妊娠初期の出血~心配のいらない出血とケアしたい出血について〜

妊娠初期の出血は多くの妊婦が経験するものですが、出血の原因はさまざまあり、心配のいらない出血と注意が必要な出血があります。突然の出血は不安になりますが、慌てず正しい対処が大切です。妊娠初期の出血について解説します。

はじめに:妊娠中の子宮は出血しやすい状態にある

妊娠中に何かと不安が多い不正出血。

とっさに赤ちゃんは・・・と動揺してしまうことも多いのですが、妊娠中は子宮の変化により普段より出血しやすい状態になるため、多くの人が出血を経験します。

妊娠した子宮は胎盤に十分な栄養を送るために血液が増えますが、特に妊娠初期の2~4か月頃は、胎児を育てていく場所としての子宮がまだ完成していないため、ちょっとした刺激や傷でも出血しやすくなるのです。

とはいえ、出血には必ず原因があります。

心配のいらない出血もありますが、トラブルによる危険な出血もあるため、原因や対処法を知っておくことが大切です。

今回は妊娠初期に起こりやすい出血の原因と対処法を解説します。

 

妊娠初期の心配のいらない出血

妊娠初期によくある出血には、特に心配の必要がないものがあり、主に以下の原因があげられます。

慌てないためにも、どのような原因で起こるかを知っておきましょう。

 

⒈着床出血(ちゃくしょうしゅっけつ)・月経様出血(げっけいようしゅっけつ)

着床とは、精子と卵子が融合してできた受精卵が子宮内膜に根つくことをいい、妊娠は着床によって成立します。

ただし受精してすぐに着床するわけではなく、受精から着床までは1週間ほどかかります。

 

着床出血は、受精卵が子宮内膜にもぐり込む際に、子宮内膜を少し傷つけるために出血が起こるもので、正式には月経様出血といいますが、わかりやすく着床出血といわれています。

 

着床出血の特徴

期間…生理予定日1週間前頃から数日間

…出血は生理よりずっと少量でティッシュにつく程度

…おりものに混じって、茶色っぽいもの、ピンク、鮮血など

日数…1日程度から2~3日以内で止まる

 

着床出血の時期は、排卵日の約1週間後~生理予定日の数日前頃か当日とされています。

つまり、生理予定日1週間前頃から数日間起きるため、生理と間違えやすく、あとで着床出血だったとわかることも多いです。

 

また、着床出血が全くない人もいるため、出血がないからといって妊娠していないわけではありません。

 

着床出血と生理の見分け方

生理と着床出血は間違えやすいのですが、見極めの目安として基礎体温があります。

 

体温は、排卵時には高温期になり、受精が起きなければ生理期に向って徐々に下がっていきます。そのため、高温期が2週間以上続いていれば妊娠していると考えられます。

 

妊娠の判定については、妊娠検査薬で調べられますが、着床出血のあとすぐには、まだ妊娠時のホルモン(hCG)が検出されません。妊娠検査薬の使用は、着床出血から2週間後に使えると覚えておきましょう。

 

着床出血は着床過程で起きる生理的な出血のため、通常心配はいりません。

 

⒉絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

絨毛とは、妊娠初期に小さな赤ちゃん(胎芽)から子宮内膜にかけて伸びていく突起のことで、絨毛が子宮内膜に入り込んで胎盤が作られます。

その過程で血管が破れて出血が起こり、子宮を包む絨毛膜の外側に血液がたまっている状態が絨毛膜下血腫です。

 

通常、胎盤が完成される妊娠4~5か月の頃には治ります。出血やお腹の張りがある場合もありますが、自覚症状が無い場合もあります。

絨毛膜下血腫は症状が治まれば特別な治療は必要なく、赤ちゃんへの影響もありません。

 

ただし出血が続いてお腹の痛みが治まらない時は、切迫流産の可能性もあるため、すぐに受診しましょう。

 

⒊子宮膣部びらん(しきゅうちつぶびらん)

びらんとは膣や子宮口がただれている状態です。

少しの刺激でも出血しやすく、セックスや内診などで出血することもあります。

 

妊娠中に限らず女性の不正出血の原因として多く見られ、おりものに血が混じったり、少量の出血が見られることがあります。

 

出血は自然に止まり、お腹の張りや痛みは見られないため、ほぼ心配は要りませんが、妊娠中は自己判断せず産院に連絡しましょう。

 

⒋子宮頸管ポリープ(しきゅうけいかんぽりーぷ)

子宮頸部の粘膜が増殖してできる良性の腫瘍です。

痛みは無くほぼ無症状ですが、ポリープから出血することがあり、おりものに血が混じっていることで気付くことが多いです。

ポリープが出来た場所によっては、感染症や早産などの原因となることがあるため、除去などの処置が必要な場合もあります。

大きな問題がなければ、妊娠中は基本的に経過観察となります。

 

妊娠初期の出血の約7~8割はこれら4つの出血のいずれかが多く、妊娠、出産に大きな影響のないものですが、もちろん油断は大敵です。

念のため出血があることを医師に伝えましょう。

image by Photo ac

妊娠初期のトラブルによる危険な出血

妊娠初期の出血の中には、母体や胎児に危険が及ぶサインになるものがあります。

主に3つの原因があげられています。

 

⒈切迫流産・流産

流産には、切迫流産と早期流産があります。

異なるものなので、理解しておきましょう。

切迫流産

切迫流産は、妊娠22週目未満に子宮収縮が起きて、流産になりかけているという状態です。

切迫流産は流産ではありません。

 

茶褐色や赤色の出血が見られますが、出血よりも、胎児の心拍がしっかりしていれば妊娠の継続は可能です。

安静に無理をしないようにし、医師の指示通りに注意して過ごしましょう。

 

早期流産

早期流産は、妊娠12週より前に妊娠が継続できなくなることです。

 

■少量の出血がダラダラと続く

■生理痛のような腹痛や腰痛、お腹が張る

■急に大量の出血

 

などが見られたら流産の可能性があります。

 

初期の流産の原因のほとんどは胎児側の染色体異常が見られます。

特に12週未満の初期の流産は避けられないことがほとんどで、特効薬や治療法はありません。

 

妊娠初期の流産は全妊婦の約15%ともいわれ、多く見られることも事実ですが、決して母体側の責任ではありません。

 

⒉異所性妊娠(いしょせいにんしん)・子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)

異所性妊娠とは、受精卵が子宮以外の場所に着床することです。

着床する部位によって、卵管妊娠、卵巣妊娠、腹膜妊娠、頸管妊娠の4つに分けられ、98%以上が卵管妊娠が占めています。

 

原因はクラミジアやトラコマティスなどの細菌感染症や以前に腹部手術をしているなどがあげられます。

 

子宮外に着床しても胎盤の形成がうまくいかないのでほとんどが流産という結果になります。

注意すべきは、卵管などに着床した受精卵は、卵管では赤ちゃんが育つスペースが無いため、放置すると卵管が破裂し母体に命の危険もあります。

 

■大量の出血

■腹部の激痛

■冷や汗、顔が青ざめる

 

これらが見られたらすぐに受診しましょう。

 

⒊胞状奇胎(ほうじょうきたい)

胞状奇胎は、胎盤のもととなる絨毛細胞が水ぶくれを起こし、ぶどうの実のような水泡状の粒が子宮内に増殖し、赤ちゃんを吸収してしまう病気です。

原因は受精卵そのものに問題があることが多く、赤ちゃんは発育できません。

 

妊娠初期の2~4か月頃に以下の症状が見られます。

 

■茶色いおりもの、少量の出血が続く

■つわりが重い

■生理痛のような下腹部の痛み

■むくみや高血圧、蛋白尿など

 

胞状奇胎と診断された場合、なるべく早く胞状奇胎の摘出をします。

放置すると次回の妊娠が難しくなったり、がんの原因になることもあるため、早めの治療が必要です。

 

 

これら3つの出血は危険な出血のため、早急に診断が必要になります。

出血や腹部の痛みが続いたときは、必ず早めに医師に連絡しましょう。

image byPhoto ac

妊娠初期の出血に気づいたら

出血に気づいたら、以下をチェックしてメモしましょう。

 

  • いつから出血したか
  • 出血の色(ピンク・茶色・鮮やかな赤など)
  • 出血の量(ポタポタかナプキンでカバーできないほどか)
  • 出血と共に排出されてものはあるか(肉片や組織の断片など)
  • におい(悪臭はするか)
  • お腹の張りや痛みはあるか
  • 現在の体調(発熱・吐き気・嘔吐・衰弱などはあるか)

     

     

産院へ連絡してこれらを伝え、受診のタイミングを相談しましょう。

 

妊娠初期には出血しやすいのですが、出血の量も少量で、特に他の症状が無ければ緊急を要することではない場合が多いため、慌てないことが大切です。

 

ただし危険な出血もあるため、妊娠初期に出血した場合は自己判断はせず、必ず医師に連絡しましょう。

女性に関連するQA

ピックアップ特集