。

 

子どもにとって、安静を余儀なくされて、外遊びができないのはとても辛いことでしょう。

しかし、走ったりして足に重力がかかると、紫斑が再発しやすくなります。

病気を早く治すためには、運動を控え安静にすることが大切です。

 

アレルギー性紫斑病は、気温が低くなる秋から冬にかけて発症しやすい病気です。寒さは、病気を悪化させてしまいます。

症状がよくなるまで寒い日の外出は避けましょう。

アレルギー性紫斑病は感染しません

アレルギー性紫斑病は、症状が再燃することはありますが、周囲の人へ感染はしません。

 

再燃とは、症状が再び悪化してしまうことをいいます。

アレルギー性紫斑病の半数の患者さんは、発症してから6週間のうちに症状が再燃します。しかし、そこまで心配することはありません。再燃しても初めの発症にくらべると病状が軽いので、短期間で回復していきます。

 

アレルギー性紫斑病は、長期的に問題になるような後遺症が残ることはほとんどありません。

他の人へ感染することはないので、症状がおさまれば登校することもできます。

 

アレルギー性紫斑病を発症した場合、他の病気の予防接種は控えましょう。予防接種を受けてもいい時期については、主治医に相談するようにしてください。

おわりに

 

アレルギー性紫斑病は、風邪が発症の引き金となることが多い病気です。アレルギー性紫斑病の対策として、まずは風邪の予防につとめましょう。ウイルスや細菌から体を守るために、家族みなさんで手洗いやうがいを心がけてくださいね。

 

もしも、アレルギー性紫斑病にかかってしまったときには、安静にすることが重要です。安静にして治るのを待つというのは子どもだけでなく、親にとっても辛いことでしょう。ですが、早く病気を治すためです。症状が良くなるまで、激しい運動は控えて下さい。

 

そして、紫斑病性腎炎が合併していることもあるため、治ったあとにも経過観察が大事です。

定期的な尿検査などを受けるように医師から指示された場合には従いましょう。