12月〜1月頃、冬場に流行のピークを迎えるマイコプラズマ肺炎。子どもが注意をしなくてはならない病気の1つです。

例年、マイコプラズマ肺炎感染者のおよそ80%を14歳以下の子どもがしめています。

幼稚園・保育園、小・中学校などは閉鎖的な施設であり、その中で多くの人間が生活しているため、感染者がいればたちまち感染が広がってしまいます。

マイコプラズマ肺炎に感染してしまったらどんな対応を取ればいいのか。

この記事ではマイコプラズマ肺炎について原因、症状、治療や、保護者の方々が気になるであろう出席停止のことなど、様々な視点から解説していきます。

マイコプラズマ肺炎は発症から完治まで1ヶ月を要することも

マイコプラズマ肺炎とは、呼吸器感染症の一種です。

肺炎マイコプラズマという細菌に感染することが原因で病気を発症します。

1年を通して発症の可能性がある病気ですが、特に冬場に患者が増加する傾向があります。

感染経路は主に2つ。

①マイコプラズマ肺炎患者の咳やくしゃみを吸い込んでしまうことがきっかけとなる飛沫感染

②マイコプラズマ肺炎患者に接触することがきっかけとなる接触感染

マイコプラズマ肺炎の感染力はそれほど強くないため、比較的関係が濃い人からの感染が考えられます。

また、感染力が強くないにも関わらず、流行してしまうのは潜伏期間が長いことが影響しているといわれています。

肺炎マイコプラズマが体内に入ってから病気を発症するまでの潜伏期間は長く、だいたい2週間〜3週間です。

症状が出ていない感染者からも、知らず知らずのうちに肺炎マイコプラズマが発せられている可能性があるのです。

症状が風邪と似ているマイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎を発症すると、主には発熱、全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状があらわれます。

これらの症状は一度に出てくるわけではありません。

【初期症状】

発熱、全身の倦怠感、頭痛など

 ↓

【初発症状出現から3~5日後】

咳が出るが、病気発症当初は乾いたような咳

 ↓

【3~4週間後】

解熱はするが解熱後も咳は続く。経過に従い咳は徐々に強くなり、後期には湿性の咳になる。痰がからむようになり、場合によっては血痰に。

このように、症状は段階的にあらわれてきます。上記は代表的な症状ですが、吐き気、嘔吐、下痢、筋肉痛、関節痛などがみられることがあります。

また、合併症として中耳炎、鼓膜炎、発疹などの症状があらわれる場合もあります。

初期症状から本当の完治までは、実に1ヶ月近くを要する場合もあります。

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見逃さないで!マイコプラズマ肺炎は咳に特徴あり!

マイコプラズマ肺炎は風邪と症状が似ているために、病気を見逃してしまうケースもあります。

もし、治りの悪い風邪やマイコプラズマ肺炎である疑いがある場合、咳に注目をするようにしてください。

1、最初は痰を伴わない咳である

通常の風邪であれば病気の初期段階から喉の痛みと共に痰を伴う咳が出ることがあります。

マイコプラズマ肺炎の場合、初期段階では痰を伴わない咳がほとんどです。痰が出る咳がでてくるとしても、既に解熱もして、身体的負担もだいぶわやらいだタイミングです。

2、他の症状に比べて遅れて始まり、他の症状より長引く

マイコプラズマ肺炎の咳は、他の症状に比べて遅れて始まり、熱が下がった後でも長期に渡って続くという特徴があります。その期間は実に3~4週間にも及び、比較的長い期間咳の症状がみられます。

3、夜間に集中する

マイコプラズマ肺炎の咳症状は、日中に比べて夜間に集中して出ることが多いされています。

おかしいな?と思ったら病院へ!マイコプラズマ肺炎の検査と治療

風邪にしてはなかなか治らない…。そんな時はマイコプラズマ肺炎の可能性もあります。

体の不調を感じたら無理をせず、医療機関を受診しましょう。

マイコプラズマ肺炎の診断は難しい

マコプラズマ肺炎は、症状が風邪に似ている上に、聴診器で呼吸の音を聞いただけでは断定ができません。

マイコプラズマ肺炎の確定診断には血清診断が一般的です。

血清診断とは、ペア血清といって「病気を発症した時期」と「最初に採血してから2週間ほど経った時期」の2回採血をし、マイコプラズマ抗体の上昇をみます。

抗体の上昇値が4倍ほどあればマイコプラズマ肺炎であると診断できます。

しかし、血清診断では確定診断まで少なくとも2週間はかかるため、最初の採血の時に、マイコプラズマ抗体が通常時の320倍以上、あるいは160倍以上であればマイコプラズマ肺炎と診断をすることも。

より確実性が高いのは2回採血をとるペア血清になります。

近年、マイコプラズマ肺炎の診断において、PCR法という迅速診断を取り入れている医療機関もでてきました。

採取した検体から遺伝子を目で確認するため正確性も高いのですが、実施可能な医療施設が限られているという側面があり、現状ではまだ一般診療にまでは浸透していません。

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治療は抗菌薬による薬物治療が基本

マイコプラズマ肺炎は、抗菌薬による薬物治療が基本です。

基本的に市販薬では効果がないため、病院の処方薬を使用します。

抗菌薬の中でも、ペニシリン系やセフェム系のなどの薬剤は効果がないため、マクロライド系、テトラサイクリン系、二ューキノロン系の薬剤が使われれます。

マイコプラズマ肺炎の治療薬としては、マクロライド系の抗菌薬が一般的でした。

しかし、近年マクロライド系薬剤に対して、肺炎マイコプラズマが抗体を持つようになったために、テトラサイクリン系であったり二ューキノロン系が処方されるケースがみられます。

実際に病院で処方される治療薬は、

【マクロライド系 薬剤例】

エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン など

【テトラサイクリン系 薬剤例】

ミノサイクリン、ビブラマイシン など

【二ューキノロン系 薬剤例】

クラビット、オゼックス など

が多いでしょう。

これらの薬には副作用を伴う場合もあり、特に子どもの過剰な服用に関しては、骨の発達に影響を受けたり、歯が黄色くなったりする事例も。また、お腹をくだしやすくなったり(下痢)、体内のいい菌まで殺してしまうこともあります。

成人、子ども、妊娠の有無、他に薬を服用しているかなど、状況は人それぞれ違います。

どのぐらいの期間なら服用しても大丈夫なのか。また、どの薬なら飲んでも大丈夫なのかなど、医師や薬剤師としっかり相談をして処方をしてもらいましょう。

自然治癒にはリスクを伴います

抗菌薬を飲みたくないから自然治癒ができないものか?

こう考える人も少なからずいるようです。

結論からいうと、マイコプラズマ肺炎は自然治癒ができるという医療従事者もいます。

しかし、それにはもともと免疫力が高い体力があるなどの条件がつきます。

更に、肺炎マイコプラズマは市販薬では効かないほどの強さを持つ細菌であることや、重度の合併症を引き起こす可能性もあります。

自然治癒にはリスクがともなうため避けましょう

ただし、妊娠中の方は、状況に応じて治療を選択する必要があります。

妊婦中は飲める薬に制限があり、抗菌薬を飲めません。あまりに症状がひどい場合は、安全で弱い抗生物質を使って治癒を促すこともありますが、臨月の場合はできる限り薬の服用は避けたいところです。

症状の程度によって対処は異なるので、自己判断は避けてしっかり医師と相談するようにしましょう。

子どもが感染した時の出席停止や予防について

もしも子どもがマイコプラズマ肺炎にかかったら、幼稚園・保育園や小・中学校など、どのぐらいの期間休園、休校させればいいのか気になるところです。

出席停止期間は、学校保健安全法をはじめとした法律が基準になっています。

マイコプラズマ肺炎は、診察をしてもらった医師や学校医に、感染させる恐れがないから登校・登園してよいという許可が出るまでは出席停止をするようにしてください。

また、幼稚園や保育園の場合、各園や自治体独自の取り決めがある場合もあります。

通っている幼稚園・保育園、または各自治体の担当窓口に確認をするようにしてください。

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感染症はなにより予防が大事です

感染症において最も大事なことは感染源から身を守ることです。

マイコプラズマ肺炎の原因となる肺炎マイコプラズマに感染しないためにしっかりとした予防をしましょう。

感染症の主な予防法は、4つあります。

1.感染患者との濃厚な接触を避ける

2.マスクの着用

3.手洗い・うがい

4.免疫力を高める

まず一番大切なことは、感染患者に接触をしないこと。

菌の感染源との接触を断ってしまえば感染を避けることが出来ます。

しかし、学校生活の中や会社での業務、感染者が家族であるなど、接触を避けることが難しい場合も多々あります。

そんな時は、マスクで菌が体内に入るのを防ぎましょう。そして、口腔内を洗浄するためにうがいをします。

日々の生活の中では、いつどこで菌に接触するか分かりません。丁寧な手洗いで接触した菌を洗い落としましょう。

免疫力を高めることも大事です。免疫力を高めるのに効果的なのが、腸内環境を整えること。

水分・食物繊維・乳酸菌飲料やヨーグルトなどをしっかり摂ることで腸内環境が整い、免疫力アップに繋がります。

おわりに 〜年々増えるマイコプラズマ肺炎患者〜

かつてマイコプラズマ肺炎は、4年周期で流行を繰り返す傾向があったために「オリンピック熱」などとも呼ばれていました。しかし、その傾向は崩れつつあり、2000年以降は患者数が増加の一途をたどっています。

2011年と2012年に連続して大流行したり、子どもだけではなく大人の感染者も増えたりと、これまで考えられてきた特徴を崩す変化が見られているのです。

2015年11月の国立感染症研究所によると、3週連続でマイコプラズマ肺炎患者が増加しており、2012年の大流行の時以来の高い発症率だという発表がありました。

全国的に流行の兆しをみせており、特に、東京・神奈川の首都圏を中心に感染が広がっていると、テレビ朝日・報道ステーションをはじめとした各メディアでも報道がされました。

「子どもの病気だから」と油断できません。子どもも大人も関係なく、マイコプラズマ肺炎の流行がみられる冬は、私たちの免疫力が低下しやすい時期でもあります。

保護者の方々をはじめ、学校関係者も含めた対策で、マイコプラズマ肺炎に負けない冬にしましょう。