患者の90%以上が3歳以下の子ども!RSウイルス感染症が流行間近

冬に流行するウイルスといえば、インフルエンザウイルスやノロウイルスが有名です。

しかし、小さな子どもがいるパパやママには、さらに知っていて欲しいウイルスがあります。

それが、RSウイルスです。

 

RSウイルスは2歳までにほぼ100%が感染するとされ、患者の90%以上を3歳以下の子どもが占めています。

 

特に初感染の生後数か月の赤ちゃんは重症化しやすいため、注意が必要です。

 

また、冬季のウイルス感染による乳幼児の咳や鼻汁の原因で、最も頻度が高いことでも知られています。

そのため多くの小児科医が、注意喚起を促しているのです。

 

この記事では、そんな「RSウイルス感染症」の症状から原因、治療、予防まで詳しく解説していきます。

風邪と間違えないで!RSウイルス感染症の症状と原因について

RSウイルスには、潜伏期間があります。

平均は4~6日間。短いと2日で発症し、長い場合は8日間、潜伏期間を維持します。

 

RSウイルスが最初に症状をあらわすのは、発熱と鼻や喉にあたりにみられる上気道症状です。

 

  • 発熱(ただし、高熱になることは稀)
  • 水っぽい鼻水
  • 鼻詰まり

上気道症状のみなら、1週間程度で治まります。

風邪と似ているため、感染に気付かないケースもあるようです。

 

一方で初感染の赤ちゃんの場合、2~3割の患者に症状の悪化がみられます。

これはRSウイルスが、体の奥の方へ侵入したためです。

 

その結果、咳は胸が痛むほど激しくなり、痰も出るようになります。

中には呼吸困難や、ヒューヒューと呼吸音がする喘鳴がみられることも。

これらは下気道症状と呼ばれ、気管支炎細気管支炎肺炎の原因となることがあります。

 

なお、乳幼児の肺炎の50%、細気管支炎の50~90%の原因は、RSウイルスです。

また気管支炎においても、10~30%は関与しているとされています。

 

≪大人の場合、症状は軽いことがほとんど≫

RSウイルス感染症は、年齢を重ねるほど症状が軽くなる傾向があります。

そのため大人の場合は、症状が軽いことがほとんどです。

ただし、高齢者や免疫機能を抑える薬を服用している人、慢性の呼吸器疾患を抱えている人は重症化する可能性が高まります。

 

≪RSウイルス感染症は喘息の原因となる?≫

RSウイルス感染症による喘鳴は、喘息発作に似ています。

そのため「RSウイルスが原因で喘息になるのでは?」と心配するパパ・ママは少なくありません。

 

たしかにRSウイルスと喘息の関係を示唆する声はあります。

しかし、RSウイルス感染症から喘息に移行する確率は分かっていません。

一度の喘鳴では診断ができないため、慎重な観察が求められます。

 

詳細は以下の関連記事をご確認ください。

 

RSウイルス感染症が重くなると、ゼーゼーという呼吸音がする「喘鳴」が起こることがあります。子どもに喘鳴がみられたとき「喘息に移行するのでは?」と心配するパパ・ママは少なくありません。RSウイルスと喘息、ふたつの関係についてみていきましょう。

 

 

RSウイルスは接触感染や飛沫感染が原因でうつる

RSウイルス感染症の主な原因は、接触感染や飛沫感染です。

 

「接触感染」は、ウイルスが付着した物品に触れた手指で口や鼻にさわることで起こります。

ドアノブや椅子、テーブルなど頻繁に触れる物にウイルスが潜んでいるので、注意が必要です。

少し鼻をこするだけでも感染するほか、目を介しても感染することがあります。

このほか、感染者とのスキンシップも接触感染を招きます。

 

「飛沫感染」は、感染者の咳やくしゃみで飛び散るしぶきを吸い込むことによる感染です。

 

またRSウイルスは、感染期間が長いことが特徴です。

潜伏期間も人にうつるとされ、症状が治まった後も1~3週間は人にうつす可能性があるとされています。

 

こうした感染力の強さが、家族間での感染や保育園など施設内での感染拡大を招く要因となっているのです。

 

特効薬のないRSウイルス感染症!治療や保育園の登園について

RSウイルス感染症には、病気自体に効果を発揮する特効薬がありません。

そのため、治療では表面にあらわれた症状を抑える「対症療法」が行われます。

  • 熱に対しては、解熱剤の処方や冷却
  • 鼻の症状には、吸引や鼻汁を抑える薬の処方
  • 喉の症状には、痰を切りやすくする薬や気管支を拡げる薬の処方

     

     

ただし、RSウイルス感染症は進行が早いため、症状の変化には充分注意してください。

中でも夜間に悪化するケースが、多くみられます。

以下の傾向がみられた場合は、重篤な症状を招く前に、病院で診察を受けましょう。

 

・呼吸の回数が増えている

・ゼーゼーと苦しそうな呼吸音がする

・呼吸のたびに腹部がへこむ

・顔色が悪い

・食欲がなくなった

・ミルクや水分を拒む

 

!1歳未満の赤ちゃんは入院するケースも!

気管支炎や細気管支炎、肺炎の症状によっては、入院して酸素投与や点滴をする必要があります。

こういった傾向は、1歳未満の赤ちゃんに特に多いです。

 

3か月未満の赤ちゃんの場合は、こうした症状がみられないけれど入院が必要なケースも。

その場合は無呼吸発作、チアノーゼ(皮膚が紫色に変色している)などによって判断します。

とくに20秒以上呼吸が停止する無呼吸発作は、重篤な症状として慎重な対応が求められます。

 

保育園へ登園するタイミングは医師との相談で決めます

子どもがRSウイルスに感染した場合、いつから保育園に行けるのか不安になるパパ・ママは多いことでしょう。

 

保育園への登園に関しては、事前に必ず医師に相談してください。

 

保育園へ登園できる目安のひとつは「消化器症状の消失」です。

消化器症状とは、咳や痰といった喉の症状や、呼吸に関する症状を指します。

これらの症状が治まって、全身症状が良くなると、保育園への登園もほぼ問題ないでしょう。

 

2歳以上の重症化しにくい子どもの場合、消化器症状が残っていても発熱が治まれば、登園するケースがみられます。

しかし、RSウイルスは非常に感染力が強いウイルスです。

消化器症状が治まるまで、できるだけ登園は控えましょう。

 

また保育園へ登園する際は、ぜひマスクを着用してください。

軽い咳であっても、目に見えないほど小さい飛沫にはウイルスがたくさん潜んでいます。

 

 

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30分で完了!RSウイルス感染症の検査について

RSウイルス感染症には、約30分で結果が分かる迅速検査キットがあります。

ただし、保険適応の条件が限られているので注意してください。

 

≪保険適応の条件≫

・1歳未満の子ども

・入院中、あるいは入院が必要と判断された患者

・パリビズマブ製剤の適用となる患者

 

迅速検査キットによる検査では、綿棒で鼻の粘膜を採取します。

綿棒からRSウイルスが検出されるかどうかで、感染の有無が分かる仕組みです。

 

ただし迅速検査キットでは、感染の有無が分かっても、症状の程度までは分かりません。

そのため感染が判明した場合は、血液検査や胸部レントゲンによって詳しい症状を確認することになります。

 

!検査費用は病院によって異なります!

RSウイルス感染症の検査費用は病院によって異なるため、事前確認が必要です。

なお保険適用外の自費診療では、検査費用に3.000円ほど、その他の費用も合計すると1万円前後かかる可能性があります。

 

 

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家族でできるRSウイルス予防と予防薬・シナジスについて

RSウイルス感染症の患者の大半を占める小さな子ども達は、自分で予防を行うことができません。

一度感染しても再感染する可能性があるので、家族が力を合わせて予防を心がけましょう。

 

予防[1]:手洗い

こまめな手洗いで、手を介した接触感染を防ぎましょう。

充分に泡立てた石鹸で念入りに洗い、清潔なタオルで水分を拭き取りましょう。

爪の間に汚れが溜まらないよう、爪を短く切ることも有効です。

 

予防[2]:マスクの着用

飛沫感染を防ぐには、マスク着用が有効です。

自身に咳や鼻汁といった症状があらわれた場合も、感染を広げないために積極的に活用しましょう。

 

予防[3]:消毒

物品に付着したウイルスは、4~7時間生存が可能とされているので、消毒で除去しましょう。

有効なのはアルコールや、次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用の塩素系漂白剤。

ただし、金属製のものは塩素系漂白剤で劣化する可能性がありますので、消毒後はすぐに水拭きしてください。

 

予防[4]:加湿

全般的にウイルスは乾燥した空気を好みます。もちろん、RSウイルスも例外ではありません。

加湿器などで室内の湿度を60%前後に保つことで、RSウイルスの苦手な環境を作りましょう。

 

 

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RSウイルス感染症の重症化の予防に注目されるシナジス

呼吸器系の病気を防ぐ薬として用いられる、シナジス(パリビズマブ)。

これがRSウイルス感染症の重症化を予防するとして、注目されています。

 

シナジスの投与が特に必要とされるのは、重症化しやすい以下の子ども達です。

 

・早産児や未熟児

・慢性肺疾患を持つ子ども

・先天性心疾患を持つ子ども

 

上記の条件に当てはまる場合は、保険が適応され、2割の自己負担で受けられます。

その一方で保険が適応されない場合は、比較的高額での投与となってしまいます。

 

詳細は以下の関連記事をご確認ください。

 

最初の投与は流行前に受けることが望ましいです。

投与を検討する際は、10月ごろまでに小児科医に詳細を確認しましょう。

おわりに

ほとんどの子どもが一度は通る道であろう、RSウイルス感染症。

それにもかかわらず、インフルエンザやノロウイルスと比べると、まだまだ認知度は低いのが現状です。

 

しかし重篤な病気を招く要因にもなるので、パパやママは正しく理解する必要があります。

 

RSウイルス感染症の患者の中には、昼間に病院で風邪と診断を受けたのに、半日後には重症化していたというケースもあります。

こんなときにRSウイルスの存在を知っていると、冷静に的確な対処が可能です。

 

RSウイルス感染症の流行は春先まで続くとされています。

長期戦となりますが、冬季にみられる子どもの咳や鼻汁には注意して、体調の変化がみられたら早急に医師に相談してくださいね。