子どもの発達障害の種類・症状を知ろう!〜発達障害を正しく理解するために〜

子どもの発達障害を疑いはじめれば、悩みや不安は募るばかり。コミュニケーションが苦手、好きなことには夢中になれるのに・・うちの子、もしかしてちょっと変?と感じたら、早期に適切に対処し、正しく理解してあげることが大切です。

発達障害は、自閉症や学習障害、ADHDなどを含む脳機能における障害です。

 

発達障害は発達障害支援法において次のように定義されています。

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの

出典:

日本では1980年代に登場した概念で、最近では、大人同様、子どもの発達障害に関する情報や扱う医療機関も増えてきました。

 

発達障害を持つ子どもはコミュニケーションや対人関係を築くのが苦手で、しばしば日常生活に支障をきたしてしまいます。他にも言葉の遅れ落ち着きのなさ強いこだわりなどの特徴がみられ、知的障害を伴う場合もあります。

 

文部科学省が2012年に行った調査では、通常学級の小中学校に通う生徒のうち、約6.5%の生徒に発達障害の可能性があることが報告されました。

 

発達障害は外見にはわかりにくい障害です。そのため、学校では自分勝手な子、困った子とみられてしまい、親もついつい叱り過ぎてしまったり、自分のしつけのせいにしてしまいがちです。

発達障害は生まれつきの特性

発達障害は、教育や環境のなかで発症するものではありません。

現在のところ、なぜ発達障害が起きるのかは解明されていませんが、生まれつきの脳の機能不全でであるため、親のしつけが原因で生じるものではないとされています。

 

また、一概に発達障害といっても症状や程度はさまざまです。その理由は、発育環境や外的要因によって症状にも変化が生じるからです。言い換えれば、生まれつきの脳の機能不全がどのような症状となってどの程度あらわれるかは、子どもを取り巻く環境によっても左右されます。

 

そのため、医師にとっても判断が難しく、診察する医師によっては異なる診断名を告げることもあります。また、発達障害の診断基準に沿わない場合などはグレーゾーンといわれることもあります。

 

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発達障害の症状・特性

大きく分けて、発達障害は広汎性発達障害学習障害ADHDの3つに分類されます。

また、発達障害というと、自閉症やアスペルガー症候群といった用語をよく耳にしますが、これらは広汎性発達障害に属する症状のひとつです。発達障害の子どもはそれぞれの特性を併有していることも多く、同じ発達障害でも症状がバラバラなのが特徴です。

広汎性発達障害

広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)とは、発達障害を広義に表現した名称です。

自閉症・アスペルガー症候群・トゥーレット症候群・小児期崩壊性障害および特定不能の広汎性発達障害の4つが含まれます。コミュニケーション能力や社会適応性における異常が見られ、広汎性発達障害のなかでも、知的障害を伴わない場合は高機能広汎性発達障害と呼ばれます。高機能とは「知的発達の遅れがない」ことを指します。

自閉症

自閉症は、3歳までに言葉の遅れパターン化した興味・こだわり対人関係やコミュニケーションの異常などが見られる障害です。次のような特徴がよく見受けられます。

  • 人と接したり、友達を作ることが苦手
  • 目を合わせることができない
  • 他人に共感したり、相手の表情や感情を読み取ることができない
  • 初めての場所や環境の変化に対して極度な不安を感じる

アスペルガー症候群

自閉症の特徴に似ていますが、自閉症のなかでも言葉の遅れがない状態を指します。アスペルガー症候群の子どもは人とのやり取りが苦手、あるいは正直(素直)すぎて空気が読めないなどの特性があり、次のような行動が見られます。

  • 一人遊びが多い
  • 興味の幅が狭い反面、興味のあることに対しては没頭しやすい
  • 知覚が敏感
  • 言葉の裏を理解できず、冗談などが通じない
  • 日常行動がパターン化し、強いこだわり(強迫性)がある

     

     

トゥーレット症候群

激しく首を振る、何度も咳払いをするなど、一般にチックといわれる症状のうち、複数が見られ、かつ1年以上続くものを指します。身体の動作に関する運動性チックと、声に関する音声チックに分けられ、本人の意思がないにかかわらず出てしまうのが特徴です。トゥーレット症候群には以下のような行動が見られます。

  • 過度なまばたき
  • 激しく首や腕を振る
  • 白目をむく
  • 風邪でないにもかかわらず咳払いをしてしまう
  • 「フン、フン」というように鼻をならす
  • 奇声を発する
  • 「バカ」「死ね」などの攻撃的な言葉あるいは卑猥な単語を繰り返し発する

小児期崩壊性障害

2歳まで正常に発育した後で、行動に退行が見られる症状を指します。同じ行動を目的なく繰り返し行うなど、自閉症に近い特徴も見られますが、次にあげる特性のように、言語、排便のコントロール、運動能力、社会的行動に能力低下があらわれるのが特徴です。

  • 言葉が出てこない(有意味語消失)
  • 運動能力が退化し、遊ぶことができない
  • 対人関係や社会性に異常がみられる
  • おもらしをしてしまう

特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症)

特定不能の広汎性発達障害は、広汎性発達障害の傾向がありながらも、年齢や診断基準等が合致せず、症状を特定できない場合や軽度の場合に用いられています。

自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラムは広汎性発達障害とほぼ同義とされています。

 

これまで、自閉症の診断基準には、行動特性のほか、知的障害の有無が大きく関わっていました。そのため、自閉症症状があるにもかかわらず、知的障害がなく症状も軽いゆえに、精神病やパーソナリティの問題とみなされてしまうケースもあったのです。

 

その後、症状の度合によって、アスペルガー症候群や、特定不能の広汎性発達障害といった、より細かい分類が作成されましたが、現在では、知的障害の有無を問わず、さらにこれまでのサブカテゴリーを統合して、自閉症的特性を広くひとつの連続体としてとらえる概念として自閉症スペクトラムが使われています。

学習障害

学習障害とは、全体的な知的発達に遅れはないものの、読む、書く、話す、聞く、計算する、推論するといった特定の能力に著しい困難が見られる障害です。学習能力が低いわけではなく、他は普通なのに算数だけが極端に苦手というように、能力に偏りがあるのが特徴です。ディスクレジアと呼ばれる読字障害はこの学習障害の一環に相当します。

ADHD

ADHDは注意欠陥多動性障害ともいわれています。ADHDの特徴は不注意多動性衝動性の3つにカテゴライズされており、次のような行動特性が複数見られる、あるいは学習障害など他の症状を併せ持っていることもあります。

  • 物忘れ、簡単なミスが多い
  • 集中力が持続せず、外部からの刺激に敏感で気が散りやすい
  • 話しかけても聞こえていないかのようにぼーっとしている
  • 指示に従ったり、やるべきことをやり遂げることができない
  • 順序立てて行ったり片付けが苦手
  • 落ち着きがなく、貧乏ゆすりや絶えず体をくねくねさせていたりする
  • 授業中立ち歩いたり、教室を離れてしまう
  • 走り回るなどの過度な動作が目立つ
  • 相手が話し終えるのを待てずに一方的に話し始めてしまう
  • 思ったことをすぐ口にしてしまう
  • 他人の邪魔をしたり列に割り込んだりしてしまう
  • 些細なことですぐカッとしたり、乱暴・反抗的な行動が目立つ

吃音症

吃音は、滑らかに話すことができず、「わわわわ私は・・・・」のように最初の音を繰り返す、「わーたしは」のように引き伸ばす、あるいは言葉なかなか出てこず「・・・・私は」のように、言葉が詰まってしまう症状です。どもるとも言われています。

 

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発達障害の治療は子どもに合ったものを

発達障害を根本的に治療するための薬はありません。

 

現在、治療として病院や診療施設で中心的に行われているのは、心理療法行動療法です。例えば、コミュニケーションスキルを改善するためにロールプレイ形式で話し方を学んだり、対話の中で自分の行動の何が問題なのかを見つけ出して改善させる、といった治療が行われています。

 

他にも、発達障害の子どもを対象とした療育機関では、SST(Social Skill Training)と呼ばれる子どもの社会性を育むことを目的としたトレーニングや、学習障害を持つ子どものために放課後等デイサービスで症状に合わせた教育支援が行われています。

 

診察同様、早い段階から療育を始めることにより、高い効果が期待されています。

 

また、自閉症の子どもにドーパミン拮抗薬や中枢興奮薬を処方する、ADHDの子どもにはノルアドレナリンやドーパミンを補う薬を処方するなど、症状の度合に応じて薬物療法が適用されることもあります。、ただし、基本的には、家庭や集団生活での適応性に著しい問題がみられる場合や、本人、周囲の人に危険が及ぶ場合、二次障害を発症する可能性が高い場合などに限られ、現状、メインの治療法ではありません。

 

発達障害の治療は根本的に治療するものではなく、症状を緩和させることを目的としています。言い換えれば、早くから診察に通ったり、子どもの特性を理解し、それに適した育て方や接し方をすることで、成長とともに症状を改善させていくことは可能なのです。

二次障害には薬で緩和させることも

一方、注意しなければならないのは、うつ病や不安障害など、発達障害が原因で生じる二次障害です。

 

発達障害の子どもは、何度も注意されて自尊心を失い抑うつ状態になったり、いじめの対象になってしまうなど、環境に適応できず周囲からも正しい理解を得られないために、精神不安パニックパーソナリティ障害睡眠障害を発症してしまい、不登校や引きこもりになってしまう傾向があります。特に子どものうつは大人とは違いイライラ感を発症させやすく、暴力的・反抗的な行動に発展することもあります。

 

幼いうちに発症した二次障害は後の人格形成にも大きな影響を及ぼします。

 

二次障害を発症した場合、抗うつ薬や不安・興奮を鎮める抗精神病薬など、症状に適した薬を投与することで治療することもあります。ただし、精神的なストレスを軽減させる効果がある分、副作用が懸念されるのも事実です。

 

二次障害を予防するためにも、そして発達障害によって本人が苦しまないためにも、家族や周囲が適切な対応を心がけ、子どもの自己評価や自己形成を妨げないことが重要です。

お子さんの特性に合わせた接し方を

発達障害は複雑で人によって程度や症状もさまざまです。よって、子どもの特性に合わせた接し方をとることが緩和への鍵となります。

 

最近では、発達障害の子どもを持つ親のためのペアレントトレーニングを実施する施設も存在します。障害の理解や接し方を学ぶことで、子どもが抱える不安やストレスを和らげ、また親自身の悩みも解消していくためのトレーニングです。

叱り過ぎず、褒めて伸ばす

世の中には、アンバランスな反面、特異な能力を生かして活躍している人がたくさんいます。

発達障害の子どもを育てるコツは、子どもの特性を理解し、良いところは最大限伸ばしてあげることです。

 

同時に、毎日の生活のなかで物事の善悪を理解させてあげることも重要です。特に他人に迷惑をかけてしまう場合には、やって良いことと悪いことの区別をしっかり教えてあげることで改善が期待できます。

 

矯正を試みるのではなく、理解してあげることが治療に繋がるのです。

 

さいごに~親としての正しい理解を~

子育てをする上で、子どもの障害は大きなテーマです。

もし自分の子が発達障害の診断を受けたら、そのショックは相当なものであることは想像に難くありません。

 

特に、これから小学校に入学する段階であれば、通常級に入れるべきか、それとも特別級に行かせるのが子どものためなのかなど、親にとっての悩みは尽きないものです。気になる方は、お近くの小児科や発達障害支援センターにご相談ください。

 

一方で、気に留めておかなければならないのは、子どもの行動や特徴が発達障害の特性に多少一致するからといって、すぐに子どもの障害を疑ってしまったり、浅薄な考えに至ってはいけないということです。

 

発達障害は、他の子に比べて顕著な症状がある場合に可能性が生じるものです。些細なことで自分の子どもを障害者扱いしてしまえば、むしろ親の問題に発展し、誤った育て方にも繋がります。

 

周囲の理解とサポート、そして本人の個性や能力を伸ばしてあげることが大切です。

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