突発性湿疹の特徴:熱が下がったあとに発疹が出現!
突発性湿疹は、38~40度近い高熱が数日続いたあと、熱が下がると同時に赤いブツブツとした発疹が現れる病気です。
発熱に発疹を伴う病気はいくつかありますが、たいていは発熱中にブツブツが出現。
平熱に下がってから発疹が出るのは、突発性湿疹の典型的な症状です。
発疹はお腹や背中に出始めたと思ったら、半日ほどの間に全身に拡大。かゆみや痛みはなく、3~4日経つと自然に薄くなって治っていきます。
ただしこのような典型的な症状が出るのは2人にひとりくらいで、熱が出ずに発疹だけがあらわれるケースもあります。
喉の腫れや鼻水はなく、発熱・発疹以外の症状では軽い下痢、咳、首のリンパ節の腫れなどがあげられます。
突発性湿疹は、9割は1歳未満で発症し、とくに多いのは生後6か月から1歳までの赤ちゃん。遅くとも2歳までにかかる病気です。
1歳未満の赤ちゃんで、これといった原因が見当たらないのに元気がない、ぐずって機嫌が悪い、食欲がないなど、いつもと様子が違っていたら「もしかして・・」と用心してみましょう。

突発性湿疹の原因はヒトヘルペスウイルス
突発性湿疹は、ヒトヘルペス6型(まれに7型)というウイルスが原因です。
何らかのかたちでウイルスが赤ちゃんの口に入る、もしくは吸い込むことで感染し、季節を問わずに発症します。
生後すぐの赤ちゃんは母親からもらった免疫力で守られていますが次第に弱まり、生後6か月前後には免疫力が最も低い時期になります。
この時に感染・発症しやすい病気のひとつが突発性湿疹です。
ウイルスの潜伏期間は約9日間。
病気の特徴である発疹が出た時にはウイルスはかなり減少しています。
日本では、2歳になるまでにほぼ100%の赤ちゃんがウイルスの抗体を獲得しますが、中には感染しても症状が出ないケースも20~40%程度あるといわれています。
突発性湿疹は一度かかった、もしくは2歳を過ぎたらほとんどかからない病気ですが、6型と7型、それぞれに感染した場合は二度発症することがあります。
突発性湿疹は感染しやすい病気
突発性湿疹の原因であるヒトヘルペスウイルスは、湿疹が治ったあとも患者の唾液腺のなかで増殖し、唾液の中に出続けます。
この唾液の中のウイルスで赤ちゃんへの感染が起こると考えられています。
このため、つねに赤ちゃんのそばにいる家族の唾液のなかにウイルスがいるのであれば、赤ちゃんへの感染を防ぐのは難しいでしょう。
突発性湿疹ははしかや水ぼうそうよりも感染力が弱いとされていますが、身近なところにつねにウイルスが存在していることが、ほとんどの赤ちゃんが罹患する大きな理由です。

突発性湿疹の治療と自宅ケアについて
突発性湿疹に予防接種(ワクチン)はありません。
また突発性湿疹の確定診断は、赤いブツブツが出てからおこないます。
熱が出ている間はほかの病気の可能性もありますので、自己判断せず、できるだけ早く小児科を受診してください。
とくに生後4か月未満の赤ちゃんは体力がなく抵抗力も弱いので、熱が4~5日続いているような場合はすぐに小児科で診てもらいましょう。
自宅ケア
赤ちゃんにとって初めての発熱が突発性湿疹であることが多く、つい慌ててしまうものです。
自宅では安静と水分補給を第一に、発熱時の一般的なケアと同じように対処しましょう。
湿疹は、薬を飲まなくても3~4日すると自然に薄くなっていきますので、心配はいりません。
ただし、38度以上の熱になると熱性けいれんを起こしやすくなるので注意が必要です。
乳幼児には特に多い「熱性けいれん」は適切な判断が大切!熱性けいれんの症状と対処法を知っておこう
夜間に救急で子供が運ばれてくる中で、最も多い症状に「熱性けいれん」があります。目の前でかわいい赤ちゃんや子供がけいれんを起こしていたら慌ててしまうのは当然ですが、病院に着いたらけいれんは止まっている、というケースも多いようです。
熱性けいれんには心配のいらないものから、病気や重症に至るものまで種類があります。
いざという時
また発熱に下痢も伴うと脱水症状を起こし、急に症状が悪化する場合があります。
経口補水液(イオン飲料)などをこまめに飲ませるなど、水分補給を心がけてください。
もともと体力ない赤ちゃんは、熱が出るとさらに体力を消耗し、他の感染症にもかかりやすくなります。
突発性湿疹はめずらしい病気ではありませんが、完全に体調が戻るまで数週間は人込みを避けるなど、いつも以上に無理をさせないよう気をつけてあげましょう。
こんなときはどうするの?Q&A
Q1. お風呂はいつから入れていいでしょうか?
A. 発疹が残っていても、熱が下がればお風呂に入って大丈夫です。そのとき、発疹部分を傷つけないよう、手でやさしく洗ってください。お風呂に入れないときはこまめにおむつを替えたり、濡れたタオルで体を拭くなどして、清潔な状態を保ってください。
Q2. 熱が出たとき、自宅にあった薬で対処してもいいでしょうか?
A. 自己判断で薬を飲ませるのは避けてください。どんな薬でも、飲ませる前に必ず一度医師の診断を受けて、症状に合った薬を処方してもらってください。
Q3. 嫌がって薬を飲んでくれません。食べ物に混ぜて与えてもいいでしょうか?
A. 食べ物に混ぜると、おなかがいっぱいになった場合に全量を摂取できないことがあります。水分補給を兼ねて経口補水液に混ぜるなど、工夫をしてみましょう。

おわりに
突発性湿疹は赤ちゃんの初めての高熱として発症することが多いため、周りの大人はつい慌ててしまうものです。
しかし「生後6か月~1歳までになりやすい」「平熱に下がってから湿疹が出る」などの特徴を知っていれば、いざというときに余裕をもって対処できるのではないでしょうか。
熱があったときの一般的なケアをおこないながら水分補給と安静を心がければ、特に心配がいらないのが「突発性湿疹」でもあります。
いつもと何となく様子が違うかも・・と思ったら、すみやかに小児科で診てもらってくださいね。