RSウイルスが原因の喘息は検討されているが、確率は不確定

RSウイルスは、鼻から肺にわたる「気道」でさまざまな症状を起こすウイルスです。

軽症であれば、風邪とさほど変わりませんが、重症化すると細気管支炎などに進展するおそれがあります。

こうした重症化の中でみられる症状のひとつが「喘鳴」です。

喘鳴とはゼーゼーといった異常な呼吸音がみられること。

子どもに喘鳴がみられたとき、喘息への移行を心配するパパ・ママは少なくありません。

現在、RSウイルスと喘息の関係は複数の研究で検討されています。

しかしRSウイルスが原因で喘息なる確率は、不確定です。

ここからは、ふたつの関係を詳しくみていきましょう。

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RSウイルスは、子どもの気道に感染する頻度が最も高いウイルス

まずはRSウイルスについて知りましょう。

RSウイルスは子どもの気道感染で最も頻度が高いウイルスとされています。

そのため、RSウイルス感染症患者の9割以上が、3歳以下の子ども達です。

RSウイルスの感染経路は主にふたつ。

ひとつは、感染者の咳やくしゃみによるしぶきを吸い込むことによる、飛沫感染

もうひとつは、ウイルスが付着した物品に触れることによる、接触感染です。

ウイルスが付着した手で目をこするだけでも、感染するとされています。

最初に症状があらわれるのは、鼻汁や咳といった鼻から咽頭(首の真ん中あたり)にかけた、上気道症状。

発熱が起こることもありますが、高熱になることは稀です。

RSウイルスが体の奥まで侵入し、重症化した場合は「気管支炎」や「細気管支炎」などがみられます。

  • ≪気管支炎≫・・喉の痛みや激しい咳、鼻汁、発熱、全身倦怠感などが起こる
  • ≪細気管支炎≫・・多呼吸や呼吸困難のほか、チアノーゼ(指や唇が紫になる)などが起こる。

    喘鳴も起こりやすい

RSウイルスと喘息の関係について

基本的に、たった1度の喘鳴によって「喘息」と診断されることは、ありません。

症状の経過を数回の診察で確認することで、初めて医師は喘息かどうかを診断します。

RSウイルス感染症から喘息へ移行する確率には、医師の中でもさまざまな見解があります。

しかし、喘息に移行する確率は高くないという見方が主流でしょう。

その一方で、RSウイルス感染と喘息には関連性があることが複数の研究で検討されていることも事実です。

RSウイルスが喘息に与える影響の研究としては、北欧のSigursらの研究が知られています。

Sigursらはアトピー素因、喘息の家族歴、環境因子などに差がない子どもを比較してみました。

その結果、1歳未満でRSウイルスによって入院を要する細気管支炎にかかると、13歳の時点で喘息発作を起こす頻度が、そうでない人と比べて高いことが分かったのです。

このほかアメリカのMartinezらの研究では、3歳までにRSウイルスによって気管支炎や細気管支炎を起こすと、他のウイルスのときより喘鳴を起こしやすいことから喘息との関係を見出しています。

RSウイルスと喘息の関係~大人の場合~

大人の場合、喘息持ちの人がRSウイルス感染症を重症化させるリスクが高いことが示唆されています。

中でも注意が必要なのが、高齢者です。

国立感染症研究所によると、介護施設に入所している高齢者の入院率・致死率を高める要因にRSウイルスがあるとされています。

なおRSウイルス重症化の要因には、喘息のほか、慢性心疾患や重度の免疫不全も考えられています。

RSウイルスによる辛い咳や喘鳴の治療に注目される「オノン」

気管支喘息に適応する薬のひとつとして、抗アレルギ-剤の「オノン」があります。

比較的副作用が少なく、安全性の高い薬です。

オノンはアレルギーや炎症に作用する薬で、気管支喘息を改善するとされています。

子どもの場合は、甘いドライシロップによる服用が多いです。

そんな「オノン」が、RSウイルスによる細気管支炎の咳や喘鳴に効果を発揮するとして、注目を集めています。

入院を要するRSウイルス細気管支炎が、喘息の引き金になるとされている以上、オノンによる早期治療は期待されることでしょう。

ただし現段階で処方の判断は、医療機関によって異なります。

RSウイルスによる反復的な喘鳴に悩んでいる場合は、相談してみましょう。

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手洗い・うがいやマスクの着用でRSウイルスを予防しよう

RSウイルス感染症と喘息の関係について、お分かりいただけたでしょうか?

子どもがゼーゼーと辛そうに呼吸をしているのを見るのは、パパ・ママにとって非常に辛いことです。

こうした事態を避けるには、RSウイルスを予防することが一番です。

ただし、大人の場合感染しても自覚しないケースが多く、知らず知らずのうちに子どもにうつしてしまう可能性があります。

ウイルス撃退のために、帰宅後はぜひ、念入りに手洗い・うがいをしましょう。

また、ご自身に咳や鼻汁といった症状が出た場合は、RSウイルスに感染している可能性も考慮して必ずマスクを着用してくださいね。