普段からおりものをチェックしておこう!
女性の健康を計るバロメーターの1つとして、大切な働きをしているおりもの(下り物)。
おりものは子宮頸管や膣内の分泌物などが混ざり合った粘り気のある液体で、膣内の健康を保つために常に分泌されています。
おりものは、膣内への細菌や雑菌の侵入を防く自浄作用があり、膣の潤いを保ったり、受精の時には精子を守りながらスムーズに卵子にたどり着くための受精のサポートをするなど、女性の身体を守るために大切な役割を担っています。
おりものは女性ホルモンや体調の変化に影響を受けやすいもの。
特に妊娠すると、多くの人がおりものの変化に気づきます。
おりものの変化は、妊娠初期を知る手がかりになったり、隠れている病気の早期発見につながることもあるため、日頃からおりものの状態をチェックすることが大切です。
健康なおりものの状態
まずは、健康なおりものの状態をチェックしてみましょう。
量:生理周期や年齢によって個人差がありますが、量はショーツやパンティライナーでカバーできる程度。
色:透明、薄い乳白色、薄いクリーム色。外気に触れることで黄色になることもあります。
におい:ほぼ無臭、少しすっぱい臭いがする程度。
質:さらっとしている、少し粘り気がある。
これらの範囲内であれば、おりものは特に問題なく健康である場合がほとんどです。
日頃から注意してみることは少ないかもしれませんが、変化に気づくためにも健康な状態を知っておきましょう。

妊娠するとおりものは変化します
妊娠は、受精卵が子宮内膜に根つく着床によって成立しますが、着床するとおりものの状態にも変化が現れます。
通常、おりものの量は排卵期に最も多くなり、排卵後はいったん減少します。
ところが妊娠している場合は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が大量に分泌されるため、おりものの量が減ることはなく、排卵期と同じ量が続くことが見られます。
妊娠すると身体にはさまざまな変化が起こりますが、おりものも、量、色、におい、質などにも変化が起きるため、おりものの変化は妊娠の兆候を見るひとつの目安になります。
ただし妊娠中のおりものの中には、問題のないものと危険なものがあるため、おりものの変化と注意点を知っておきましょう。
妊娠初期からのおりもの
- 量が増える
- 色は多くは透明か白。黄色や茶色になることもある
- においは弱まる
- 質はサラサラになる
量が増える
おりものは、もともと膣内への細菌や雑菌の侵入を防ぐ自浄作用がありますが、妊娠すると免疫力が低下することにより、通常より膣内の細菌が繁殖しやすくなります。
そのため、胎児を細菌から守るためにおりものの量が増え、雑菌の侵入を防いでいます。
中には量が少なくなる人もいますが、妊娠するとおりものの量は増える傾向にあります。
色は透明か白。茶色は心配ないことが多い
妊娠すると、おりものの色はほぼ無色の場合が多いのですが、白っぽくなる、黄色っぽくなる、茶色っぽくなるなども見られます。
中でも気になることが多い茶色のおりものは、妊娠中によくみられます。
茶色のおりものは、過去に体内で起こった出血が酸化した色のため、特に心配はいりません。
ただし、おりものの色にも個人差があり、この色になったら妊娠しているというものではないため、1つの目安にしましょう。
おりものの色は、白~茶色っぽいものの範囲は心配はいりませんが、お腹の張りや痛みがある場合は注意が必要です。
においは弱まる
通常は、膣内は酸性の状態ですが、妊娠初期には酸性度が弱まるため、においはほぼ無臭か、弱くなることが多いです。
少しすっぱいにおいの範囲は正常ですが、においがきつくなったり、生臭いなど悪臭がする場合には、細菌感染などの可能性があります。
質はサラサラになる
妊娠前のおりものは、半透明から白っぽい色で少し粘り気がありますが、妊娠初期のおりものは、量が増えるとともに、粘度が少なくなります。
個人差はありますが、比較的サラサラになり、水っぽくなることが多くみられます。
妊娠後期にも変化がみられることも
妊娠中のおりものは、妊娠初期から後期まで、比較的量が多いのが特徴です。
妊娠後期になると、色が少し黄色っぽくなったり、粘性が強くなったりすることもあります。
妊娠中のおりものの色やにおいについては多少の個人差がありますが、気になる症状や異変を感じた場合はかかりつけ医に相談しましょう。
妊娠中に注意すべきおりもの
ピンクや赤が混じっている場合は流産に注意
着床の際の出血(着床出血)の場合は、血が混ざったようなおりものが少量出ることがあります。これは妊娠超初期の症状で見られることもあり、2~3日ですぐ治まるため、あまり心配はいりません。
おりものの状態が心配な場合は、早めに産婦人科で確認しましょう。
基本的におりものの色がピンク、赤の場合は、鮮血が混じっているということです。
特に妊娠中の場合、ピンクや赤は茶色と違って血が酸化していない状態で、過去の出血ではないため、流産や病気などの可能性があります。
鮮血が出ている場合は、必ず産婦人科へ連絡してください。
妊娠後期に大量のおりものは破水の可能性
妊娠後期に以下のような症状がある場合は、おりものではなく破水している可能性があります。
・安静にしていても流れ出てくる
・甘酸っぱい、または生臭いにおいがする
・色は無色透明、粘性はなく水っぽい
パンティライナーや下着でカバーできないほど大量に出ている場合は、すぐに産院に連絡しましょう。
陣痛のサイン「おしるし」
妊娠後期は、妊娠初期と同様、体内に細菌が侵入しないようにおりものの量が増えます。
・卵の白身のような粘性が強いおりもの
・茶色のおりもの
・血が混ざったようなおりもの
これらがあった場合、「おしるし」と呼ばれ、数日中に陣痛がくるお産のサインです。出産の準備をしましょう。
感染症や病気の可能性
妊娠中は細菌感染にかかりやすいため、膣内の細菌感染の検査をします。
感染症にかかっている場合は、早期発見により分娩までに適切な治療をすることで、出産時の母子感染を防ぎます。
・濃い黄緑、黄緑、茶褐色、灰色
・白くてポロポロしたカッテージチーズのような状態
・強い臭い、腐敗臭
・かゆみや痛みがある
・血が混ざっている
上記のようなおりものがみられたら注意が必要です。
クラミジア感染症、カンジダ膣炎などの感染症や子宮の病気のサインであることが多いです。
感染症の場合は、再感染を防ぐために、パートナーも一緒に検査、治療をすることが必要な場合があります。
妊娠中の病気は、早期発見・治療が大切なため、おりものの変化やかゆみの症状など、気になることがあれば自己判断せず医師に相談しましょう。
おりものに関する病気の詳しい内容やケアの方法は関連記事をご覧ください。
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さいごに
おりものは身体のナビゲーターとして、色々なことを教えてくれます。
おりものは他の人と比べることができず、病気かどうかの自己判断も難しいものです。
そのためにも、健康なおりものと、注意すべきおりものを知っておき、いつもと違うな…と感じたら、妊娠、または病気の可能性があるということを心にとめておきましょう。
特に妊娠中のおりものの変化は、赤ちゃんに影響することもあるため、放置せずなるべく早く医師に相談しましょう。