「くる病」とはどんな病気?
近年、赤ちゃんの骨の病気で「くる病」が増加しています。
くる病は食糧事情が悪い国での発症が多く、日本では戦後の一時期に見られ過去の病気と思われていました。
ところが近年になって、増えてきているといわれます。
骨の病気には、骨粗鬆症(こつそそうしょう)というものがありますが、骨粗鬆症は骨の量が減少し骨の強度が低下することによって、骨折などを起こしやすいものです。
それに対して、「くる病」は、ビタミンD、カルシウム、リンの栄養不足により、骨格の変形や形成不全などがみられる病気です。
骨を形成する乳幼児の時期に多くみられます。
くる病の症状は?
◇足が曲がって成長し重度のO脚X脚になる
◇背骨、骨盤、脚の痛み
◇低身長
◇筋力低下
◇頭蓋ろう(頭蓋骨が柔らかくなる)
◇虫歯になりやすい
などの症状があります。
くる病の原因は?
1、栄養の偏り(ビタミンDの欠乏)
ビタミンDは骨の生育に必要なカルシウムの濃度を高める作用がある為、特に成長には必要な栄養素ですが、赤ちゃんに不足している傾向があります。
その原因の一つに「完全母乳」があげられます。
赤ちゃんの授乳については、「完全母乳」「ミルク」「母乳とミルクの併用」というケースがあります。
母乳とミルクには、各々メリットとデメリットがありますが、できることなら完全母乳で育てたいというママも多いようです。
母乳の栄養分は、糖分、蛋白質、ビタミン、ミネラル、水分が豊富に含まれており、もちろん添加物もありません。
アレルギーの予防にもなり、ママの免疫成分が含まれているため、免疫、抗体を受け取れます。
このように赤ちゃんにとって母乳は素晴らしい栄養源ですが、1つだけ、ミルクと比べて「ビタミンDだけは非常に少ない」という欠点があります。
昔は不足しているビタミンAやDの栄養補助として「肝油」が重宝されていましたが、ミルクによる授乳の普及が進んだことや、栄養状態が良くなったことで、一時期くる病はほとんどなくなりました。
そのため母乳のみの場合は、ビタミンDがほとんどないという欠点を補うために、ミルクとの併用も必要だと言われます。
また食物アレルギーを持つ子どもが増えているため、偏った食生活も原因になります。
離乳食の段階からビタミンDが不足しているケースが多くあります。
2、日光浴不足
ビタミンDは、食物以外に「太陽の紫外線を浴びる」ことにより体内で合成されます。
ところが近年は、紫外線に対して神経質になる過ぎる傾向があります。
赤ちゃんを外遊びさせない、皮膚に紫外線が全く当たらないようなUVケアなど、極端な日光浴不足のケースが見られます。
外出時の紫外線対策は大切ですが、紫外線を極端に浴びないことが骨の成長に影響を及ぼしています。
くる病予防の食材は?
離乳食の時期になったら、ビタミンDが豊富な魚や、卵、しいたけ類などを取らせてあげましょう。
母乳の場合は、ママも積極的に摂取し、赤ちゃんにも取れるようにしましょう。
アレルギーがある場合は、医師や管理栄養士とよく相談しましょう。
くる病の診断と治療法は?
くる病の診断
血液検査とさまざまな部位のX線検査を行います。
血液検査によって、血中のビタミンD、リンやカルシウムを調べます。
X線写真によって、骨の異常や形状を確認します。
くる病の治療法
重度の場合は、装具療法や手術による矯正が行われます。
基本的には
1、ビタミンD、リンやカルシウムなどの内服が原則です。
ただし過剰摂取は弊害があるため、薬の服用は医師の指示に従います。
2、適度な日光浴を継続して行います。
外気浴、日光浴など、なるべく外に出て適度に日光に当たる習慣をつけましょう。

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おわりに
栄養状態や紫外線の状況は昔と大きく変わっていますが、どの時代でも「栄養バランス」と「適度に日に当たる」ということは基本のようです。
子どもがかかると骨の病気は成長に大きく影響するため、特に成長期の大切な時期には注意してあげましょう。