先天性鼻涙管閉塞とはどんな病気?
涙は目を潤して病原体から目を守る役割があります。
涙は目の近くにある涙腺から分泌され、目の表面を潤した後、目頭から涙の通り道である「鼻涙管」を通って鼻の中へ流れていきます。
鼻涙管はお母さんの胎内にいる間に形成され、通常は開通された状態で生まれてきます。
「先天性鼻涙管閉塞」は鼻涙管に生まれつき薄い膜が残っていて、開通しないまま生まれてしまったため、鼻涙管が詰まって涙が鼻に抜けず、目にいつも涙や目やにが溜まってしまう病気です。
新生児によく見られますが、軽症の場合は自然に治ることがほとんどです。
ただし、たまった涙に細菌が感染すると、涙が流れ込む小さな袋のような「涙嚢(るいのう)」という器官が炎症を起こして腫れる「涙嚢炎(るいのうえん)」を起こすこともあります。
症状が続く場合は小児科または眼科を受診しましょう。
先天性鼻涙管閉塞の症状は?
◇泣いてもいないのに常に涙目で目がいつも潤んでいる
◇目やにがたくさん出る
◇目が充血している
◇目が腫れる
◇目頭を押すと黄色い膿が出てくる(涙嚢炎)
◇多くは左右どちらかに起こるが両目に起こることもある
症状も軽く、生後1か月頃までであれば、小児科で処方された点眼液で様子を見ます。
1か月を過ぎても症状が改善されない、またはひどくなる場合は、涙嚢炎が回りの組織に広がり、稀に「脳髄膜炎」を起こすこともあります。
早めに眼科専門医を受診しましょう。
先天性鼻涙管閉塞の治療法は?
軽症の場合
眼科で涙管通水検査をし、涙嚢に水を通す処置をします。
涙管通水検査は、検査の目的で行うのではなく、通水による水圧で自然開通を助ける目的や洗浄効果があります。
ホームケアでは、抗生物質の目薬をさし、目と目の間の涙嚢を軽く押すようにマッサージします。
その際たまっていた涙や膿が出たら、清潔なガーゼなどで拭き取ってあげましょう。
これによって鼻涙管が自然に開通することがあります。
涙嚢炎をおこしていた場合
鼻涙管開放術(ブジー法)が一般的です。
生後3か月を過ぎても自然治癒しない場合、涙管の閉塞部分を解放する方法を取ります。
細いステンレス製の針金(ブジー)を涙管に通して膜を破る鼻涙管開放術(ブジー法)が一般的です。
通常は外来で局所麻酔を行い、短時間で終わるため、体調にも影響はありません。
月齢が高くなるほど嫌がって暴れることがあるため、低月齢のうちに行う方がいいとされています。
ごくまれに、ブジー法を行っても開通できないことがあり、この場合は手術を行うこともあります。
治療の方法や時期については、医師とよく相談のうえ行います。

ホームケアの注意点
○ママも赤ちゃんも手は常に清潔にしましょう
○ママも赤ちゃんも爪は短く切っておきましょう
○目やにを拭くときは使い捨てのティッシュなどを利用しましょう
○タオルやガーゼを繰り返し使うのはやめましょう
○目をかゆがって引っかいたりしないように注意してあげましょう
○かゆがっている時は清潔なタイルで冷やしてあげましょう
○保冷材は冷やしすぎたり安全性が不明なため使用は控えましょう
おわりに
赤ちゃんが「泣いてはいないけど涙がいっぱい」なら、何かしらの不快感や痛みで辛い思いをしているはずです。
「先天性鼻涙管閉塞」は目やにが多いだけでは気づきにくいことも多く、重症化すると「脳髄膜炎」などに発展する可能性があります。
今回のような症状に気づいたら早期に対処しましょう。