「乳幼児揺さぶられ症候群」(揺さぶられっ子症候群)」という言葉はあまり馴染みがないかもしれません。

「乳幼児揺さぶられ症候群」は2002年から母子健康手帳にも記載され、注意が呼びかけられている病気です。

たとえ故意ではなくても、重篤な症状を発症する可能性があります。

しっかりと理解し家族みんなでの注意が必要です。

 

乳幼児揺さぶられ症候群とは?

「乳幼児揺さぶられ症候群」は、英語で Shaken Baby Syndrome (シェイクンベイビーシンドロームSBS)と呼ばれます。

1970年代にアメリカで初めて症例が報告され、日本では1997年の小児科学会で報告されました。

「過剰にあやしてしまうこと」というより、「泣き止まない赤ちゃんに対する虐待」という側面から社会問題にもなり、広く注意が呼びかけられています。

生後6か月くらいまでの乳児になりやすく、激しく揺さぶられる事により脳や神経に深刻なダメージを招きます。

人間の脳は頭蓋骨に覆われていますが、脳と頭蓋骨は密着しているわけではなく隙間があります。

赤ちゃんはこの隙間が大人よりも大きいのが特徴です。

赤ちゃんの頭は体に比べてとても大きいため、首がムチのようにしなり激しく揺さぶられると脳のまわりの血管が切れてしまい脳出血を起こします。

目も同様に網膜が引っ張られて様々な部位で網膜出血を起こします。

その結果として、運動麻痺、言語障害、知能障害、視力障碍、歩行困難などの重篤な神経症状を引き起こし、最悪死に至る場合もあります。

 

揺さぶられ症候群の原因は?

頭部が前後に激しく揺れるほど豪快に揺さぶってしまうと、揺さぶられ症候群を引き起こすことがあります。

■肩をつかんで前後、左右に激しく揺さぶる

■縦抱きにして激しく揺さぶる

■両手で抱え、急激に上げ下ろすことを繰り返す

などは、首の筋肉が発達していない赤ちゃんには決してしてはいけません。

 

揺さぶられ症候群の症状は?

赤ちゃんは激しく揺さぶられると脳細胞が破壊され、脳が低酸素状態になります。

結果以下のような症状になります。

■ぐったりして元気がなくなる

■目の焦点が合なかったり顔色が悪くなる

■ミルクを飲まない

■嘔吐(ウイルス性などと間違いやすい)

■けいれん

■呼吸の異常

■昏睡(強い刺激でも目を覚まさない)

■眠り続ける

などの症状がある場合は、早急な医師への相談と受診が必要です。

 

揺さぶられ症候群の治療法は?

揺さぶられ症候群と診断がついたら、入院、手術に至る場合があります。

手術としては頭蓋内血腫除去術(頭がい骨の中の血のかたまりを取り除く手術です)などを行うことになります。

手術に成功しても後遺症が残る可能性が高く、最悪の場合は死に至ることもあります。

脳内の隙間は1歳半頃までにはなくなっていきますが、3歳頃までは気をつけるべきだと述べる医師もいます。

 

揺さぶられ症候群にならないために

日常の注意点

●抱っこするときは頭と腰をしっかりと支えてあげる

●ゲップをさせるときは軽く背中を叩いてあげる

●たかいたかいなどは、赤ちゃんが笑っているからといって空中で手放さない

●無理に泣きやませようと激しく揺さぶらない

●泣き声が聞こえないようように赤ちゃんの口をふさがない

●兄弟などにも注意を伝えておく

●大人が思う以上にダメージがあることを理解する

なお、以下のようなものは問題のない行為です。

◎赤ちゃんを横向きにゆっくり揺らす

◎膝の上でぴょんぴょんさせる

◎やさしく「たかい、たかい」をする

このような赤ちゃんを「あやす」目的で揺らしたりすることだけでは発症しません。

しかし「たかい、たかい」は空中に投げ出したりすると、赤ちゃんを落下させる可能性があります。

またチャイルドシートやベビーカーなどの揺れは、頭がぐらぐらしなければ問題ありません。

月齢にあったものを使用しましょう。

泣き止まない時は?

○赤ちゃんをタオルや毛布で包んであげる

○だっこやおんぶでリズムをとりながらゆっくり揺らしてあげる

○授乳をしたり、おむつを替えてあげたりする

○暑すぎたり寒すぎたりしないかチェックする

○赤ちゃんの耳の横でビニール袋をガサガサさせると眠りにつきやすい

○掃除機やドライヤーの音は、お腹の中にいる時の心音と似ていることから安心できる

赤ちゃんに激しく泣かれてイライラして・・・ということから思わず激しく揺さぶったために重症となるケースが多いようです。

ニュースなどで問題になっている虐待についても、6割以上に揺さぶられ症候群の疑いがあるとみられています。

生後 1~2 か月頃に泣きのピークを迎え、それには終わりがあり、生後5か月ぐらいにはだんだん収まってきます。

ママも家族も収まってくることを知って、心に余裕を持つことが大切です。

 

おわりに

子供を殴ったり叩いたりすることによって起こる危険性は誰でも知っていますが、強く激しい揺さぶりも大変危険です。

かわいさ余っての過剰なあやしや、一時のイライラが原因で、赤ちゃんの一生にかかわるダメージを残さないよう注意してください。