低用量ピルは女性の味方のホルモン剤!

低用量ピルは女性ホルモンが配合されたホルモン剤です。

日本で低用量ピルが認可されたのが1999年。認可されてから20年近くが経過していますが、ピル普及率はいまだ数%と、諸外国に比べると日本はまだまだピル後進国だといえます。

諸外国に比べて普及率が低い理由に、他の国に比べると認可されてからの日が短いこともあげられますが、低用量ピルに対して正しい知識と認識が浸透していないこともあります。

ピルには避妊だけでなくさまざまな効果があり、現代女性の人生設計をサポートする薬です。

この記事では低用量ピルの効果や副作用、飲み方、入手法など、低用量ピルの疑問を解説します。

低用量ピルの種類

低用量ピルにはさまざまな種類があり、成分や配合量によって細かく分類することもできます。

ピルの中でも含まれる黄体ホルモン成分の種類や開発順によって、第1〜3世代に分類されます。

第1世代の低用量ピルでは黄体ホルモンの「ノルエチステロン」が配合されています。黄体ホルモンが多く含まれているのが特長です。

第2世代の低用量ピルでは、黄体ホルモンの「レボノルゲストレル」が配合されています。第1世代から少ないホルモン量で効果を発揮するように改良されていますが、男性化症状といわれるアンドロゲン作用が発生してしまいます。

第3世代の低用量ピルは、アンドロゲン作用を少なくするように改良され、黄体ホルモンの「デソゲストレル」や「ゲストデン」が配合されています。

種類 メリット デメリット
第1世代低用量ピル ・アンドロゲン作用が少ない ・黄体ホルモン量が多い
第2世代低用量ピル ・黄体ホルモン量が少ない ・アンドロゲン作用が多い
第3世代低用量ピル ・アンドロゲン作用が少ない ・使用実績が短い

1相性ピル・2相性ピル・3相性ピルの違い

低用量ピルは、1周期(28日)の中に含まれるホルモンの量の変化により、1相性ピル・2相性ピル・3相性ピルにわけられています。

1相性ピルでは、21錠の中に含まれる成分が全て同じものです。どの錠剤もホルモン量が同じため、生理日の調整がより簡単になります。

2相性ピルでは、ホルモンの量が2段階に変化します。現在国内で認可されている2相性の低用量ピルはありません。

3相性ピルでは、ホルモンの量が3段階に変化します。徐々に黄体ホルモンの量を増やすことで自然なホルモンの変化に近いものになっています。そのため不正出血がでにくい特長があります。

21錠と28錠の違いは?

同じ種類のピルでも21錠タイプと28錠タイプがあります。それぞれ摂取する成分や量に違いはありません。

21錠タイプはすべてに成分が含まれているシート、28錠タイプは成分が含まれている21錠+偽薬(成分が含まれていない)7錠のシートです。

飲み忘れを防ぎたい場合は、偽薬を含め毎日服用する28錠が向いています。服用する薬の数を極力減らしたい場合は21錠が向いています。

低用量ピルの種類のまとめ

製品名 ホルモンの種類 ホルモン量別の分類 剤形
マーベロン 第3世代 1相性ピル 21錠/28錠あり
トリキュラー 第2世代 3相性ピル 21錠/28錠あり
アンジュ 第2世代 3相性ピル 21錠/28錠あり
ラベルフィーユ 第2世代 3相性ピル 21錠/28錠あり
シンフェーズ 第1世代 3相性ピル 28錠のみ
ファボワール 第3世代 1相性ピル 21錠/28錠あり
ルナベルLD 第1世代 1相性ピル 21錠のみ

低用量ピルの効果とは?

低用量ピルには、卵胞ホルモンの「エストロゲン」と黄体ホルモンの「プロゲステロン」の二種類の女性ホルモンが含まれています。

この女性ホルモンの働きにより身体が妊娠したと錯覚することで、排卵を促すホルモンの分泌が抑制され排卵が止まります。

排卵が止まることで、避妊や排卵にまつわる生理のトラブルに効果を発揮します。

低用量ピルの避妊効果

ピルの代表的な効果は避妊です。ピルを正しく服用すれば排卵が抑制されるため、ほぼ完全な避妊が期待されます。

また、低用量ピルをアフターピル(緊急避妊)として避妊の効果を必ず医師に相談しましょう。

避妊以外の効果

低用量ピルには避妊以外にも以下のようなさまざまな効果があります。

◼︎生理痛を軽くする
◼︎月経困難症の症状を軽くする
◼︎生理の出血量を少なくする
◼︎子宮内膜症に伴う生理痛を軽くする
◼︎子宮内膜症の再発予防
◼︎卵巣癌のリスクを下げる
◼︎子宮体癌のリスクを下げる
◼︎ニキビを改善する効果がある

生理日の調整

ピルの添付文書に効果として明記されているわけではありませんが、「ピルを飲んでいる間は生理が来ない、ピルの服用を止めると生理が来る」というピルの作用を利用して、生理日を調整することが可能です。

ただし、生理日の調整を100%保証するわけではありません。

生理不順だったり体調不良であれば調整することがさらに難しくなるため、直前のピル服用開始ではなく、生理を調整したい2〜3か月ほど前から、医師と飲み方を相談して低用量ピルを服用し周期を整えておくと良いでしょう。

 

低用量ピルの副作用は?

低用量ピルに含まれるホルモンはもともと体に存在するホルモンです。また、含まれている成分の量はごくわずかなので、大きな副作用はほとんどないため、比較的安全な薬ということができます。

しかし、薬である以上副作用が全くないわけではありません。

ピルを飲み始めた頃は、頭痛、吐き気、乳房の張り、腹痛など妊娠初期に感じられるような小さな副作用がみられることがあります。ピルを服用すると身体が妊娠している状態と同じような状態になるためです。

通常は1シート目が終わる頃には身体も慣れてくるため、副作用もほとんど感じなくなっていきます。

血栓症のリスクに要注意

ピルの服用で気をつけたいのが血栓症です。

ピルの服用に関わらず血栓症のリスクは誰にでもありますが、ピルに含まれるホルモンには血液が固まりやすくなる作用があるため、ピル服用で血栓症になるリスクが高くなるのです。

以下の症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。初期症状だけでは血栓症の診断をすることは難しいため、ピルを服用している旨をしっかり申告しましょう。

◼︎激しい腹痛
◼︎激しい胸痛、息苦しい,押しつぶされるような痛み
◼︎激しい頭痛
◼︎見えにくい所がある,視野が狭い,舌のもつれ,失神,けいれん, 意識障害
◼︎ふくらはぎの痛み,むくみ,握ると痛い,赤くなっている

不正出血は副作用?

ピルを飲み始めに、不正出血(生理でもないのに出血が起こること)がおこることがあります。

これは薬の作用に対する身体の自然な反応であるため、過度に心配することはありません。基本的にはピルを飲み続けて身体が慣れてくると不正出血もおさまります。

飲み始め以外でも、飲み忘れや性行為、他の薬の影響により不正出血が起こる可能性もあります。ピルの作用や飲み方によって起こる不正出血は問題ないケースが多いですが、気をつけなければいけないのは病気が原因となって起こる不正出血です。

重度の腹痛や腰痛がある、不正出血が長期にわたる場合は一度病院で検査を受けましょう。

ピルを飲むと太るのは副作用?

ピルの服用と体重増加に直接的な関連性はありません。

しかし、実際にピルを服用して太ったという声があることも事実です。ピルを服用することで妊娠した時と同じような状態に身体が錯覚することで、食欲増進につながっているとの見方もあります。

低用量ピルの値段は?

避妊目的でピルを処方してもらう場合、基本的には自費診療にあたるため全額自己負担になります。

自費診療では、病院ごとに薬の値段を設定することができるため、値段も病院ごとに異なります。

一般的には1シート(28日分)あたりの薬の値段は1,500〜3,000円程度になります。ピルは医師の処方が必要な薬のため、薬代の他にも、処方料や調剤料などが加算されます。

ひと月あたり薬代+診察費用で3,000前後がひとつの目安といえるでしょう。

また、初診の際やピルを初めて処方される時には、血液検査などの検査料として3000〜5000円かかる場合があります。

避妊目的で長期的に使用する場合は、1シート28日周期のため、年間13シート使用して年間約20,000~40,000円という計算になります。

保険適用になる場合もあり

子宮内膜症に伴う月経困難症や、機能性月経困難症の治療にピルを処方される場合、保険適用となります。

現在、月経困難症に処方され保険適用となるピルは、ルナベルLD・フリウェルLD(ルナベルLDのジェネリック)・ルナベルULD・ヤーズの4つになります。

ただし、保険適用の3割でルナベル、ヤーズは1シート(1か月分)およそ2000円、ルナベルのジェネリック・フリウェルはおよそ1600円になります。これに診療代や薬剤料、処方料などが別途加算されます。

自費診療で処方される他のピル(トリキュラー、マーベロンなど)が1シート2000円から3000円程度と考えると、保険適用でも大きく費用が安くなるというわけではありません。

低用量ピルはどこで購入する?

ピルは医薬品のため、病院での診断と処方が必要になります。薬局やドラッグストアでピルを購入することはできません。

主に産婦人科で処方されますが、すべての産婦人科で取り扱っているわけではないので事前に確認しましょう。

病院での処方の流れ

初めてピルを購入する場合は、まずはピルを処方している病院を受診します。

ピルの処方には問診・血圧測定・体重測定が必須の検査になります。その他、病院によっては血液検査や尿検査などを行います。30分から1時間程度が初診の目安です。

問診や検査に問題がなければピルが処方されます。初回は1〜2シート(約1〜2か月分)の処方になります。2回目以降は診察をせずに薬を購入することができたり、最大12シートまで購入が可能な病院もあります。

低用量ピルの通販や個人輸入は?

現在、ピルをインターネットなどの通信販売で購入したり、個人輸入で入手することは可能です。通販や個人輸入では、通常より安価であったり病院に行く手間が省けたり、便利に感じられることもあります。

しかし、通販や個人輸入でピルを購入した場合は、服用方法・飲み忘れ等の対処・検査の手配・ピルの確保などの全てが自己責任となります。これは各購入サイトにも記載されている注意です。

病院で処方してもらった医薬品で重大な副作用が起きた場合は、医薬品副作用被害救済制度などで補償されることがありますが、個人輸入の医薬品などは補償の対象外になります。

ピルは副作用が起こる可能性のある医薬品なので、個人輸入ではなく、国内の医療機関で販売されている正当なピルの使用をお勧めします。

個人輸入でピルを購入する場合は、以下のリスクがあることを認識しておきましょう。

◼︎個人輸入で入手した医薬品で発生する問題はすべて自己責任となる
◼︎販売ページに商品についての詳細な説明がないので、購入後に自分で外国語の取扱説明書をしっかりと読む必要がある
◼︎日本国内で流通している医薬品ではなく、品質管理なども異なる海外の製品である
◼︎副作用があったときに国の補償などを受けられない

低用量ピルの飲み方の注意とポイント

基本的には1日1回同じ時間に毎日継続して飲みます。

寝る直前や起床時間など、生活習慣の中で規則的なリズムがある時間に飲むと、飲み忘れを防ぎやすくなります。

ピルを服用する際は、水かぬるま湯で服用するのが基本になります。お茶やジュースで飲んでも問題はありませんが、グレープフルーツジュースはピルの作用を強め副作用が出やすくなる可能性もあるのでご注意ください。

ピルはいつから飲み始める?

妊娠中でなければいつからでも飲み始めることが可能です。

避妊や生理日を調整する場合は、飲み始めの日に注意しましょう。

避妊を目的とする場合、生理開始の初日から飲み始めることで即日から避妊効果を得ることが可能です。ただし、生理初日でなくても飲み始めることは可能であり、生理開始から5日以内であれば追加の避妊方法は必要ないとされています。

生理開始から5日目を過ぎて飲み始めた場合、追加の避妊方法を行うか7日間は性交渉を避けることが望ましいです。

低用量ピルはいつまで飲める?閉経後は飲んでもいい?

健康な女性であれば、閉経まで服用が可能です。ただし、40歳以上の場合は他の病気がないか慎重な検査と診断が必要になります。肥満、高血圧、糖尿病などが認められる方は服用できません。

閉経後の更年期の治療は、低用量ピルではなくエストロゲンのみを補うホルモン治療になります。

小学生や中学生でも飲める?

低用量ピルは、原則は生理が始まっていれば服用が可能です。

しかし、ピルが骨の成長へ影響する可能性もあると考えられているため、骨の成長が終了していない可能性のある若い女性には処方されないケースもあります。通常は15歳前後で骨の成長は終了し月経周期も安定してくるとされています。

なお、アメリカでは肌荒れの治療として14歳以上、月経困難症の治療として18歳以上が処方の対象としています。

産後はいつから飲める?

産後に授乳をしている場合は、産後6か月以降に服用を開始します。

授乳していない状態で血栓症の危険因子がない場合は、産後21日以降に服用が可能です。血栓症の危険因子がある場合は、ピルの服用について主治医としっかり相談しましょう。

35歳以上の喫煙者は服用不可

35歳以上で1日15本以上喫煙する方は、血栓症を発症する危険性があるため服用できません。

また、喫煙者がピルを服用した場合、心筋梗塞の危険性が増加するとの報告があります。特に1日15本以上喫煙する場合、心筋梗塞の危険性が最大になります。

ピルを継続して服用する場合は禁煙することが望ましいです。

薬を飲んだ後に吐いてしまったけど大丈夫?

ピルを服用後、2時間以内に嘔吐したり下痢を起こした場合は、飲み忘れと同じ扱いになります。嘔吐や下痢がおさまった時点で追加で1錠服用しましょう。

その後は通常通りに飲み続けます。頻繁に嘔吐や下痢をする場合は、ピルが足りなくなると考えられます。また、何か別の病気にかかっている可能性もあるので、病院の診察を受けましょう。

なお、偽薬を飲んだ時に嘔吐や下痢をした場合は、追加で服用する必要はありません。

低用量ピルを飲み忘れたときの対処法

1錠だけ飲み忘れた場合

気づいた時点で飲み忘れた錠剤を服用し、残りの錠剤は予定通りに服用します。(1日2錠飲むことになります。)

2錠以上飲み忘れた場合

一旦服用を中止します。数日以内に生理(消退出血)がくるので、生理が始まったら新しいシートの1錠目から飲み始めます。飲み忘れた途中のシートは間違えって飲まないように廃棄します。

偽薬を飲み忘れた場合

成分は含まれていないので飲み忘れても問題ありません。飲み忘れたものは廃棄して服用日数がずれないようにします。

ピルの飲み忘れについて詳しくは関連記事をごらんください。

ピルのよくある疑問と不安を解決!

ピルを飲んでいればコンドームはいらない?

ピルを正しく使用すればほぼ完全に避妊することが可能です。しかし、ピルでは性感染症を防ぐことはできません。

性感染症を防ぐためにも不特定多数の異性と性交渉をもつときなどは、しっかりコンドームを利用しましょう。

ピルを飲み続けたら不妊になる?

ピルを飲み続けても不妊症になることはありません。ピルの服用を中止すれば、排卵の再開時期については薬の種類によっても差がありますが、3か月以内に90%の女性の排卵が再開することが報告されています。

低用量ピルと他の薬の飲み合わせは?

基本的には低用量ピルとの飲み合わせに問題のある薬はありません。風邪薬や抗菌薬とも併用が可能です。

ただし、一部の処方薬(抗てんかん薬・抗結核薬・HIV感染症薬など)と併用するとピルや薬の作用に影響がでる場合もあるため、常用している薬がある場合は医師や薬剤師に申告しましょう。

ピル服用中に生理(消退出血)がこない!

妊娠の有無を確認しましょう。ピルを服用中に消退出血がなくなることは1%未満であるとの報告もあり、生理(消退出血)の量には個人差もあります。

妊娠していないことが判明すれば、生理(消退出血)がなくても特に問題ではありません。

おわりに

低用量ピルには、種類や目的によりさまざまな違いがあります。目的ごとのピルの種類、飲み方や飲み忘れた時の対処法をしっかり覚えておきましょう。

自分の体に薬が合わないと感じられた場合は、別のピルへの変更を検討することも可能です。身体の不調を我慢せずに早めに医師に相談しましょう。

相談しやすい医師がいる病院を見つけることも大切ですね。