子どもは免疫力が低く、風邪にかかりやすいので、熱を出したときに、まず風邪を疑う人も多いのではないでしょうか。

しかし、赤ちゃんが高熱を出したときや、子どもに発熱以外の風邪の症状がみられないときは、尿路感染症かもしれません。

尿路感染症とは、細菌によって尿道や膀胱、腎臓などに炎症を起こすことです。

尿路感染症の一つである膀胱炎は、「女性であれば、一生に一度はかかる」といわれていますが、乳児では、男女関係なくみられます。

今回は、子どもの尿路感染症の原因や、症状、治療法などを、詳しく解説していきます。

尿路感染症は、オシッコに関係する臓器が細菌に感染する病気

尿は腎臓で作られ、腎盂(じんう)から尿管を通り膀胱へ、そして、膀胱から尿道を通って排出されます。

これら尿に関わる器官に細菌感染が起こる病気の総称が「尿路感染症」です。

細菌が尿道から侵入し、最初に感染を起こすのは尿道なので、尿道が短い女の子の方が発症しやすいとされています。

尿路感染症は、発症した場所や症状によって細かく分類されます。

腎臓から尿管のエリアに感染が起こった場合は「上部尿路感染症」と呼びます。

子どもの場合は腎盂腎炎(じんうじんえん)が特に多く、稀に血管を通して腎臓にまで感染することがあるので、注意が必要です。

また、膀胱から尿道にわたるエリアに感染が起こったときは「下部尿路感染症」といいます。

子どもの場合は膀胱炎(ぼうこうえん)が特に多いです。

膀胱炎は、2歳ごろまでは男女どちらも同程度にみられ、2歳を過ぎると女の子の方が発症しやすくなります。

尿路感染症の原因は、主に大腸菌

尿路感染症の原因のほとんどは、細菌感染です。

中でも大腸菌の感染が多く、全体の8割以上を占めています。

これは、おむつの中の便から感染することが多いためです。

そのため2歳ごろまでの子どもなら、男女関係なく、かかりやすいとされています。

稀に、ウイルスや微生物が原因で感染が起こるケースもあります。

診断は「尿検査」の結果をもとにして、行われます。

尿路感染症の特徴は尿の中に白血球の増加や細菌がみられること。

そのため、尿の採取によって大量の白血球や細菌がみられないかを顕微鏡で調べます。

男の子の場合、尿路感染症に1度でもかかったら検査が必要です。

女の子の場合、2歳未満でしたら検査が必要になりますが、それ以外なら感染を繰り返す場合のみ必要になります。

また、初めから尿路感染の疑いが強い場合には、尿道から減菌した柔らかい管(カテーテル)を挿入し、膀胱内の尿を採取・検査することもあります。

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高熱が出て、機嫌の悪い赤ちゃんは、尿路感染症を疑いましょう

尿路感染症では、多くの場合、38.5℃以上の発熱だけが症状としてあらわれます。

幼稚園児や、小学生など、成長した子どもであれば、背中の痛みや、お腹の不調を訴えることも。

しかし、赤ちゃんは、身体の不調を上手に訴えることができません。

高熱のほかに、機嫌が悪い(いつもと様子が違う)ようであれば、尿路感染症を疑いましょう。

ミルクを飲まなくなったり、嘔吐や下痢をしているときも、要注意です。

また、尿路感染症を繰り返すと、腎臓へのダメージとなり、腎機能の低下を招く恐れがあります。

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こまめな尿チェックで膀胱炎から腎盂腎炎への進展を防ごう!

通常、膀胱炎が進展することで腎盂腎炎となります。

これは尿路感染症は進展するほど、原因菌が上へとのぼっていくためです。

身体の不調を伝えられない赤ちゃんのSOSに気付くためには、パパやママが少しでも早く異変に気付き、治療を始めることが大切。

なお、腎盂腎炎に進展してしまうと、高熱や腎臓に近い背中や腰が痛むといった症状が出てしまいます。

そうならないために、普段から赤ちゃんのオシッコの状態をチェックしておきましょう。

≪膀胱炎に見られる、オシッコの異常≫

・回数が増える

・オシッコのときに痛む

・オシッコが出にくい

・ピンク色になっている(血尿)

・濁っていて、匂いがきつい

このほか子どもの腎盂腎炎では、尿路感染症のほかに「膀胱尿管逆流症」「水腎症」が原因であることも。

場合によっては、エコー検査や、排尿時の尿の動きをX線で撮影するなど、詳しい検査が必要になります。

ただし尿路が拡張した状態である「水腎症」であれば、成長と共に自然と治ることが多いので、あまり心配はいりません。

乳児の100人に1人にみられる、膀胱尿管逆流症

膀胱尿管逆流症とは、尿が逆流して、尿道から膀胱の方に戻っていく現象です。

乳児の100人に1人に起こるので、比較的身近な現象といえるでしょう。

腎臓から膀胱へ送られる尿には、細菌は含まれていませんが、身体の外からは、尿道を伝って、絶えず細菌が流れ込みます

通常であれば、これらの細菌は尿と一緒に排出されますが、尿管と膀胱の接続部に、先天的な異常があると、排尿時に膀胱へと逆流することがあるのです。

細菌を含んだ尿が、逆流して、膀胱に残ると、細菌が膀胱内で繁殖し、尿路感染を起こしやすくなります。

逆流現象が強いと、重度の尿路感染を繰り返したり、腎臓の発達に悪影響を及ぼすこともあります。

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尿路感染症の、治療法や予防法

主な治療は薬の投与

顕微鏡で原因となっている細菌が分かった場合は、その細菌に効果がある抗生剤の投与によって治療を行います。

投与する期間は個人差がありますが、7~10日ほどです。

ただし腎盂腎炎によって高熱や脱水症状、強い吐き気による水分補給の困難といった重い症状がみられた場合は、入院が必要になります。

膀胱炎で発熱もみられない場合は、抗菌薬を使った治療を行います。

通常、24時間以内に薬の効果があらわれ、3日ほどで症状がおさまります。

いずれも安静にするとともに、尿を我慢しないことが大切です。

また尿路感染症では、短期間での再燃も多くみられます。

治療後も慎重に経過を見守ってください。

先天的な異常が原因である膀胱尿管逆流症では、年齢や性別、症状に合わせた治療が行われます。

抗菌薬の継続的な投与か、手術で逆流を止めるか、いずれかの方法がとられることが、ほとんどです

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普段から清潔にすることで、尿路感染症を予防しましょう

尿路感染症には有効な予防法がありません。

そのため、日頃の生活習慣でできることで、子どもを守ってあげましょう。

たとえば、

・水分を十分に取る

・おしっこを我慢しない

・カフェインの摂取を避ける

・便秘をしないよう食物繊維を十分に摂取する

など。

ほかにも、おむつをしている間は、陰部に便がついていればお湯で、できれば石鹸を使って洗いましょう。

また、陰部はお風呂のときにもよく洗い、男の子は、包皮を優しく、剥き加減で洗いましょう。

おむつが取れた女の子には、うんちのときに便が陰部につかないよう、前から後ろに向かって拭くように教えることも大切です。

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おわりに

子どもの尿路感染症は、放っておくと腎臓機能に障害をもたらします。

高熱を伴う、腎盂腎炎に発展する前に、排尿痛、尿が普段より匂うなど、膀胱炎の症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

また、2歳未満の赤ちゃんでは、風邪などで発熱することは、ほとんどありません。

発熱するときは、泌尿器に、先天性の機能障害が疑われます。

発熱が見られる場合は、必ず医療機関を受診し、積極的に検査をしてもらいましょう。